【採用動画特集#01】新卒採用プロセス別に見る、動画の有効活用方法

正しく最大限に使いこなせ!採用動画特集

採用活動において動画活用は難しい。そもそも動画制作にかかる工数やコストは大きく、また、その効果を正しく予測し、把握できている人事の方は多くないのではないだろうか。本特集では「採用活動における動画活用」を様々な切り口から科学し、正しく最大限に動画を使いこなすヒントを探っていく。

 

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株式会社プルークス
代表取締役社長
皆木 研二氏

みなき・けんじ/デロイトトーマツグループにて経営コンサルティングに従事した後、2015年に動画マーケティングを支援する株式会社プルークスを創業。オンライン動画広告に強みをもち、これまで幅広い分野で500社2500本以上の動画制作実績を重ねている。企業向け動画専門ニュースメディア「動画アカデミー」の編集長も務める。

企業の採用活動において動画は本当に有効的なのか、活用する場合どのような活用方法があるのか。本特集の1本目となる今回は「新卒採用」をテーマに企業の動画マーケティングを支援する株式会社プルークス・代表取締役社長である皆木氏に話を聞いた。

新卒採用に動画マーケティング

「売り手市場の今、新卒採用活動において動画を活用する企業が増えています。動画を活用する目的や用途は様々で、応募を集めるための広告に動画を活用する企業もあれば、説明会やイベントで動画を流すなど多岐にわたります」と皆木氏は話を始めた。

ただ、動画の活用が広がっている一方で、最適な活用ができているのか、頭を抱える採用担当の方も多いのではないだろうか。

「プルークスでは顧客に動画マーケティングのコンサルをする際に、セールスファネル*のフレームを活用しています。実はこの手法は企業の採用プロセスにおいてもほぼ当てはめることが可能です」

*セールスファネルとは

消費者が商品やサービスを購入するまでの過程をプロセス分けして最適なマーケティングを行うための手法

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では、実際の採用プロセス別に見ていくとどのような活用ができるのだろうか。採用プロセス別の課題や動画の用途、活用シーンとそのメリットにまとめてもらった。

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「上記のように、動画は全ての採用プロセスにおいて活用が可能なのです。一口に採用における動画の活用といっても、その目的や内容はきちんと使い分ける必要があります」

ではここからは、具体的な活用事例を見ていこう。

認知させるための動画活用

「新卒採用マーケットでは、そもそも自社の存在を学生に認知させることが課題となります。そこで、有効なのが動画活用です。必ずしも全てで出来るわけではありませんが、ナビサイト上に動画をアップしたり、イベントや合同説明会のブースで動画を活用することができれば、他社との差別化に繋がります」

「認知させるためにはまず、目立つことが大切です」と話す皆木氏。最近ではSNSや動画プラットフォームの利用が学生の間で広がっていることから、SNS広告やYoutube広告に動画を活用してリーチを広げている企業もあるのだ。実際の動画活用事例を見てみよう。

制作:株式会社プルークス

DAサーチ&リンクの採用動画はYouTubeのTrueView広告用*に制作されたものだ。

*TrueView広告とは

YouTube内で展開される動画広告のフォーマット。動画を視聴する前や、動画の検索時などに表示される動画広告で、ユーザーの属性や興味関心にターゲティングして配信ができる。広告がクリックされたり、一定秒数以上視聴されないと料金が発生せず、費用対効果の非常に高い動画広告メニューとして注目されている。

「会社のサービスや実績、また理念や目標をテンポ良く実写を切り替えながら伝えていくことにより、最後まで視聴させ企業の認知を得ることを目的としています。また、動画内には『求む 挑戦者』という採用キーワードも各所に入れているため、有効応募を増やすことにも繋がっています」

YouTubeにて広告配信することにで、ナビサイトや説明会では接触しきれない学生にもリーチすることができ、母集団形成の手段としても活用ができるようだ。

動画はより自社の魅力を伝えやすくするツール

場面を応募から選考の段階に移すと、自社に興味を持たせ、入社への意欲を高めることが必要になってくる。これだけ採用難の市況感であれば、企業が一方的に選ぶのではなく学生からも選ばれることがより重要になる。

