【求人動向】アパレル業界で応募を集めるお仕事条件・3つのポイント

株式会社iDA(アイ・ディ・エー)
営業推進本部
スタッフHR Div 人事企画
斎藤 千栄氏

さいとう・ちはる/2004年㈱iDAへ入社。派遣社員の登録面談やお仕事マッチングをするコーディネーターとして4年、その後7年営業を手がけたのち、現職へ。派遣社員、アンバサダー社員の人事を担当。働きがいがある制度改革に取り組み、新たな試みを多数手がけている。

ファッション・コスメ業界の人材獲得は、他業界と同様に大変な売り手市場となっている。そのため、採用に苦労している経験を持つ方も多いだろう。そして、この業界で最も働く人の多い「販売員」にフォーカスすると、採用競争は熾烈さを増している。

もうこのまま採用はできなくなってしまうのだろうか。採用は工夫次第でどうにかなるものだろうか。

今回は常時派遣スタッフ6000名を抱え、年間1000名ものスタッフをブランドへ社員化しているファッション・コスメ業界に特化した人材会社「iDA」の営業推進本部スタッフHR Div・人事企画で働く斎藤氏にアパレル業界で応募を集めるお仕事条件について聞いた。

ブランドネームだけでは人材が確保できない時代

「近年は外資系ラグジュアリーブランドなど、これまでブランドネームで人材確保ができていたブランドでも、新卒採用や店舗オープンなど大幅な人員が必要となるタイミングでは苦戦しています」と斎藤氏は話を始めた。

「原因としては、日本の人口減や、インバウンド消費が増加し続け販売員の需要も増加していることが挙げられます。また最近では、ショッピングセンターやアウトレットなど、郊外の商業施設の増加があります」

長期的にはAIの活用やECの台頭などで安定するかもしれないといった話もあるが、現在はどのブランドも販売員の確保が課題のようだ。

「この業界ではオフィス職(営業・事務など)や、専門職(MD・バイヤー・デザイナー・生産管理など)より、販売・接客業務が圧倒的に多く、販売職が最も必要とされます。販売員のイメージには「立ちっぱなしで疲れる」「給与が安い」「キャリアパスが描けない」「同じブランドにいつまでも居られない(ブランドイメージで年齢に区切りがある場合がある)」といったマイナスイメージも多いのは事実です」

そして、日本ではまだ販売員が専門職として確立しているとも言い切れない。

「しかし、実は販売員として40年以上働き続けている方は一定数いらっしゃいますし、女性・男性限らず、キャリア形成が可能な職種です」

短時間・分業・紹介予定派遣の条件がアパレル販売員に人気

今回は販売員にフォーカスして話を進めよう。

「私共のサービスに登録される方は、派遣か転職のいずれかを希望されています。特に業界特性上、繁忙期を中心とした短期的な労働力の需要や、女性比率の多さからくるライフイベントでの休暇の補填などを理由に、派遣スタッフを雇用している会社がほとんどです」

「一方、育児介護などライフイベントを理由に派遣スタッフとして働かれる方も多くいます。実際にファッション業界で働きたい方とお会いし、希望をヒアリングすると、いくつかの傾向が現れているように思います」

世の中が人材不足と言っても、応募が集まる仕事案件もあるらしい。ファッション・コスメ販売員の派遣スタッフで、集客力の高い求人条件とは一体なんだろうか。

「まずは、短時間からでも働けるお仕事。これまでフル勤務で働ける場合に限られていた業務が、2人分でフル勤務1人分とさせて頂けるケースが増えてきました。ライフイベントで制限のある働き方を希望する人は多いです。特に育児中の時短社員の労働力の補填として、学生を活用する場合が多くあります」

短時間を希望する学生からの”ウケ”が1つ目の鍵のようだ。

「次に、分業を行うこと。接客とサポート業務を分けることで、業界未経験者を活用する場合があります。サポート業務は従来販売員が兼任することが多く、販促品を作る業務、アテンド業務、店頭の総務全般を行う付帯業務などを指します。このような働き方をすることで経験を積み、将来的に販売員として就業につながる場合も多くあります」

分業を行うことで業界未経験者が活躍できる場を作るわけだ。

「3つ目に、紹介予定派遣、派遣後紹介を活用することです。実際に働いてから社員化の有無を決定することで、職場とスタッフ双方のマッチングの精度が上がり、長期的には離職率の低下に繋がります。またOJTにより、社員化する頃には即戦力として働くことができます」

自社の社員にする前に実際に働いてもらうことで双方の理解は深まりそうだ。

ブラックバイトから守られる理由で学生から人気の派遣

では、実際に学生とアパレル販売の相性はどうなっているのだろうか。

「実は、iDAでもお仕事案件の条件緩和を背景に、学生スタッフが2016年度、2017年度の間で約2倍に増えました。人材の多様性に即した環境整備を実現している会社は、スタッフが働きやすく定着率も上がります」

また、学生の中では派遣スタッフとして働くことへのイメージが、リーマンショック前後の「派遣」への印象よりかなり良くなっていることもあるようだ。

「派遣で働くメリットとして、専門性が高い仕事である分、バイトより時給が高いこと。ブラックバイトと言われるような、直接雇用の理不尽な対応から雇用が守られる場合があること、が挙げられます。また、就職活動に活かせるというメリットもあります」

ファッション・コスメの販売職は、対応力、言葉遣い、コミュニケーション能力、身だしなみに厳しく、結果的に社会人としての基礎対応力を身に付けられることは、就活に有利のようだ。

「また分業がしっかり進んでいるお仕事案件を用意できているブランドでは、これまで活用できていなかった労働力を活用し、店舗も増加しているように感じます。また学生との早期接点を持つことで、新卒、第二新卒の採用に繋げることができています。学生に限らず、外国人留学生やシニア層、主婦層などにも同じことが言えるのではないでしょうか」

更に多様化してゆく「働き方」

アパレル業界の採用はこの先どうなっていくのだろうか。

「今後しばらくは売り手市場が続くと感じられます。iDAとしては転職支援のニーズの高まりから、東京、大阪に続き、名古屋でも転職支援が始まりました。そしてファッション・コスメ専門の人材会社としてはまだ例の少ない「販売職正社員」の採用を始めました」

ブランドへの直接雇用でなく、あえて人材会社の社員となり出向する、という働き方だ。

「人材会社の販売員ということで、特殊な雇用形態ではあるものの、特に新卒採用では、2018年度31名と、実績を確実に伸ばしています。学生や第二新卒の方は特に情報収集力が高く柔軟な考え方を持ち、条件など自身の希望に沿えば入社へつながります」

ますます働き方は広がっていくのだろう。採用する企業としてもは、今一度自社の業務分担から見直してみてもいいのではないだろうか。

株式会社iDA(アイ・ディ・エー)提供サービス

エージェントサイト『iDA』

転職サイト『MyBRANDS』

ファッション・コスメ専門の人材会社として、取り扱いブランド数No1、利用者満足度第1位、採用実績第1位(実査委託先:楽天リサーチ)iDAの親会社となるWMHグループでは、ファッション・コスメ業界に特化した、人材育成・店舗運営コンサルティング、マーケティング、VMDなど、様々な子会社があり、幅広く課題解決をしている。

(HRog編集部)