株式会社JACリクルートメントの決算分析(2015年12月期)

株式会社JACリクルートメントの2015年12月期決算短信が、2016年1月29日に発表されました。

売上高は、前年同期比20.7%増の112億円となり、設立以来、初めて100億円を超えました。営業利益は前年同期比32.1%増の35億1,900万円、経常利益は前年同期比32.2%増の35億2,500万円、当期純利益は前年同期比14.3%増の18億1,100万円となりました。

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当期において、のれんの減損損失、固定資産除却損を4億4,900万円計上したため、他の利益に比べて当期純利益の増加割合は小さいですが、この計上がなければ、当期純利益は前年同期比42.7%増となります。
上記のグラフからも、増加の一途の成績を上げ続けていることが、よくわかります。

JACリクルートメントの右肩上がりの成長の要因は、どこにあるのでしょうか。2015年12月期決算短信、決算説明会資料等をもとに分析していきます。

独自のビジネスモデル

ロンドン発祥の日系転職エージェントとして1988年に設立されたJACリクルートメントは、英国とアジア7カ国に広がる独自のグローバルネットワークを背景に、日系・外資系の双方において高額案件を扱うという、独自のニッチを占めてきました。

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グローバルビジネス

経済のグローバル化を受け、海外進出日系企業数も増加し続けています。外務省の発表によると、2014年10月1日時点での拠点数は6万8,573拠点で、前年よりも4,796拠点増加し、過去最多を更新しています。

海外連携ネットワークを駆使し、各企業のグローバルビジネスの展開局面に応じた国際的な人材紹介サービスを提供できる体制を整えてきたJACリクルートメントは、経済のグローバル化を追い風とし、日系企業の海外関連求人領域の成約額は前年同期比50%超の高い伸び率を示しました。

高額案件

JACリクルートメントは、事業ターゲットを、「専門性が高いポジション」、「ミドルマネージメントからエグゼクティブポジション」、「グローバル関連のポジション」に絞り、スタッフレベルのポジションよりも年収が高い求人領域に特化してきました。

また、外国人経営者などに対応するため、子会社のJACインターナショナルではバイリンガルで構成し、高額帯の人材ニーズに対応しています。

人材紹介業の需要拡大

従来、日本における中間管理職、スペシャリストの流動化は欧米諸国よりも低い水準に抑えられていましたが、政府による人材流動化の推進により、即戦力となる人材の中途採用が進み、人材紹介業の需要が急速に拡大しています。

生産性の向上

「両面型」のコンサルティング

企業の人材ニーズを受け登録者に対する転職サポートの両方を一人のコンサルタントが行う「両面型」のビジネスモデルを導入し、国内人材サービス行最大規模(※)の約500名のコンサルタントが在籍しています。
(※)JACリクルートメント調べ

コンサルタントのモチベーション向上

JACリクルートメントは、2015年7月に人事制度を抜本的に見直し、高い目標金額を達成したコンサルタントへの賞与分配率を高め、8月には、社業への貢献度が高い社員を対象とした株式付与ESOP信託制度(従業員持株会の仕組みを応用した信託型の従業員インセンティブプラン)を開始しました。

また、11月には研修専任マネージャーを配置し、上級管理職の組織マネジメント力強化と個々のコンサルタントのモチベーション向上への取り組みを行いました。
その結果、下のグラフに示すように、コンサルタント1人当たりの生産性、社員1人当たりの生産性、1件当たりの成約手数料、全てが上昇傾向にあります。

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企業価値の向上

一部上場

2013年から2015年に渡り、3回の株式分割が行われ、株式の流動化が高められてきました。2015年8月には、東京証券取引所JASDAQから同証券取引所市場第一部への株式上場市場の変更が認められ、企業価値が一層向上しました。

定款変更

2016年2月17日開催の取締役会において、定款の一部変更について、2016年3月24日開催予定の定時株主総会に付議されることが決定しました。その内容は、取締役数を、現行の「8名以下」から、「10名以内」に変更することです。会社規模の拡大が計画されているのではないかと、推測できます。

更なる発展へ向けて

1月14日付け産経新聞のビジネス紙「フジサンケイビジネスアイ」に、JACリクルートメント社長の松園健氏のインタビューが掲載されました。(参考:海外進出拡大、ニーズに合った人材獲得 ジェイエイシーリクルートメント)

そこには、
「日系企業による海外進出の動きは引き続き活発化するとみられている。グローバル領域の売り上げは、まだまだ拡大する余地が大きい。このためコンサルタントの数を100人以上乗せて、16年中に600人体制とする。これによって優秀な人材の獲得に力を入れたい」
との、松園社長のコメントが載せられました。

JACリクルートメントは、グローバルビジネスと高額案件という、確固たる独自のニッチを打ち立て、更にはその強みを最大限に活用するために、生産性の向上のための取り組みを行ってきました。今回の決算短信からは、その成果が明らかに見て取れます。この成長はまだまだ続きそうです。

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