【#02】これから外国籍の人材を受け入れていく企業の人事へ。面接時に気をつけるポイント6選

成長し続けるミドルベンチャーを支える人事部の挑戦

2019年創業から20期目を迎えたインターネット企業、株式会社インタースペース。アフィリエイトサービス「アクセストレード」を主力事業に2006年9月東証マザーズに上場を果たす。その後、順調に右肩上がりに成長を続け、毎年過去最高売上を更新し続けている。今回HRog編集部では、成長し続けるミドルベンチャーの人事部にスポットを当てた。

長谷川 武蔵 氏
株式会社インタースペース 人事部 サブリーダー
はせがわ・むさし/2014年に大手人材会社に入社。企業への採用支援および求職者へのキャリアカウンセリングを行う。2017年に当社に入社し採用、研修、制度など各種人事領域を担当する。社会人の初期からキャリア系NPO法人でプロボノワーカーとして大学やベンチャー企業に対しての支援を実施中。採用や研修の領域にてイベント登壇やメディア露出が多数あり。

外国籍の人を採用したい。しかしバックグラウンドや価値観が異なる外国籍の人を面接するとき、どのようにコミュニケーションを取ればよいのか分からない。そのような悩みを持つ人事担当者は多いのではないだろうか。

今回はインタースペースで数多くの外国人を採用してきた長谷川氏に「外国籍の方を受け入れるために面接時に気を付けたほうが良いポイント」について話を聞いた。

外国籍のメンバーとのコミュニケーション

インタースペースでは2013年から自社サービスのアクセストレードを東南アジア向けに展開するなど、積極的に海外展開を行っている。そんな海外向けサービスの開発チームは8カ国(ハンガリー、中国、韓国、インド、ミャンマー、ベトナム、フィリピン、日本)のメンバーで構成されている。

「ダイバーシティを大切にするために、あえて多国籍でチームを構成している」と話す長谷川氏。

「チームとして毎日の口頭でのコミュニケーションを非常に大事にしています。チームメンバーの国柄や文化、大切にしている価値観の理解、相手への尊敬などを重要視しておりウェットな関係性を築けるように心がけています」

また、コミュニケーションの取り方にも特徴があるようだ。

「口頭での会話や報告は日本語で行う一方、ビジネスシーンでのやり取りやテキストでは英語を使用しています。普段は日本語で日常会話を行っているため、他の事業部とも壁はありません。外国籍のメンバーも他の事業部のメンバーと一緒にスポーツをしたり、一緒にお酒を飲んだりすることもあります」

外国籍の方を採用するとき面接で気をつけるポイント

外国籍の方の面接に、最初はかなり苦戦した長谷川氏。面接の経験を重ねていき、これまでに多国籍チームを作るまでになった。これから外国籍の方を採用していくという方に向け、長谷川氏が躓いたことや今でも気をつけていることをまとめてくれた。

①面接マナーを気にしてはいけない

「私たちは日本のマナーが染み付いているので、違和感があったら部下や新入社員にマナーのことを指摘します。しかし外国籍の方の採用ではそんな違和感に過敏になってはいけません」

「コートを脱がない方や集合時間ぎりぎりに来る方、アクセサリーをしたまま面接をする方などがいらっしゃいます。そのような部分を過剰に気にし、不合格を言い渡すことは避けた方がよいです。彼らはただ日本のマナーを知らなかっただけなので、入社後に教えてあげましょう」

②志望動機は薄くて当たり前

「特に初めて日本で就職する方に多い傾向ですが、しっかりと志望動機を言える人は少ないです」

「例えば、日本人が英語を学ぶために留学してどこかで働くことを想像してみましょう。『英語が活かせる環境であれば、多くを望みません』と伝える方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

このように、細かく就職先の選定基準を決めて就業先を決めるよりも、まずは早期に働きたい、チャンスが欲しいと思っている外国籍の方は多いです」

「また、国によっては転職するのは当たり前で深く考える文化がない国もあったりします。人事として行うべきは、その人の大切にしていることと自社で出来ることを繋げてあげることです」

③日本の労働法や労働ルールの概念は一度、横に置いておく

「シンガポールにはAWSという賃金概念があるのはご存知でしょうか? 義務ではないのですが給与12カ月+1カ月分を保障する概念です。またドイツでは、病欠は有給休暇日数から差し引かれないようです」

「このように、働くことに対するルールや慣習は国により大きく異なります。『成長意欲もあるけど、すごく休日を気にする』という理由で不合格にする前に、面接される方の国の慣習を調べたりしてみると良いかもしれません。その国特有の大切にしている労働観や文化が見えてくることも多々あります」

④候補者の言ったことをしっかりと言い返してあげる

「面接に来た方は、自分の話した日本語が伝わってるか不安に感じます。旅行などで海外に行き、外国人にお店の場所を聞いたときの気持ちをイメージしてもらうといいかもしれません。相手が無反応だったり首を傾げたら、不安に感じると思います」

「面接に来てくれた方も一緒です。『あなたの言葉を理解できているよ』という合図を送ってあげることは大切です」

⑤できるだけシンプルでやさしい言葉で話す

「私も面接でやってしまいがちですが、堅い敬語は使わない方がいいです。尊敬語や謙譲語などは上級日本語に部類されます。また言葉としても長くなってしまうので正確なコミュニケーションに繋がりません。

『志望動機を教えていただけますでしょうか?』というかしこまった言葉ではなく『うちの会社のどこに興味を持ちましたか?』ぐらいのシンプルな言葉で話すとよいでしょう」

⑥英語でも話してもらう

「もし英語が使える人が社内にいて面接に入れるようであれば、候補者と英語で会話してもらうことも重要です」

「日本語で面接をしていて、お話にキレがない、小声になるなどの理由からコミュニケーションに不安を感じてしまう候補者の方もいらっしゃるかと思います。

しかしそのような方でも、母国語や英語でお話をしてもらうと饒舌になったり、キレのあるコミュニケーションを取れるようになる人も多くいらっしゃいます」

「外国籍の方との面接は、日本人の面接よりも一層相手の目線に立つことが求められる職務かもしれません。しかし各国の差に触れることは個人的には面白いと感じますし、刺激も多いです。ぜひ積極的なチャレンジをしていただきたいと思います」

(HRog編集部)