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特集

プロが教える求人媒体の活用と成果を上げる企業の採用手法【第1回:キャリアデザインセンター編】


「会ってから内定出しまでスピードを重視。中小企業こそトップを積極的に登場させよ」

2017.12.22

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求人広告が見直されている。転職市場がかつてないほどの賑わいを見せるなか、一気に多くの人材にアプローチできる求人広告に頼る企業が増えてきている。しかし、「出せば採れる」という時代ではない。人事担当者はどのように求人広告を活用すれば良いのか。月間訪問者数100万人を超えるキャリア転職の専門情報サイト『@type』を運営するキャリアデザインセンターの森秀将氏に、媒体の活用術と市場動向について話を聞いた。【2017年11月9日取材:編集部】

森 秀将(もり・ひでまさ)

株式会社キャリアデザインセンター メディア営業統括本部 エリア第1営業局 局長
2006年の入社。以来、メディア営業統括本部に所属。現在、渋谷区や新宿区など東京の約半分を担当するエリア第1営業局のトップを務める。第1営業局には100人弱が所属し、自社サービスの『@type』や『女の転職@type』などの求人広告と転職イベントを販売している。

目次
  1. 採用に手間と工数がかけられるかが問われている
  2. スピード重視の時代。トップをうまく活用せよ
  3. 採用基準を下げるという選択
  4. パートナーとして寄り添い、協力していく

採用に手間と工数がかけられるかが問われている

株式会社キャリアデザインセンターメディア営業統括本部エリア第1営業局局長の森 秀将氏①

――現在の転職市場についてどう見ていますか。
採用担当の方が非常に難しい立ち位置に居ると感じています。リーマンショック以降、間接部門への投資がされていない状況で好景気を迎え、企業の採用意欲が高まっています。今の有効求人倍率はリーマンショック時の比ではありません。それにも関わらず、採用目標人数は増えている。どこの企業もマンパワー不足の印象があります。

そういう流れがあって、2~3年前までは人材紹介会社に頼る動きがありました。しかし、ここにきて人材紹介会社の非公開求人が何万件と膨大に増えてしまっているために、転職者に求人が届かず、人材紹介会社からの紹介数が少なくなる、という状況が起きています。

転職者の数は限られている中で、どうしても大手や一部の資金力のある企業のように、紹介会社へ、よりたくさんのフィーを払える企業が優先され、本当に困っている中小企業への紹介が少なくなっているのが現状なのではないでしょうか。だからこそ、紹介会社からの紹介を待つだけではなく、自分から転職者にアプローチできる、求人広告の手法が改めて見直されてきています。

――中小企業が採用で苦戦しているのは資金力の影響だけでしょうか。
企業の経営戦略も影響しています。人事が感じている採用の難しさが現場に伝わっていない側面があります。たとえば、営業職が多い会社であれば現場の営業の方が力関係は強い。要望として「年齢は25歳までで営業経験が2年以上ある人材を採ってほしい」という声があがったとしても、人事からするとこの市況感の中でそういう人材は採れない、というのが本音だと思います。しかし、現場の力の方が強いので求人要件を変えられない。アンマッチな求人を出し続けて反応すらないというケースは実際に増えていますね。

そのような状況の中でも、比較的採用が上手くいっている中小企業は、採用に時間と工数をかけている、という前提にはなるものの、人事部門だけでなく、現場の協力体制がある企業という印象です。

――時間と工数をかけられる会社というのは資本力に比例するのではないでしょうか。
優先順位の問題だと思います。よく、「採用ができないと事業が成功しない」とおっしゃる経営者の方はいますが、その割には会社として採用に時間と工数を割くように働きかけていなかったり、現場に協力を要請していなかったりします。そのために、人事が一人で板挟みになっているというケースは少なくありません。そういった状況に置かれている人事の方がいれば、我々のような営業マンを活用して経営者の方や営業現場と交渉する材料として使ってもらえるよう動いています。

