「日本の当たり前は当たり前じゃない?」外国人がおもてなしの国・日本で初めて働くときに抱える心理的な障壁とは?

外国人を採用しても定着させるのはこれまた一苦労。日本は「お・も・て・な・し」で一躍スポットを浴びる国となったが、働く外国人にとっては異国の地・日本だ。実際に「日本で働く外国人」として、HRogを運営する株式会社ゴーリストで活躍する外国人メンバー3名に話を聞いた。今回の記事では日本で働くうえで心理的な障壁になり得ること、企業としてのサポートをテーマに外国人が定着する環境を探る。

 

アミルカンタワル・ビベック
(写真左)インド出身・日本歴3ヶ月・エンジニア
いつも明るく誰とでも笑顔でコミュニケーションを取り、入社1ヶ月で社内表彰を受けるほど大活躍!

パタマダ・チナパ
(写真中央)インド出身・日本歴5年・エンジニア
「よくこんな日本語使えるな」と日本人が関心するほどの日本語力とユーモアの持ち主!

グエン・アイン・トゥアン
(写真右)ベトナム出身・日本歴1年・エンジニア
難しい仕様書はもちろん社内プレゼンの時にも難しい漢字もスラスラ読める勉強家!

エンジニア職の3人、日本で働くきっかけはバラバラ。

ーー日本で働こうと思ったきっかけは何ですか?

トゥアン 日本の漫画が好きだったことがきっかけで、日本に興味を持ちました。

ビベック 私はインドで日系企業に勤めていて、日本人と一緒に働いていました。その時に日本の仕事の進め方や日本人の人柄が好きになりましたね。日本は平和というイメージがあったし、いつか日本で働きたいと思っていて、今年日本にやって来ました。

チナパ 私は大学のときに日本に留学していたので、逆にインドで就職してみたいと思ってインドの会社に就職しました。だけどその会社が自分にあまり合わなくて、せっかく働くなら良い人たちと働きたいなぁと思っていました。日本留学時を思い返し、いろんな会社を見ようと思ったのがきっかけです。

報連相は日本特有の文化?母国と日本のワークスタイルの違い

ーー日本で働いてみて、自国との違いは何ですか?

チナパ 程よい上下関係や仕事環境がインドと比べて良いと思います。インドの仕事環境は良く言うとフラット、悪く言うとルーズ(笑) 時間を守らなかったり、フレックスすぎて出勤時間がバラバラだったりで仕事がやりづらいときがあったから、日本はメリハリがあると思います。

ビベック 確かにインドだと時間はみんな守らない(笑) あと日本は、インドと比べて小さい会社でも成功しようという意識が強いですね。

チナパ インドでは、働くことを長期的な視点で考えていない人が多いかもしれません。今働ければいいやという感じ。時間を守らないことと同じく、約束があまり通じない(笑) 例えば昨日、明日15時に会おうと約束したのに、今日は状況が変わったからリスケとか、決めたことが通じないこともあります。

トゥアン あと「報連相」は日本特有だと思います。ベトナムで毎日日報を書くことは無かったですね。

チナパ 確かに報連相は日本特有ですね。日本人は小学生のときから、報連相を教えていること自体がすごいと思います。

日本で働いて、一番苦労するのは、言語の壁

ーー日本で働いてみて、いちばん苦労したことは何ですか?

トゥアン 日本語でのコミュニケーションがやっぱり難しいです。

チナパ 言葉の壁ですね。日本語での専門的な内容やミーティングの会話はもちろん、日本語にないニュアンスの言葉を伝えるときは難しく思います。

ビベック 私も日本語のミーティングや指示内容が100%理解できないと業務ができないところがあります。たとえば、全社合宿でビジネスゲームをしました。説明がすべて日本語だったので、理解するのに時間がかかりましたね。チナパさんに教えてもらったので、なんとかなりました。

ーー日本語が分からないときは、どうされていますか?

ビベック 理解できない言葉はその都度聞くようにしていて、みんなやさしい日本語で教えてくれます。

チナパ 言葉が理解できないとき、何度も質問することが難しいと思う外国人はいるかもしれません。なんだか聞きづらくなってしまうんですよね。何度も説明するのがめんどくさいって感じる人もいるんじゃないのかなぁと思います。ゴーリストのメンバーはそういう人はいませんが。

ーーそういうとき、社内に一人でも英語など同じ言語が話せるメンバーがいることは安心しますか?

チナパ 自分たちと同じ立場、つまり自国外で母国語を話さない状況を経験している人は優しく接してくれるなぁと思います。

ビベック 英語に翻訳じゃなくても、やさしい日本語があるだけでも助かります。

チナパ そうですね、別に英語じゃなくてもやさしい日本語があるだけでもいいと思います。

満員電車、印鑑所持、日本の当たり前は当たり前じゃない

ーー日本での生活面で、大変なことは何ですか?

トゥアン 日本の満員電車です。慣れるまで大変でした。通勤ラッシュをズラす時間に通勤できたらいいなと思います。あとは、書類などの手続きが大変です。

チナパ 手続きは紙じゃなくてwebが多くなってほしい。翻訳機も使えるから。あと、銀行の口座開設のときも、書類に名前を英語で書いたら、カタカナで違う表記にされていて、今も訂正の手続きが続いています(笑) 口座開設のときに、電話番号が必要な銀行もあって、日本に来てすぐに携帯電話を契約したいけど、会社が沢山あって選ぶのが難しかったです。

ビベック 書類手続きは、印鑑が必要なことが多く、はんこ屋さんに作りに行きました。あとは、会社の健康診断で事前に書く問診票の日本語も専門性が高くて、回答するのに苦労しました。健康だし、全部いいえと回答しようかなと思ったけど、社内のメンバーが助けてくれました(笑)

働く環境以外でも生活のサポート

ーー外国人メンバーが働きやすい・生活しやすくするために必要だと思うことは何ですか?

チナパ 例えば、新卒入社で同期がいるように、同じ時期に入社だったり同期のようなメンバーがいると心強いと思います。同じ国籍のメンバーを同時に採用するとか。

ビベック 何に関しても通じるのですが、文章だけじゃなくて、絵や図があると理解しやすいなと思います。そして日本は災害が多いから、災害時にどうするかなどのガイドラインがあったらいいと思います。何を準備すればいいのか正直わからないので、会社側が非常事態のときにどうすべきか事前に教えてくれたら助かります。

チナパ インドでM5の地震が起きたら大被害ですが、同規模の地震でも日本は災害対策がしっかりしているから安心なんだよということを母国の家族にも伝えることもできると思いますし、そういうガイドラインがあったらいいと思います。

ーー家族と離れて働く外国人も多いと思うので、働く環境以外にも生活面で会社がサポートする配慮が必要ですね。

誰もが垣根を感じることなく働ける環境に

今回は「採用した外国人の定着」をテーマに、受け入れ方のヒントを探るため、外国人メンバーにインタビューを行った。ゴーリストでは、業務内容や評価制度など、国籍問わず平等にしているので「外国人扱い」はしていない。

しかし、外国人メンバーにとって異国の地である日本にいる以上、「不安は沢山ある」とメンバーたちは話す。そういった心理的な不安を会社としてフォローしていくことが必要だ。

まずは、お互いの理解を深めるために、面と向かって話し合う時間を設定する。メンバーの声を聞ながら、柔軟に対応すること。誰もが働きやすい職場環境を提供し、国籍や性別に関係なくお互いを想いやることが日本で働く外国人の受け入れの第一歩ではないだろうか。

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(HRog編集部)