リクルートキャリアの調査(就職白書2018)によると、学生が企業を選ぶ決め手の第4位には「社風・企業文化」が入っているものの、これらの情報を言葉で学生へ伝えるのはなかなか難しく、調査では社風や企業文化を知ることができたと回答している学生は36%と4割を下回っているのです。この段階で有効なのがドキュメンタリー風動画や社内紹介動画です」

人や職場環境の魅力や雰囲気を伝えるためには、テキストや静止画では限界がある。選考過程で職場環境を全て体験させたり、社員に会ってもらうことは必ずしもできるわけではない。

「だからこそ、動画が有効なのです」と皆木氏は続ける。動画であれば社員の工数を最小限にし、かつ雰囲気を伝えることが出来る。さらに、いつでも何度でもどこでも学生が動画を見ることが出来るのも利点だ。

こちらはテレビ新潟の採用動画だ。

「1分強という短尺ですが『DEAR NEW AGE -若き創造者たちへ-』というメッセージとともに若手社員の仕事における奮闘を伝える、ドキュメンタリー風動画となっています。テレビ局ならではの動画クオリティもありますが、実際に働く社員のインタビューや職場での様子を伝えることは学生にとって働くイメージを持たせ、またドキュメンタリー風に仕上げることで学生の心を打ち、自社への動機付けを行うことができます」

社員の口から仕事のやりがいや苦労を伝えることによってリアリティも増し、どのように自分が仕事をしていくのか、学生がイメージをできるようになるのだ。

制作:株式会社プルークス

こちらは、IT×イノベーションをビジョンとして掲げるGAテクノロジー社の採用動画だ。

「社員のインタビューと社内の風景、また実際仕事をしているイメージを背景に仕事内容の紹介を組み込んでおり、実際に自分が入社した後のイメージが湧きやすい構成となっています。また終盤には今後の会社についての社員からのメッセージを入れることで、自社への興味喚起や入社意欲を高めることに動画が一役買っているのではないでしょうか」

内定〜入社までの動画活用

最後に内定から入社の段階に目を向けてみよう。

「採用担当の方であれば、ここが最も神経を使うところではないでしょうか。最近では学生が複数内定を持っていたり、ご家族の意見が学生の決断に大きな影響を及ぼすことも話題になっています。どんな学生も決断の前には不安になるものです。学生自身やそのご家族にとっても、どんな職場でどんな人たちが働いていて、どんな風に仕事をするのかは気になるところ。インタビューや職場紹介動画なども織り交ぜて、会社のことをきちんと伝えてあげることが重要です」

その点でも動画は非常に有効と言えるだろう。

吉本興業と稲畑産業の採用動画を見てみよう。いずれも職場を紹介する動画だ。

「東京本部・大阪本部・沖縄・劇場と4つの動画を制作しており、実際に働くオフィスを入り口から会議室まで紹介することにより、入社前の不安を軽減し、自分の働き方をイメージすることを可能にしています。どういう場所で働くのかを予め知っておくだけでも、学生にとってはとてもプラスになると考えられます」

稲畑産業 採用HP:http://www.inabata.co.jp/recruit/report/movie.html

「稲畑産業では、会社内部活動の様子を動画で採用HP上に掲載しています。社員同士の様子や社風が伝わり、どういう人がいるのか、社員の関係性はどうなのかなどの不安を解消することができるでしょう」

さらに、今話題になっているパーソナライズド動画*も採用への活用が期待されている。

*パーソナライズド動画とは

顧客1人1人の属性情報(性別・年齢・出身・嗜好など)別にカスタマイズされた動画のことで、動画の中に視聴者に合わせたテキストや画像を差し込んで制作します。

「身近な例で言うと、Facebook上で友人との思い出の写真や動画をピックアップし、ユーザーごとに違う動画を自動で生成するFacebookのフレンズデー企画が該当します。こういったパーソナライズド動画を活用し、名前の呼びかけ・面接官からのメッセージ・先輩からのメッセージなどを動画に組み込むことで、入社意欲を高めたり不安払拭につなげていく活用も今後注目されていくのではないでしょうか」

新卒採用における動画の活用方法は今、確実に広がっている。

「あくまで動画はサポートツールであり、きちんと学生に向き合うことが一番大切だと考えていますが、学生と自社のより良いマッチングのためにも、採用のプロセスごとに動画の最適な活用が採用成功を生むのではないでしょうか」

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(HRog編集部)