単に人事部門のマンパワー不足を我々が埋めるという意味ではなく、採用で成果を出すためには、我々のような人材会社と企業、そして転職者、この三者の動きが揃っている会社ほど、採用に成功していることが多いように感じます。これだけ採用をしたい企業がたくさんある中で、求人を出す企業は差別化を図りたいと考えますよね。他の企業と差別化を図り、転職者に応募してもらうのに必要なのは情報です。我々が人事の方に協力いただき、企業の中に踏み込んでいくことで、差別化できる情報を見つける、もしくは一緒に作っていくこともできると思っています。

スピード重視の時代。トップをうまく活用せよ

株式会社キャリアデザインセンターメディア営業統括本部エリア第1営業局局長の森 秀将氏②

――中小企業で求人媒体を活用して成果を出している例を教えてください。
昔からありますが、スカウトメールの活用は今でも有効だと思います。大半の方は時間がないという理由で、同じ文面のものを一斉送信しますよね。採用が上手な会社は、毎日時間を見つけては管理画面にログインして登録したてのユーザー(転職希望者)に1通1通異なる文面のメールを送っています。そうすると、登録したてのユーザーはレスポンスが良いので、すぐにその後の面接につなげることができ、早い段階で動機付けし、入社に至らせることができるという方法です。

あとは、メールにプレミア感を出すために社長から直接連絡、もしくは社長の名前を借りて、「代表からのメッセージ」として連絡する方法もあります。人事担当による一次面接や管理職面接ではなく、最初から社長が面接をして、その場で内定を出してしまうのです。スピード勝負ですね。

 ――タイミングが重要なのですか。
大事ですね。以前、転職が決まった方を対象にしたアンケートで、「何社目に内定をもらった会社に入社しましたか?」という質問に対し、半数の方が、「最初に内定をいただいた会社に入社している」と回答しました。

転職先を比較検討する際、最初の会社が基準となるので、その後はその会社より良いのか悪いのかという形で天秤をかけているからだと思います。それほど求職者にとって1社目の内定は印象値が強いため、できるだけ早くアプローチをして、早めに動機付けをして内定までこぎつけるということが非常に大切だと考えます。特に、同業他社との違いがあまり出せないという会社であればなおさらです。その選考スピードこそが最大の差別化ポイントとなります。

――スカウトメールの出し方も、社長が早くに面接をするというのも、手間はかかるかもしれませんが、お金をかけずにできる工夫ですね。
こうしたことを会社全体で優先順位を高くして取り組めるかどうかで、採用の成否が違ってくると思います。また、今の売り手市場では、すそ野を広げて「まずはとにかく会う」というスタンスを取っていただくことも大切です。

今は転職者に有利な仕組みがすごく整っています。たとえば、転職サイトも一括登録型、まとめサイトのようなものがあります。そこでは、ユーザーのプロフィールが全部更新されない状態で、ただ登録をしているケースもたくさんあるのです。

そのような希薄なプロフィール情報のままで転職者の方が応募するケースも多くあるため、その情報をすべて鵜呑みにし、「何も書いていないから書類選考NG」としてしまう。しかし、実はその方は優秀だったというケースが増えています。

――人事の立場からすると、しっかりと情報を登録しない人はやはり駄目なのではと考えますが。
私も真面目に転職活動をやっている人ほど上手くマッチングがいってほしいとは思います。ただ、今は人材紹介会社から無料でアドバイスをもらえる時代です。履歴書や職務経歴書の書き方まですべてアドバイスしてもらい、転職者自身が考えて作ることが不要なまま、選考に臨めてしまう。また、前述したように、転職サイトも転職者に有利な仕組みを用意していることもあり、必ずしも、その方が不真面目だから情報を登録しない、というわけではないのです。

だからこそ、まずは会うことが大事になってきます。もちろん面接の結果、お見送りになってしまうこともあるでしょうし、時には無駄だと思うこともあるでしょう。ですが、中にはお会いしてみたら非常に良い方だった、ということも多々あるのです。また、面接などで、転職者と実際に接点を持つことに工数を割けるかどうかで差が出てしまうのも事実です。

とはいえ、あまりにも情報がない中ですべての人と会おうと思っても難しいです。そういう時は、スキルや転職回数など最低ラインの基準を設けてお会いするかどうかの判断をするのが良いと思います。

