「入社後活躍」のエン・ジャパンの次なる一手

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エン・ジャパンが新サービス「engage(エンゲージ)」をリリースしました。
「採用サイト作成から応募者管理まで完全無料の採用支援」までの機能を用意する同サービスは、エン転職ユーザーへのスカウト送信までも媒体契約なし(しかも無料)で付帯しています。

プレスリリースの段階からその企画背景や他サービスとの関連について注目が集まっていました。同社は「今期中に10,000社の登録を目指す」としていますが、一体どんなストーリーのもと展開されるのでしょうか。

HRog編集部はこのほど、デジタルプロダクト開発本部本部長の寺田輝之(てらだ・てるゆき)氏にインタビューを実施。企画の裏側から目指すビジョンまで、気になる疑問を一挙にぶつけてきました!

説明しよう、これが「engage(エンゲージ)」だ!

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engageに登録すれば、スマホにも完全対応した自社採用サイトを無料で簡単に作成でき、WEB上で楽々応募者管理可能。応募者管理ツールも搭載しています。
完成したサイトは求人検索エンジンに自動掲載され、求職者の目に触れる機会も増加。その上エン転職に登録している502万人に対してスカウト送信も可能。

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編集注釈:募集内容や企業情報といった項目にテキストを入力するだけで、サイトが完成。画面構成も実際の画面を直接動かすように変更でき、WEB制作スキルがなくてもPC、スマホ、タブレットに最適化された採用サイトを作成することができます。しかも、デザインもおしゃれ。

繰り返しになりますが、上記がすべて「完全無料」
そんなウマい話があるのでしょうか。
あるんです。
以下、寺田氏にお話を伺いました。

――つまるところengageって、一体何者なんですか。

シンプルに言えば、engageは採用特化型のCMSシステムです。
企業は、エン・ジャパンが長年培ってきた採用ノウハウを活かした何万ものデザインテンプレートを利用して、マルチデバイスに対応した採用ページを簡単に作成出来ます。しかも応募者管理ツールの利用も無料です。
また求職者獲得のサポート機能として、求人専門の検索エンジンへの転載とスカウト機能も用意しています。

――スカウトが無料できるというのは大きな特徴ですよね。ただ、スカウトを無料で開放してしまうとスカウトの質が下がってしまうような懸念はありませんか?

DM形式ではなく1通ずつ送る形式でのスカウトになるため、不必要にスカウトが打たれる懸念はあまりないと考えています。
また、エン転職で培ったノウハウから、転職希望者1人が最高でもこれくらいの通数を受信するという肌感覚は持ち合わせています。スカウト送信の上限も設ける予定です。

――特にスカウトなどで、エン転職など他サービスと競合してしまうようなことはないんでしょうか?

求人メディアの利用とengageの利用では、目的が異なるため競合はしません。
あくまでもengageは採用活動を補完するもの。企業からの情報発信ツールと位置づけています。
そのため、engageを利用して作成いただいた採用サイト単体でエン転職の応募数を凌駕するほどの効果は正直見込めないと考えています。

――CMSシステムという位置づけになると、スタンバイなど既存サービスがありますが、これら競合との違いは何でしょうか?

突発的に生まれたものではなかった! 「入社後活躍」を軸に、HR業界のスタンダードを作ってきたエン・ジャパンの次の一手「engage」

――いつ頃どういったきっかけで、企画が発足したのですか?

企画としては昨年夏ごろから始まりました。当社で一貫して追い求めている「入社後活躍」に基づいた企画なんです。

――「入社後活躍」とは?

人材ビジネスは一人あたりの転職回数が増えるほうが儲かるんですが(笑)、それは当社の目指すところではありません。入社した方がその会社で活躍することが本人にとっても採用した企業にも重要です。これは創業以来当社が大事にしているサービスの軸です。

――具体的に、どのように「入社後活躍」を実現しようとしているのですか?

