現役大学生人事が仕掛けるものづくり系ベンチャーの人材戦略とは

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株式会社TBM
コーポレート・コミュニケーション本部 HRデザイナー
増田 稜氏

ますだ・りょう/同志社大学経済学部2019年度卒予定。 在学中にインターネット回線の販売代理店で営業を経験。所属していた代理店が全代理店の中で日本1位の契約数、個人として月間1位を獲得。 その後、10社ほどIT企業のインターンに参加させて頂いた後、サイバーエージェントにて長期インターン生として、HR向け新規事業立ち上げの企画責任者を経験。 2017年10月に、TBM初の大学生兼正社員として入社。採用・組織活性・PRなどの業務を行う。

「第7回日米イノベーションアワード」において革新的な会社を表彰する「イノベーション・ショーケース」を受賞し、さらに2017年11月に日本経済新聞が特集した「ネクストユニコーン企業」として日本の未上場ベンチャー企業の中で、推定企業価値がトップ10にランクインしたベンチャー企業をあなたはご存知だろうか。それもIT系の企業ではなく、ものづくり系のベンチャーである。石灰石を主原料とし、紙やプラスチックの代替となる新素材
「LIMEX(ライメックス)」を開発・製造・販売しているTBMという企業だ。

人事部に人材戦略についてお話を伺おうとしたところ、HRデザイナーの増田氏は現役大学生だというからこれまた驚きだ。なぜ現役大学生が人事をしているのか。その現役大学生人事が仕掛けるものづくり系ベンチャーの人材戦略とはいったい何なのか。HRog編集部で増田氏へインタビューを行った。

Times Bridge Management ~100年後も残る技術や事業を創り、時代の架け橋となる~

今注目の新素材LIMEXを手掛けるTBMについて、社名の由来は「TBMは『Times Bridge Management』の頭文字をとっており、100年後も残る技術や事業を創り、時代の架け橋となる会社にしたいという想いが込められています」と増田氏は話す。

100年後も残る技術や事業とは一体どのようなものなのだろうか。

「TBMではLIMEX及びLIMEX製品の開発、製造、販売を行っています。LIMEXとは地球にほぼ無尽蔵に存在する石灰石を主成分とした新素材であり、紙やプラスチックの代替となります。(国内、海外で特許も取得)製造時に水や木材、石油などの資源の利用量を抑え、環境負荷を低減した形で様々なモノをつくることができ、リサイクルも可能です」

LIMEXはエコロジー且つ、エコノミーな新素材であり、確かにこの先の未来に必要とされる新素材のようだ。2011年に設立し、現在7期目を迎えるTBMはこれまでどのように事業を進めてきたのだろうか。

「資金調達と素材開発を経て、2015年に国内第一工場を竣工しました。翌年の2016年にはTBM初のプロダクトである『LIMEX名刺』をローンチしました。1年半経過した今、お取引社数も2000社をこえてきています。また、名刺を始め、メニュー表やポスター、耐水性を活かしたPOP、横断幕の代替などにもLIMEXを導入して頂いております」

今のフェーズのTBMへ、ジョインは一刻も早く!

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編集部は増田氏の話へ話題を移した。増田氏は1995年生まれで兵庫県芦屋市出身である。2014年に同志社大学経済学部に入学し、1年間の休学を挟み、2019年卒業予定の現役大学生だという。増田氏にこれまでの経歴を聞いた。

「ユニクロや塾のアルバイトを経験した後、インターネット回線の販売代理店で営業を経験しました。所属していた代理店が全代理店の中で日本1位の契約数、個人として月間1位を獲得させて頂きました。 その後、就職活動ではIT企業を中心に10社ほどインターンシップに参加し、最も魅力を感じたサイバーエージェントにインターン生として参画させて頂き、HR向け新規事業立ち上げの企画責任者まで経験させて頂きました」

増田氏は営業もできて、企画もやってきた、インターンにも数多く参加している、勿論人当りもいい。いわゆる、どの企業からも必要とされる学生だ。では、TBMとはどのようにして出会い、なぜ大学生のいま既に働いているのだろうか。

「TBMとの出会いは2017年の7月でした。知人からご縁をいただき、弊社執行役員である笹木と会う機会を頂きました。その時はカジュアルにカフェでお会いしました。しかし、TBMと笹木自身の話を聞いた後に「この会社でこの人の下で働きたい」と自分の中でビビッと来て、新卒採用をしているわけではないんですがその場で入社したいと言ったのを覚えています(笑)」

そう思った理由は「事業の意義とポテンシャル」「会社のフェーズ」「人」の3軸だったと増田氏は言う。

「今のフェーズのTBMで正社員として働けることの価値を考えると、ジョインは一刻も早いほうがいいと感じました。今のTBMは素材力が徐々に向上してきて、様々な製品として展開できるようになり始めているフェーズです。また、組織としては今が創業期なんです」

これまでは代表やボードメンバーの個の力によって会社を牽引し、成長をしてきたそうだ。これから会社として加速的に成長し、より大きな挑戦をしていくためには、代表だけではなく、組織として総合力を上げる必要があるのだという。

「そのためには新しくメンバーを採用したり、代表の想い・会社の理念をいかに組織に浸透させて、筋肉質な組織を今から、そして、拡大する前から創ることが出来るかが重要です。そのフェーズをまさに当事者として、尚且つ主担当として取り組める機会を与えて頂いたことに、どうしても飛び込みたいと思い入社しました」