人事の方はどちらかというと、少しでも良い人に会って話をしたいと思うがために、最低ラインではなく、特徴やプラスアルファの部分で判断してしまいがちですが、そうではなくまず最低ラインで会っていただいた方が良いですね。そこで判断が遅くなってしまえば他社にアプローチの機会を与えてしまいます。

毎月100万人以上がアクセスする転職サイト@type[アットタイプ]

――具体的に求人広告を出して転職者から応募があった際に、会うまでの期間はどのくらいが望ましいのですか
短ければ短いほど良いです。極端な話、1次面接であれば、応募があった日に「明日会いませんか」と言ってしまうぐらいですね。採用が上手くいっている企業を見ていますと応募から内定出しまでトータルでも2週間ほどのスパンです。昔は早くても1カ月ほどだったのでだいぶ短くなりましたね。今はあっても2次面接までで3次面接をやるケースはだいぶ減ってきています。

また、中小企業の場合は社長自ら、採用の現場に出ていくほど効果があります。中小企業は、事業内容で差別化しようとすると大手に勝てないケースもあります。また、関わるプロジェクトや会社の風土など条件面以外の差別化もトップの声だから伝わる部分もある。人の魅力で口説き落とすパターンです。合同説明会や転職フェアなどのイベントへ社長に登場していただき、直接話をしている会社は強いですね。

なかには社長しか面接でお会いしないことに不安を持った方や、たった2週間の選考で採用した人材は離職率が高いのではないかと心配する方もいるとは思いますが、必ずしもそのやり方が良いということではなく、そこまでして採用に力を入れている会社が多くなっているのが事実です。

基本的な考え方として、今は転職をすることがスタンダードになっています。転職理由としては、より自分の環境や待遇を変えたいという人が増えています。そういう意味では、最初にトップと話をするというのは、転職者自身がこの会社に合うかどうかを判断するには一番手っ取り早いのです。

採用基準を下げるという選択

 ――他にも求人媒体の活用や工夫で成果を上げる方法はありますか。
シンプルな方法ですが、これまでの人材要件を変更すること。たとえば経験年数や年齢の基準を下げてみることです。同じ業界の同じような規模の会社で募集している会社は何千とあり、自分たちより規模が大きい会社でさえも人材要件を変更してアプローチできる人を増やしているというのが現状です。そのため、そこに対して真っ向から勝負をしていくとレッドオーシャンの中で同じターゲットの取り合いとなってしまい、採用できる可能性が低くなることが想定されます。

ここがいわゆる現場との食い違いを生じさせてしまう要因になりますが、現場は昔の基準を持っているので、「いや採れたでしょ」という話になるケースが多い。現状を知らないからになりますが、昔と同じ感覚で、同じターゲットが欲しい、もちろん即戦力で、という声が上がることが多いですね。でもいまはそういう状況にない、ということを現場の方にも理解していただかないと、応募数は目減りする一方で、いつまでも採用の成功ができなくなります。

我々も人事の方に「求人条件を変えてみましょうか」というご提案はさせていただきますが、受け入れられないという企業も少なくありません。その際は、採用に手間と工数をかけて下さいとお願いをしますが、実際は手間と工数をかけられないがところが大半です。条件も変えられない、手間もかけられない。人事の方は現場と経営との間で板挟みの状態にあるかなと思います。

――いまは営業の方がそこまで企業の中に踏み込んでいくのですね。
営業マンと人事担当が二人三脚でやっていくことが上手くいく秘訣だと考えています。求人広告を出すにしても広告は差別化の情報がないと他社との比較が出しづらいものです。取材の中でも、その会社のよさを引き出せるようお話をお聞きしていますが、何十社、何百社取材する中でも、すべての会社様が独自の差別化ポイントを持っているわけではありません。

そんな中でも、しっかりと関係性ができていて、私どもの、「この条件を譲歩していただけませんか」という提案に対してご調整いただける会社ですと、それを元にして広告の展開やスカウトメールの内容を変えていくことができます。そうすると、求人情報の上にくる見出しも変わってきます。たった一言加わるだけで広告のインパクトは全然違うものになる。それだけで、特徴のある広告が出せるようになることも多いです。

