【外国人採用#02】海外女子に学ぶ、人材の受け入れ方とは【前編】

採用の新常識 外国人採用特集

これから日本は労働力人口が低下の一途をたどり、働く人にとっては働き方が多様化していくであろう。まさに今、人事部には変化が求められている。本特集では、企業の新たな成長施策として「外国人採用」にフォーカスし、「外国人採用」に詳しいプロフェッショナルたちから、これから外国人採用に取り組む方に向けてアドバイスをもらう。

Career Fly株式会社
代表取締役
大野 理恵氏

おおの・りえ/アパレル企業でキャリアをスタート。人材派遣業界へ転身し、約10年人材紹介/派遣ビジネスにコンサルタントとして携わる。2015年Career Fly株式会社を立ち上げ、独立。
「違いを、当たり前に!」をミッションに、日本企業文化の多様性ある文化形成実現のため海外女子の人材紹介事業を行う。35カ国累計5000名の日本で働きたい!国内外から外国籍女性の日本就業を全面サポート。海外女子と企業のより良いマッチングを実現することで、人材不足解消もさることながら、既存文化変革によりイノベーションを起こす機会を創出している。

日本企業で活躍する「海外女子」とは?

「外国籍 × 女子」= 必要不可欠!

Career Flyでは、人材紹介会社として現在35ヵ国累計5000名の人材と企業のマッチングを図っている。その人材は「海外女子」と大野氏は話す。

「海外女子= 外国籍 × 女性 の方々のことを指します。海外女子は我が社が作った造語です。”外国籍の女性” + ”若さ” + ”専門性”を保有する人材を日本を含めた世界規模でリクルーティングしています」

なぜ今、海外女子なのか?その理由は大きく2つあるという。

「たくさん売りたい!」ならば、海外女子の受け入れを

「購買意思決定者の7割が、女性である。業界により変動はあるが、消費財業界で共通認識であり様々なデータに反映されています。日本のマーケットは日々シュリンクしていきます。現在、企業活動において、国内の販売網は限界があり、海外で自社製品を売る(アウトバウンド)、もしくは訪日客で売る(インバウンド)戦略へシフトしています」

2017年にはインバウンド市場は2017年に4兆円を突破し、2020年にオリンピックに向けて、今後も確実に伸びることが期待されている。

「これまで、対日本企業、あるいは日本人に対して販売していた企業が、日本国外の企業や人へ自社製品を販売するさい、”同じものやこと”をそのまま販売して売れるのでしょうか?答えは、Noです。進出先のニーズに合わせて販売しなくては売れません。そもそも、日本のニーズに合わせた製品サービスを他国にそのまま当てはめることは、ただの押し売りとなるわけです。『販売先のマーケティング実施、ローカライゼーション、戦略的販売』が必要不可欠です」

※参考情報: ローカライゼーションなどの重要性を説く

顧客である外国人の本質的ニーズの理解が必要になる。その際に必要な存在なのが、海外女子である、と大野氏。

「進出先の購買動向、最新トレンド、文化や人の熟知をしている海外女子が自社にいれば、どのようなカスタマイズが必要か、正しい売り方はどのようなものか安易に想像できます。また、冒頭申し上げた通り、消費の意思決定をほとんどの場合女性が行います。なぜ買うのか?を意思決定者である彼女たち自身から吸い上げることは、てっとり早いマーケティングニーズの把握につながります。女性消費者向けに製品サービスを提供している企業へ、海外女子の採用を特に推奨しています。他国の事情を知らない日本人ばかりで、海外戦略を行うことは限界がありますし、効率的ではないのです」

海外女子は、シンプルなマネジメントで即戦力に

続いて、海外女子の仕事に対するモチベーションはとてもシンプルと大野氏は話す。

「『マネジメントポジションにつきたい』『年収をあげたい』面談時海外女子がよく口にするフレーズです。3人に2人の確率。海外女子の仕事に対するモチベーションの多くの傾向は『昇進・昇格・昇給』です。特に、日々接している20代(23-29歳あたり)の方々に多く見られます。3年でやっと一人前”の日本特有の考え方はあまりなく、入社間も無い方でもマネジメントやリーダーの役割を欲することがあります」

海外女子の働く意欲の源泉

昇進昇級を働く動機と考える海外女子、一方企業側のマネジメントの面でみるとどうだろうか。

「氷山の一角モデルを用いて説明します。数値で示すことのできる給与、定められた明確な役職=外的動機と位置付けると、表面に見えているためマネジメントしやすいと考えます。明確な人事評価制度、昇給システムを定め、採用時に本人が理解するまで説明します。
外的動機は明文化しやすく、上司と部下の間で認識しやすい動機といえます。一方、海面にでていない箇所『わくわくする、楽しさを感じたい』などのやりがいを追求したい内的動機に着目します。外的動機とは正反対で、本人から具体的なことが発信されない限り、周りが気づくことが少々難しい場合があります」

ここで日本女子の話題をあげると、多くの日本女子が内的動機を持ち合わせている傾向にあるという。

「現在、日本企業の管理職が女性管理職登用のために【管理職になりたがらない女性部下】を一生懸命説得しているのが実態です。比較することではないですが、多くの海外女子が外的動機を保有するためマネジメントサイドとしてはシンプルなマネージ方法を用いやすいと言えます。だからこそ、女性管理職輩出が企業課題の一つとする多くの企業へ、声を大にしてお伝えしたいです」

Career Flyのミッションは、「違いを、当たり前にする」。世界で戦っていくために、異なる視点やアイデアを受け入れることが重要だ。後編では「経営者・人事・現場のギャップ」について。日本企業が抱える外国人の受け入れ課題を掘り下げていく。

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(HRog編集部)