【バイトル20周年の軌跡#03】ディップ現場座談会!ディップ・インセンティブ・プロジェクトの裏側を語る

(左)ディップ株式会社
HR事業本部東日本HRソリューション事業部 事業部長
兼 「ディップ・インセンティブ・プロジェクト」プロジェクトリーダー

稲原 雄也 氏
いなはら・ゆうや/2008年ディップ入社。入社以来、派遣会社・人材サービス会社を主な顧客とするHR領域での採用コンサルタント、管理職として従事。2021年にHRソリューション事業部長に就任。「ディップ・インセンティブ・プロジェクト」などユーザーファーストを体現する複数のプロジェクトリーダーを務め、バイトルにおいては20万系以上の求人での時給アップを先導。

(中央)エリア事業本部東日本エリア事業部新橋営業部1課 チーフ
谷 明希香 氏
たに・あきか/2020年ディップ入社。入社以来、担当エリアで企業の採用支援を行う採用コンサルタント。「ディップ・インセンティブ・プロジェクト」を始めとするさまざまな取り組みを現場で企業に伝える。

(右)商品開発本部メディアプロデュース統括部デジタルコミュニケーション推進部 部長
芥川 巨樹 氏
あくたがわ・おおき/事業会社で社内ベンチャーを経験後、独立。求人サイト経営を経て2019年ディップ入社。「ディップ・インセンティブ・プロジェクト」ではサイト企画推進を担当。現在は「バイトル」「はたらこねっと」などのSEO戦略や、オウンドメディア「BOMS」のコンテンツ強化に取り組む。

バイトル20周年の軌跡

2022年10月21日、ディップ株式会社が運営するアルバイト・パート求人情報サービス「バイトル」は20周年を迎えた。2002年のサービス開始以来、「ユーザーファースト」を貫きさまざまな取り組みを行ってきたバイトル。今回の特集ではその軌跡を振り返り、これから新たに描く20年について話を聞いていく。

今回はバイトルに携わる様々な部署の社員3名が一堂に会し座談会を開催。「ディップ・インセンティブ・プロジェクト」を軸として、サービスの裏側やそれぞれがバイトルにかける思いを語った。

自分が介在することで、働く人の待遇をもっと改善できると気づいた

――「ディップ・インセンティブ・プロジェクト」が生まれたきっかけを教えてください。

稲原氏:はじめのきっかけは、新型コロナ感染症拡大に伴うアルバイト・パートさんの困りごとでした。

新型コロナウイルスが猛威を振るっていて、ワクチン接種が話題になり始めた頃。世の中にはワクチンの接種率を高めようという動きがあるものの、それと同時に「副反応」への不安が世の中に広まっている状況でした。

特にアルバイト・パートの方々の場合、接種当日と副反応が出る可能性がある翌日と、人によっては翌々日もシフトに入れず、収入が減少してしまいます。接種意向があっても、収入が減ってしまう不安から接種をためらうというジレンマも生じていました。

そこでユーザーファーストを掲げるディップでは、「ワクチン インセンティブプロジェクト」を始動。店長さんに「接種日も日当を支給するなど、接種によって生じる金銭的な不安を拭い、スタッフさんが安心できる体制を用意してあげてほしい」、「ワクチン接種の副反応が出る日は、シフトは外してあげた上でその日の給与分を半額でも良いので補填してあげてほしい」などの交渉をしました。

谷氏:クライアントに金銭的負担がかかる提案なので、営業担当としては「嫌がられてしまうかも」と最初は不安でした。しかし実際に始めてみると、自分たちの思いや市況感をきちんと伝えれば、取り組みに共感してくれるクライアントさんも思いのほか多いことが分かりました。

稲原氏:この経験もあり、自分たちは一介の求人広告屋だけれども、自分たちが働く人のの代わりに経営者や事業責任者、店長の方々へ提案や交渉をすれば、働く人の待遇をもっと改善できるのかもしれないという可能性に気がつくことができました。

そうであれば、新型コロナという感染症だけではなく、日本の社会問題にもなっている賃金の問題にも斬り込みユーザーの生活を豊かにしたい。そんな思いから「ディップ・インセンティブ・プロジェクト」に拡大し、今に至っています。

――「ディップ・インセンティブ・プロジェクト」発足から実現まで、どのように進んでいったのでしょうか?

稲原氏:全部門の責任者が参加する会議での代表冨田のアイデアからスタートしました。またこの「ディップ・インセンティブ・プロジェクト」は企画や営業部門だけではなく、ユーザーに情報を届ける開発部門との連携も不可欠です。そこで僕たちプロジェクトメンバーが横串で入り、各部門を巻き込みながら進めていきました。

フィロソフィーを胸に、部署の垣根を越えて連携

――「ディップ ・インセンティブ・プロジェクト」を進める中で、どんな点で苦労しましたか?

