HRog | 人材業界の一歩先を照らすメディア

【HRog決算解説】ディップ株式会社の2026年2月期第3四半期決算から見える人材業界の最新トレンドは?

ディップ株式会社の2026年2月期第3四半期決算が発表されました。この記事ではその決算・IRの内容をわかりやすくまとめて分析・解説し、人材業界の最新トレンドに迫ります。ぜひチェックしてください!

ディップ決算解説の一覧はコチラ

一目でわかる! ディップ決算情報のグラフィックまとめ

ディップの今期決算について、売上高や純利益の増減率とその要因をグラフィックで一目でわかるようまとめました。

全社の業績としては、ソリューション営業体制への移行に伴う担当企業の引継ぎ業務による影響を全期間にわたり受け、新規顧客や過去に取引があった顧客の契約獲得が鈍化しました。その結果、売上高は423.8億円(前年同期比0.6%減)となっています。

また、スポットバイトルへの先行投資に加え、体制変更に伴う本社オフィスの拡張および
新卒社員の採用などの投資を行った結果、営業利益は80.9億円(同25.7%減)、経常利益は81.0億円(同24.9%減)、純利益は56.0億円(同23.9%減)となりました。

もう少し詳しく! 今期セグメント別の業績は?

ディップの今期決算について、セグメント別の業績や業績予想について詳しくまとめました。

主要セグメント・サービスの業績について

出典元:決算説明資料(p.15)

人材サービス事業

人材サービス事業は、主に下記サービスを運営しているセグメントです。

人材サービス事業
・スポットバイトサービス「スポットバイトル」

メディア(求人広告)サービス
・アルバイト・パート求人情報サイト「バイトル」
・スポットバイトサービス「スポットバイトル」
・正社員・契約社員求人情報サイト「バイトルNEXT」
・専門職総合求人サイト「バイトルPRO」
・総合求人情報サイト「はたらこねっと」

人材紹介サービス
・医療専門職向けサービス「ナースではたらこ」
・介護職向け「介護ではたらこ」

メディアサービス(求人広告)に関しては、ソリューション体制への変更に伴う引継ぎ業務の増加により、新規顧客や過去に取引があった顧客の契約獲得が鈍化したため、契約社数が前年同期比7.5%減の14,853社となりました。一方で、1契約あたりの単価は前年同期比2.4%増の25.7万円となり、人材企業を中心にシェア拡大が進んだことが単価上昇につながりました(決算説明資料,p.27-29)。

また、メディアサービスの売上高と厚生労働省『一般職業紹介状況(職業安定業務統計)』を元にした新規求人倍率の前年比推移を見ると、第3四半期のメディアサービス売上高は前年同期比5.2%減でしたが、市場成長率と概ね連動する新規求人倍率も同様にマイナス圏で推移しています。飲食、小売領域を中心に市場環境の弱含みが継続していることがわかりました(決算説明資料,p.16)。

その結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は373.6億円(前年同期比0.7%減)、セグメント利益は125.8億円(同15.2%減)となりました。

DX事業

DX事業は、中堅・中小企業に特化したSaaS型のDX商品「コボット」シリーズを提供しているセグメントです。

当第3四半期連結累計期間は、地図検索における表示順位向上により顧客企業の販促活動を支援する「集客コボット for MEO」の売上が順調に伸長しました。一方で、応募者との面談スケジュールの自動調整等を行う「面接コボット」や派遣会社の営業先リスト自動作成等の営業支援を行う「HRコボット」のほか、職場紹介動画をはじめとするバイトルの独自機能を活かして企業の採用ページを作成する「採用ページコボット」がメディアサービスの契約社数減少に伴い売上が減少しました(決算短信,p.2)。

月額課金対象社数は前年同期比12.6%減の12,256社となりましたが、「集客コボット for MEO」の1社あたりの利用拠点拡大により、四半期平均の1社あたり売上高(ARPU)は4.4万円と堅調に推移しました(決算説明資料,p.36-37)。

その結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は50.2億円(前年同期比0.3%減)、セグメント利益は28.6億円(同15.3%増)となりました。

今期の業績予想について

2026年2月期の連結業績予想は変更なく、売上高は600億円(前期比6.4%増)、営業利益は120億円(同10.5%減)、経常利益は119億円(同10.2%減)、純利益は80億円(同10.6%減)での着地を見込んでいます。

第4四半期の業績計画達成に向けた状況については、売上高・利益ともに難易度が高まっていると認識しているものの、最終的な業績の着地は繁忙期である1月および2月の受注状況で大きく変わるため、期末商戦をやり切った上で慎重に判断するとしています(質疑応答集,p.2)。

今期決算資料の注目トピックは?

