【HRog決算解説】パーソルホールディングス株式会社の2025年3月期第3四半期決算から見える人材業界の最新トレンドは?

パーソルホールディングス株式会社の2025年3月期第3四半期決算が発表されました。この記事ではその決算・IRの内容をわかりやすく解説し、人材業界の最新トレンドに迫ります。ぜひチェックしてください!

2025年3月期のパーソルグループ決算一覧はコチラ

2025年3月期第3四半期(当記事)
2025年3月期第4四半期(5月頃発表予定)

一目でわかる! 決算情報のグラフィックまとめ

パーソルの2025年3月期第3四半期の決算における売上高や純利益の増減率とその要因について、グラフィックで分かりやすくまとめました。

もう少し詳しく! 今期セグメント別の業績は?

パーソルの第3四半期の業績を、セグメント別にもう少し詳しくまとめました。

主要セグメント・サービスの業績について

出典元:決算説明資料(p.10)

Staffing SBU

Staffing SBUは、国内で事務領域を中心とした人材派遣事業および人材紹介事業を展開しています。

派遣就業者数の増加(前年同期比+2.9%)および平均請求単価の上昇(前年同期比+1.9%)が寄与し、売上収益は4,548億円(前年同期比+5.0%)となりました。また、人材紹介事業の好調も後押しし、営業利益は241億円(前年同期比+11.9%)となりました。

BPO SBU

BPO SBUは、受託請負のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業を主として展開しています。

コロナ関連の業務が減った影響はあったものの、自社のサービス拡充による成長(オーガニック成長)によって売上は834億円(前年同期比+2.1%)となりました。ただし、コロナ関連業務が終了した影響で、営業利益は31億円(前年同期比-28.0%)と減少しました。

Technology SBU

Technology SBUは、IT領域やエンジニアリング領域の製造・開発受託請負事業、および技術者派遣事業を展開しています。

エンジニアリング領域における製造業向け請負事業の需要増加、IT・DXソリューション領域の堅調な成長により、売上収益は846億円(前年同期比+11.9%)となりました。これにより営業利益も53億円(前年同期比+23.9%)に増加しました。

Career SBU

Career SBUは、正社員の中途採用支援を行う人材紹介事業や、求人メディア「doda」を展開しています。

堅調な求人需要を背景に売上収益は1,073億円(前年同期比+13.8%)となりました。第3四半期からは来期成長を見据えたマーケティング投資を強化しましたが、増収効果により営業利益は201億円(前年同期比+41.5%)となりました。

Asia Pacific SBU

Asia Pacific SBUは、アジア地域での人材サービス事業および豪州におけるファシリティマネジメント(施設管理)事業などを展開しています。

豪州のファシリティマネジメント事業の成長や為替影響が追い風となり、売上収益は3,591億円(前年同期比+16.4%)となりました。営業利益も59億円(前年同期比+14.1%)となり、増益基調が続いています​。

今期の業績予想について

2025年3月期の連結業績予想に変更はなく、売上高は1兆4,550億円(前年同期比+9.6%)、純利益は365億円(前年同期比+21.8%)での着地を見込んでいます。

今期決算資料の注目トピックは?

出典元:決算説明資料(p.30)

パーソルグループは2025年2月3日、コンタクトセンターおよびITサポートのアウトソーシングサービスを提供している富士通コミュニケーションサービス株式会社を買収し、社名をパーソルコミュニケーションサービス株式会社へと変更。パーソルビジネスプロセスデザイン株式会社の完全子会社としました。

買収の目的について、代表取締役社長 CEOの和田孝雄氏は「IT関連のサポート領域、運用支援領域を強化することで、BPO事業全体の強みを拡張させたい」とコメントしています(決算説明書き起こし,p.19)。

出典元:決算説明資料(p.32

またパーソルのBPO事業はこれまで汎用BPOに強みがありましたが、今後はIT関連などの専門BPOの強化も進めていくとしています(決算説明書き起こし,p.20)。

今回のM&Aを通してIT知見の高い人材を確保し、ITシステムの運用企画やサポート支援を強化することで、対応領域の拡大と顧客への更なる価値提供を目指します。

まとめ~人材業界の最新トレンドは?~

パーソルホールディングスの2025年3月期第3四半期決算では、主力のStaffing SBUが堅調な推移を見せつつ、BPO SBU、Technology SBUが成長しているのが注目ポイントです。

特にBPO SBUは、コロナ関連業務の縮小という逆風がありながらも、自社サービスの拡充を通じて成長を維持しました。さらに、ITサポート領域のM&Aを通じて、これまで強みとしてきた汎用BPOに加え、専門BPO領域にも事業を広げる動きが加速しています。

また、Technology SBUではエンジニア派遣やDX関連ソリューションの需要が堅調で、売上・利益ともに2桁成長を達成。このBPO SBUとTechnology SBUは来期以降の中期経営計画において、Staffing SBUに次ぐ利益成長の柱にするために注力していくセグメントであると示されています(中期経営計画,p.9)。

人材業界全体でも専門性の高い領域へのシフトやDX推進が成長のカギとなる中、パーソルは中計に則り、強みを活かしながら事業領域を広げています。今後もこの動きが業界全体にどのような影響を与えるのか、HRog編集部では引き続き注目していきます!

2025年3月期のパーソルグループ決算一覧はコチラ

2025年3月期第3四半期(当記事)
2025年3月期第4四半期(5月頃発表予定)

【参考URL】
パーソル2025年3月期第3四半期 決算短信
パーソル2025年3月期第3四半期 決算説明資料
パーソル2025年3月期第3四半期 決算説明書き起こし