ミドル再生のために人事部はいま何をすべきか

―― 大学卒業後、野村総合研究所に入社されたのが1981年。『中堅崩壊』の中で、若手社員にとって当時のミドルは、個室に陣取り、布張りのひじ掛けいすに座る「憧れの課長さん」であったと振り返っていらっしゃいます。いまのミドルとはステータスも違えば、会社の扱いも違ったわけですか。

すごく大切にされていたという記憶がありますね。個室やいすだけじゃありません。課長以上になれば、出張時の新幹線はグリーン車、飛行機ならビジネスクラス、ホテルのランクも違いました。そういう扱いを通じて「あなたを大切にしています」という会社のメッセージが出ていたんですよ。ところがバブル崩壊後の長期不況の中で、企業はコストダウンに走った。コストダウンそのものは間違いじゃありません。しかし3000円のグリーン券をけちって10万円分のやる気を失ってしまったら、9万7000円分の損失でしょう。ましてグリーン車やビジネスクラスにかかる費用なんて、人件費全体から見たら実は大した額じゃないんですよ。もちろんお金をかけてチヤホヤすれば、仕事へのコミットメントが高まるわけではありませんが、尊重されること、大切にされること、もっといえば自分をまともな人間として認めてもらえることで、社員は「もっと頑張ろう」という前向きな気持ちになれる。動機付け理論でいうところの「認知」と「賞賛」ですね。