出典元:決算説明資料(p.4)

ディップは、スポットワーク業界で課題となっていた未払い賃金問題に対し、業界に先駆けて対応を進めてきました。

就業直前の事業主都合キャンセルにおいてもワーカー保護を重視し、2025年4月には規約を変更。さらに、規約変更前に同様の理由で就業機会を失ったユーザーに対しても、賃金相当額を自社負担で支給するなど、ユーザーファーストな姿勢を明確にしています。

その後、2025年10月にワーカーが事業主側に過去の就業前キャンセルに対する賃金相当額の支払いを求めて提訴し、12月には東京簡易裁判所が事業主側に賃金相当額の支払いを命じる判決を下しました。この問題は新聞・テレビなど複数のメディアで取り上げられ、集団訴訟へと発展する動きも報じられています。

出典元:決算説明資料(p.12)

また、ディップは、金融機関から人材ニーズのある企業を紹介してもらう仕組みとして、「ゼロプロジェクト」を始動しました。信用審査を経た企業との取引拡大で、「闇バイト掲載ゼロ」の継続を図ります。

徹底したチェック体制の構築、AIと人による二重チェック、社会全体への啓発活動などの取り組みを進めており、多数の金融機関からも賛同を得ています。

営業面では、ソリューション体制への移行が進んでいます。顧客への提案では「バイトルトーク」を起点とすることで、顧客企業との商談機会が着実に拡大しています。

具体的には、まず「バイトルトーク」によって職場内コミュニケーションの改善やシフト管理を支援。その過程で欠員状況を可視化し、慢性的な人手不足には「バイトル」、突発的な欠員には「スポットバイトル」を活用して、最適な人材募集につなげます。さらに「面接コボット」を組み合わせることで、応募者対応を含む採用プロセス全体の効率化を図っています。

来期の業績見通しについて

2027年2月期の業績見通しについては、1月および2月の受注動向が来期の売上成長率の発射台に直結すると認識しているため、第4四半期の業績進捗を踏まえた計画を通期決算発表にて説明するとしています(質疑応答集,p.2)。

中期的には、先行投資の収益化により、2026年2月期6%、2027年2月期8%の売上成長を目指しています。また、2027年2月期は、大幅増益の営業利益170億円超も見込んでいます(決算説明資料,p.24)。

先行投資の内訳は、スポットバイトルへの投資が40億円、その他プロダクトの開発に係る投資が20億円です。これらの投資は、来期以降も継続して実施する見込みです(質疑応答集,p.2)。

まとめ~人材業界の最新トレンドは?~

ディップの2026年2月期第3四半期決算は、ソリューション営業体制への移行とスポットワーク領域への先行投資が、短期的には減収減益要因となりつつも、中長期的な事業基盤強化に向けた重要な転換期であることを示す内容となりました。契約社数は減少した一方で、1契約あたり単価の上昇やDX事業の利益成長など、提供価値の高度化に向けた成果も着実に表れ始めています。

足元では先行投資が利益を圧迫していますが、来期以降はその収益化フェーズへの移行を見込んでいます。営業体制の再構築と複数プロダクトを組み合わせたソリューション提案がどこまで浸透し、成長軌道へ回帰できるかが、今後の注目ポイントとなりそうです。

HRog編集部では、引き続きディップの決算情報を四半期ごとに追っていきます!

ディップ決算解説の一覧はコチラ

【参考URL】
2026年2月期第3四半期決算短信
2026年2月期第3四半期 決算説明資料
2026年2月期第3四半期 決算発表 質疑応答 要旨