大学生をしながら入社は可能なのかという疑問もあったようだが、大学に聞いてみると、「正社員としてもOKです」とあっさり言われ「あ、そうですか(笑)」という流れで入社に至った裏話も聞けた。

HRデザイナーが仕掛ける3つの人材戦略

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コーポレート・コミュニケーション本部でHRデザイナーとして活躍されている増田氏にTBMが仕掛ける3つの人材戦略について聞いた。

「まずはTBMという人格の形成です。企業は人なりという言葉があるように、企業にも人格があります。TBMらしい人格を今まさに形成しているところです。「TBMらしさ」という感覚値を言語化し、全社的な共通認識として広めていくことが求められます。例えばサイバーエージェントさんは、どういう人が欲しい?と聞くと皆さん口をそろえて「素直で、いいやつ」という答えが返ってくると思います。そういう状況を作り出していく必要はありますよね」

「次にシニア・女性・グローバルの3つを意識した採用活動です。TBMはものづくりベンチャーです。過去日本のものづくりを牽引してきたシニアの方々のご経験やスキルはTBMにとって大きな価値を与えてくれます。シニア活用という考え方がありますが、私たちの組織では、シニアの方々と協業する姿勢を大切にしています」

本記事の取材を行った2018年4月にも50代の方が正社員としてジョインされたようだ。

「また、女性が活躍できる環境を現在進行形で整備しています。育休を取得中の社員や育児のための時短勤務などの対応、その他にもオフィスに授乳室があったり、この4月から出産祝いの給付金もなども制度として導入しました。さらに、TBMがグローバルで成長していくためには海外人材の獲得も必要です。直近ではインターン生としてパキスタンからの留学生に活躍して頂きました」

シニア・女性・グローバルをキーワードに人材活用が進んでいる印象を受ける。増田氏が仕掛けるTBMの人材戦略はこれだけではない。

「最後にクレド会議です。TBMには「最強で最高のチームになろう」というインナースローガンがあります。最強とは目標を達成し続けること、最高とは仕事相手や仲間と感動し合えるということを指します。そんなチームを創るために、『クレド会議』と呼ばれるプロジェクトを導入しています」

クレド会議とは各本部からマネージャーを中心にメンバーを抜擢し、毎週一度MTGを行い、組織の理想と課題を話し合い、必要な施策や行動喚起を行う会議のことだ。

「一般的には人事部門が行うであろうことを、各本部からメンバーを集めることで、組織創りを自分ゴト化してもらい、実践まで移します。また、このプロジェクトは任期制で一部のメンバーは四半期ごとにシャッフルします。そうすることで会議体に新しい風を吹き込むとともに、当事者意識を持つメンバーを増やせるという効果が期待できます」

3つの戦略と様々な施策が実施されていくなか、増田氏のHRデザイナーとしての業務は主に採用活動全般と組織活性で、個人の役割として、「組織のモノサシ」になることが大事だという。

「採用においては、中途採用がメインで様々な候補者とお会いする中でTBMらしさを言語化していくことが必要です。採用目標人数を達成するために採用手法の選択から、選考活動、候補者一人一人に適切なストーリー設計を行い、採用に結び付くような採用広報を行います。組織活性においては、TBMの社員としての模範となるような行動を日々行っていくことが求められています」

時代の架け橋となる企業・現役大学生HRデザイナーは何を見据えているのか?

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改めて、時代の架け橋となる企業の今後の展望を聞いた。

「全社方針の1つ目のポイントは自社開発力の向上を目指しています。素材ビジネスを成功させるうえで、素材力の向上は最重要課題です。2020年に国内第二工場を竣工させるために経営本部や、開発本部のメンバーが中心となって、プロジェクトを推進してくれています」

「2つ目は大企業とのオープンイノベーションです。事業をスピード感をもって、広めていくために大企業様との協業(共同開発、パートナーシップ)が必須です。最適なアライアンスの検討及び実行を行っていきます」

「最後に海外への本格展開です。国内はもとより、海外企業様からのお問い合わせも、すでに数百社を上回っています。フランスでは使い捨てプラスチックの利用が2020年までに全面禁止になったり、ケニアではプラスチックのビニール袋を利用したら200万以上の罰金を課します。TBMとして既に海外との動きは進めており、例えばサウジアラビア国内にLIMEX工場をつくるためのMOUをサウジアラビア政府と締結してすでに進めています。今後も水不足の中東や、環境意識の高いヨーロッパには積極的に展開していきたいと考えています」

そして、増田氏の個人として、今後は何を見据えているのか。

「まずはビジネスパーソンとして一人前になる必要があります。まだまだ自分一人では出来ないことだらけです。日々良質な経験をさせて頂ける環境があるので、一つ一つの出来事から多くを学び、感謝と謙虚さを常にもって実践に移せるかが大切だと感じています」

「また、HR Techの加速や働き方改革などの潮流があり、企業としての在り方やHR部門の機能が大きく変わりつつあると肌で感じます。その中で、TBMが会社として成長していくために、先進的な企業の事例やHRtechの情報をキャッチすることも大切です。一方で、
ものづくりの企業として、過去のソニーやトヨタが大切にしていたことを学び、それらをハイブリッドにして、組織をデザインできる人間になりたいと思います」

◆増田氏が働く株式会社TBMの詳細はコチラ

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(HRog編集部)