株式会社キャリアデザインセンターメディア営業統括本部エリア第1営業局局長の森 秀将氏③

――営業の方から提案して差別化ポイントとして成立させていくという部分もあると思うのですが、普段その会社さんが持っているものを上手くアピールするネタにするためには、人事は普段どういうことに気を付けていればいいでしょうか。
同業他社がどういった広告展開をしているのか、どのような採用手法をしているのか、そういうマーケットの情報を知っていただいた方が良いと思います。先ほどもお話しましたが、レッドオーシャンに首を突込むのか、ブルーオーシャンで差別化をして出すのかで大きな違いがあります。

たとえば、「アットホームな環境です。和気あいあいとしています」というコピーですと、よくありがちなパターンだったりしますが、そこに深みを持たせるような数字を付けてみる。

「アットホームな環境で直近3年間では離職者がゼロです」としてみると、本当に働きやすい環境なんだなという印象が持てますよね。

同業他社の広告展開を見てみると、効果的な情報や表現だけではなく、その情報や表現を生み出すためには、競合他社がどのような工夫をしているのか、も分かります。それを基に「自社では何ができそうか」を考えてみることが大事です。「同業他社の情報を調べる」ことはやっていない人事の方が意外と多い気がしますね。

パートナーとして寄り添い、協力していく

――最後に、自分の会社に合った求人媒体を選ぶ時のポイントを教えてください。
今は媒体ごとの登録者層なども昔ほど大きな差はなくなってきていますので、やはり、人材会社の営業マンが、自社に対してどれだけ理解をしていて良い提案をしてくれるかに限ると思います。最初の話にもつながってきますが、マンパワーがかけられないという課題があったとして、マンパワーがかけられない原因は何なのかを調べて、そこに対して、提案しましょうかと言ってくれる営業マンが求められているのではないでしょうか。もはや業者ではなくパートナーになりますが、解決に向けてそこまで踏み込んでいかなければ、抜本的な改革もできないと思います。

そして、PDCAを回していくことができるかも大切です。「求人広告を出すこと」ではなく、「人材を採用すること」が目的なのですから、それに対してPDCAを回していくことが必要です。求人原稿を掲載してPVが他社と比べてどうなのか、応募落下率は他社と比べてどうなのかを調べる。

そうすると何が原因なのかを分析してそこに対して修正を入れて、修正した内容が実際どうなのかというところまでをチェックする。これを繰り返してくれる営業マンや媒体じゃないと採用を成功させるのは難しいですね。我々自身の動きも含めてですが、今は一人を採用するための工数というのは本当にかかるなという印象があります。

――工数は確かにかかりますが、費用がその分高くなるわけではない。
多分それが広告のメリットであり、そのメリットは今も昔も変わらないと思います。紹介会社はいろいろ手間をかけてやってくれる分、決まったら年収の30%~35%ぐらいかかります。成功報酬のためリスクはありません。

求人広告は先行投資でお金をお支払いいただく以上リスクはあります。ただ、人材を複数名採用できるケースもありますし、その結果としてコストを下げられる可能性もあるというのは、実際に求人広告を使うことで採用に成功されている企業を見ていて、あらためて思うところです。

とはいえ、採用が難しい時代ではあるので、社内の協力体制を整えつつ私たち営業マンと一緒にやっていただけるかどうかでだいぶ結果は変わると思います。我々もパートナーとして、採用活動を行われる企業に寄り添って協力体制をとれるようにしていきたいですね。
――ありがとうございました。

企業プロフィール

株式会社キャリアデザインセンターメディア営業統括本部エリア第1営業局局長の森 秀将氏④

株式会社キャリアデザインセンター
本社:〒107-0052 東京都港区赤坂3-21-20 赤坂ロングビーチビル
事業内容:キャリア転職の専門情報サイト『@type』『女の転職@type』『@type 営業の転職』などの運営、転職フェアの開催、人材紹介事業など
設立:1993年 7月8日
従業員数:581名(2017年9月30日現在)
HP:http://cdc.type.jp/

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