稲原氏:各部署ごとに本業がありながら、プラスアルファでプロジェクトの業務を行うことになるため、その調整が大変でした。部署間の温度感を合わせるために時間をかけたのが、このプロジェクトの目的を伝え続けることです。

この取り組みを進めることで、自分たちが掲げているユーザーファーストというフィロソフィーにもつながっていく。このプロジェクトに込められた思いを丁寧に共有することに注力しました。

芥川氏:開発部門としても、通常の業務に加えて新しい横串のミッションを達成することは大きなチャレンジでした。しかしスタッフたちは皆、ディップのフィロソフィーに共感して入社した人がほとんど。だからこそミッションを共有し、「これがユーザーのためになるんだ」ということを立ち止まって再確認する時間を作りました。そうすることでスタッフの納得感を得られ、限られたリソースの中でどう工夫するかというプラスの発想が生まれてきます。

谷氏:営業の現場では、店長さんなどから様々なお声をいただきました。まだクライアントとの信頼関係ができていないような新卒1年目の社員もたくさんいる中で、どうやって時給アップの交渉をするか、今でもメンバー間でナレッジを共有しながら試行錯誤しています。

時給アップを納得いただくためには、やはりデータが重要です。職種やエリアごとの平均時給などの現状を正しくお伝えすることで、「時給アップが採用や離職防止につながる」とご納得いただけます。

またクライアントに「どんな人を採用したいですか?」とお伺いすると、未経験よりも経験者の方がよいとご回答いただくことが多いです。そうであれば、スキルのある経験者は職場を選べるので、少しでも条件がいいところを選びますよと、私だったらそうしますよと客観的なユーザーの目線をお伝えしています。

もちろん各社状況は違いますので、その状況をきちんと理解した上で「働く人、御社のためにも……なんとかあげてください!」と、掲載中にも何度か言うようにしています。最終的には自分の思いや情熱を伝えることを意識していますね。

――さまざまな壁にぶつかりながらも、フィロソフィーの実現を目指して取り組んだプロジェクトだったのですね。各部署の連携や工夫を、皆さんはどう見ていましたか?

稲原氏:プロジェクト推進をしている僕たちがやっているのは、あくまでもユーザーがハッピーになるためのストーリーづくりや設計の部分だけ。クライアントやユーザーとの接点を担う現場のメンバーの努力があってはじめて実現できるんです。プロジェクトを形にしてくれる他部門のメンバーにいつも助けられていますし、感謝しています。

谷氏:「ディップ ・インセンティブ・プロジェクト」を含めたクライアント向け提案のアイデアを、企画部門がスピーディーに形にして後押ししてくれることは、他社の採用コンサルタントとの大きな差別化ポイントになっています。

またクライアントに耳障りの良いことだけ伝えるのではなく、私たちのフィロソフィーでもある「応募するユーザーが幸せな状態」を目指しましょうとお伝えするのがディップの採用コンサルティングだと思っています。「そうすることでよりマッチした人に出会えますよ」と自信を持ってお伝えできるのは、開発部門がユーザーファーストを追及してサイトづくりを行っているからこそです。

芥川氏:フィロソフィーに対する共感と、目的のために協力し合うという考え方が根底になければバリューチームは生まれません。

開発部門では「ディップ・インセンティブ・プロジェクト」の思いや、やりたいことを伝えられるのか、日々試行錯誤していますが、その際にクライアントの反応を伝えてくれる営業や、企画部門のアイデアに助けられています。一つの部門だけではなく、色々な部門の声を取り入れながらプロジェクトをつくっている点が私たちの強みですね。

ユーザーとクライアントに寄り添いながら、社会を変えるきっかけになりたい

――最後に、これからディップでどんな貢献をしていきたいか、意気込みをお願いします。

稲原氏:ディップは「ワクチン接種する方の仕事に関する不安材料を払拭してあげてほしい」「時給上げてください」など、今まで他社が取り組んでこなかったような独自の活動に取り組んでいます。その背景にあるのは「マッチした雇用が生まれることによって、明るく幸せに生きられる人が増えてほしい」、そして「一つの会社に長く、安定して活躍してくれる人材が増えることで、成長する会社が増えてほしい」という思いです。

そのために色々な取り組みをこれまでもやってきましたし、今後も続けていきます。直近のチャレンジは、引き続き時給アップです。賃金相場の停滞などといった社会問題に対して、ディップの採用コンサルタントの働きかけや「dipさん」のTVCMが、アルバイトの方を始めとする働く方々の処遇改善のきっかけになれたら素敵だなと思います。

産みの苦しみは大きいですし、ときに現場は叱られたりすることもありますが(笑)、歩みを続けることで社会が改善されるきっかけをつくっていきたいです。

芥川氏:これからも存在し続けるであろう「しごと探し」に対して、「バイトル」「はたらこねっと」「バイトルNEXT」「バイトルPRO」は常に寄り添う姿勢で開発に取り組んでいけたらと思っています。

ユーザーのより良いしごと選びに貢献するには、色々な仕事がストレスなく探せる・選べること、情報に嘘がないこと、応募時のイメージと入社後の現実とにギャップがない状態をつくることが欠かせません。動画や応募バロメーター、しごと体験・職場見学、dipさんからのメッセージなど、私たちのサイトにしかない情報にさらに磨きをかけて、より良いしごと選びをサポートしていきたいです。

谷氏:私自身が過去にバイト探しをしていたときには、「ここで働きたい!」とワクワクしながらバイト探しをしていました。そのときのようなワクワクを、バイトルに訪れたユーザーにも味わってもらいたいと思っています。

年齢や国籍に関係なく、「ここで働くのが楽しそう」と思っていただける求人情報や、企業の魅力がきちんと伝わる原稿がたくさんあるサイトを作りたいです。そんなサイトができたら、ユーザーだけではなく、その先のクライアントにもメリットがあります。一番満足できる場所に人は集まる。そして、ユーザーが集まる場所が最もクライアントに喜ばれる場所でもあるはずです。

ディップに頼んだら、応募だけではなく採用・活躍まで見据えて求人原稿を作ってくれる。そして企業のより深い魅力を表現してくれるから、マッチした人材に出会える。クライアントの皆さまにそう思っていただけるように今後も尽力します。

(鈴木智華)