日本経済新聞「トラック運賃上がってもすぐ中抜き 中小運送に恩恵薄く」によると、全日本運輸産業労働組合連合会の中央副執行委員長である世永氏が「賃上げが進むタクシー・ハイヤー業界に人材が流出している」と危機感を持っているとあります。実際に、ドライバーの求人市場は職種によってどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、株式会社フロッグが収集したハローワークの掲載情報を活用し、「トラック」「バス」「タクシー」のドライバー求人市場分析レポートをお届けします。最新の傾向を示す参考資料として、ぜひご活用ください!
求人件数動向
ドライバーの求人件数をそれぞれ見てみると、「トラック」「タクシー」「バス」の順で多いことが分かります。
2024年4月最終週の件数は、「トラック」が6,778件で最多。続いて「タクシー」が4,780件、「バス」が2,053件と続きました。
続いて、2020年1月の値を100とした場合の数値で比較してみます。ここでは、ハローワークにおいて求人件数の多い各月最終週のみを抽出しています。
「トラック」では緊急事態宣言のあった2020年5月から求人件数が減っているものの、巣ごもり需要もあったことからその減少率は他より低く、また求人件数の回復も早い様子が伺えました。
また、「バス」ではコロナ禍で移動を控える動きがあったことから、「トラック」「タクシー」と比べて2020年5月以降の求人件数減少率が一番大きくなっています。その後、2023年以降はコロナ禍前以上の水準で推移しています。
最後に「タクシー」では、大きな変動はないものの、コロナ禍前の水準を少し下回る件数で推移していました。
平均月給動向
「トラック」「バス」「タクシー」の平均月給額を2020年1月から2024年4月までの推移で見てみると、それぞれ右肩上がりで賃上げを進めている様子が伺えます。
2024年4月時点では、「トラック」が194,410円で最高額となりました。次いで「バス」が188,431円、「タクシー」が174,779円と続いています。ハローワーク全体での平均月給は193,113円となっており、全職種の平均額を上回ったのは「トラック」のみとなりました。
また、2020年1月から2024年4月にかけて4年間での上昇率を比較してみると、「タクシー」が+9.08%(+14,542円)で最大となっています。次に「バス」が+7.20%(+12,657円)、「トラック」が+5.74%(+10,551円)と続きました。
実際の平均月給額は「トラック」が最高額でしたが、4年間での上昇率は「タクシー」が上回っていることが分かりました。
続いて各月最終週の月給を抽出し、前年同週比を推移で比較してみると、それぞれ2022年の求人回復以降は+2~4%前後で推移しています。
特に「タクシー」は2023年以降+4%前後の勢いが続いており、「バス」でも時期によっては+4%前後の上昇率となりました。一方で「トラック」は最大でも+2%前後での推移に留まっています。
また、今回は募集時の賃金を分析しましたが、「タクシー」では基本給のほか歩合制での給与制度もあることに留意が必要です。
まとめ
今回はフロッグが保有する求人データを活用し、ドライバー業界における「トラック」「バス」「タクシー」の求人市場動向を調査しました。
求人件数においては、コロナ禍における影響の違いが見られました。また平均月給においては、実際の額は「トラック」が最高額となったものの、4年間や前年同週比での上昇率は「タクシー」や「バス」の方が高い結果となっています。「タクシー」は歩合制もあることから、実際の支給額はさらに上がると予想できます。
求人ビッグデータを活用することで、より詳細に、よりリアルタイムに分析することが可能です。ぜひ今後の営業活動や採用活動にご活用ください。
対象期間 :2020年1月6日~2024年4月29日
対象媒体 :ハローワーク
対象雇用形態:正社員
集計条件 :媒体記載職種に「トラック/バス/タクシー」を含む
平均月給 :求人情報の給与項目内にある給与情報を数値に変換し、下限の金額を合算・平均して算出した