求職者に対する提供情報の最大化を常に目指しています。
職務内容や組織環境についてより正確な情報を開示することで、入社後のミスマッチは減る」というRJP理論(※注1)というものがあるのですが、1994年に日本初の求人情報サイトを開設して以来、求職者が企業のありのままの姿を知ることができるよう、できるだけ多くの正直で詳細な情報を発信しています。

注1)RJP理論…リアリスティック ジョブ プレビュー(Realistic Job Preview)の略。
「現実的な仕事情報の事前開示」のこと。企業が採用活動をする上で、求職者に対して仕事や
組織の実態について、「良い面だけでなく悪い面も含めた」、ありのままの情報を提供すること。
本音採用とも呼ばれ、企業と求職者とのミスマッチを軽減し、定着率を高める効果が確認されている。(引用:エン 人事のミカタ)

エン・ジャパンがつくってきたスタンダード

――情報の最大化という意味では、WEBサイトを始めとしてどのようなことを行っていますか?

まずは、1995年に日本初の求人情報サイトを開設しました。
WEB(デジタル)は紙に比べて圧倒的に多くの情報を届けられます。紙にしてA4サイズ5枚以上の求人情報を、1社あたり掲載しました。

また、2002年にはいち早く求人原稿に多くの情報を届けられる動画の搭載も開始しています。

また、量だけでなく「ありのままの情報の提供」ということも大事にしています。
エン転職では、綿密な取材によって従来の良い面だけでなく、向いていない人・仕事の厳しさなどのマイナス要因を含めた客観的かつ相対的な評価を掲載しました。

2014年8月から始めた同社が運営する口コミサイト「カイシャの評判」で集まった口コミの情報も求人原稿に掲載することで、より「ありのまま」に近づけています。

編集部注)口コミサイトは企業を辞めた人の意見が多く「正しい現状が伝わらないのでは」という懸念から、現在のカイシャの評判は口コミに対する企業からのコメントもつけられるようになっています。

”研修がないという過去のコメントに対して”今は改善しています”など、
現在の状況を伝えることで実際の状況を伝えられる場として活用されているとのこと。

――求人サイトの立ち上げや動画、口コミなど、「求職者の求めるよりリアルな情報を提供する」という一貫した姿勢からうまれているのですね。
一方で口コミなどは、企業側からはあまり歓迎されないと思うのですが。

はい、現実的には企業側から「口コミを掲載しないで欲しい」という声も多くいただきます。

――そういった企業からの声があっても、エン転職に口コミを掲載し続ける理由は?

ネガティブなこと含めて情報を伝えることが「入社後活躍」に繋がると考えているからです。
「入社前にリアルな企業の姿がわかる」と多くの求職者からご支持をいただいています。

また、エン転職を利用する求職者が増えると、「エン転職ならいい人が採用できるよ」と企業からの引き合いも増え、売上も順調に推移しています。
求職者と企業双方からご支持いただけているので、今後はさらに入社後の活躍に向けた取り組みに力を注いでいきたいと考えています。

当たり前の話ですが、ビジネスとして結果が出ないと続けられないわけで、求職者の利益の最大化→企業の採用効率向上→エン転職の売上好調と好循環が生まれています。

――「engage」が最大化する情報は何ですか?

求職者に、企業選びの際に利用する情報についてアンケートを行ったところ、
①求人サイト、②口コミ、③企業HPという結果になりました。

企業HPは約7割の求職者が参考にしています。にも関わらず、実際に企業HPを見てみるその会社が扱う商品の情報など、事業に直結する内容しか記載がないものや、そもそも採用情報の記載がない企業も多いのが現状なんです。

特に中途採用は、更新頻度が高く手間になるため、しばらく情報が更新されていない状態のサイトも散見されます。

そこで、

「第三者視点での情報発信ー①求人サイト」「その会社での勤務経験がある人のリアルな情報ー②口コミサイト」と詳細な情報発信に、次は「企業が発信したい情報ー③企業HP」に目を向けるのは自然な流れでした。

様々な角度から企業の姿を知ることができるような事前の情報の発信により、求職者がより多角的な情報から企業を選ぶことができ、それが「入社後活躍」にもつながっていくものと考えています。

――最後になりますが、改めて今後の目標について教えてください。

今期中に「10,000社」の利用を目指しています。求職者に必要な情報が搭載された採用サイトを持つことがスタンダードになる世の中をつくっていきたいと思っています。

おわりに

「入社後活躍」にこだわるエン・ジャパンが、「採用サイトが当たり前にある世の中を作る」ことをミッションとして、新たに動き出したengage。

求人情報のWEB化や求人動画の搭載など、現在ではスタンダードになってきたサービスをいち早く取り入れてきた同社が力を入れている新事業だけに、今後の展開に目が離せません!