【HRog決算解説】株式会社リクルートホールディングスの2025年3月期第3四半期決算から見える人材業界の最新トレンドは?

株式会社リクルートホールディングスの2025年3月期第3四半期決算が発表されました。この記事ではその決算・IRの内容をわかりやすく解説し、人材業界の最新トレンドに迫ります。ぜひチェックしてください!

2025年3月期のリクルート決算一覧はコチラ

2025年3月期第3四半期(当記事)
2025年3月期第4四半期(5月頃発表予定)

一目でわかる! リクルート決算情報のグラフィックまとめ

リクルート全体の2025年3月期第3四半期の決算における売上高や純利益の増減率とその要因について、グラフィックで分かりやすくまとめました。

もう少し詳しく! 今期セグメント別の業績は?

リクルートの第3四半期の業績を、セグメント別にもう少し詳しくまとめました。

主要セグメント・サービスの業績について

出典元:決算説明資料(p.22)

HRテクノロジー事業

HRテクノロジー事業は求人情報サイト「Indeed」、企業の内部情報がわかる求人・転職サイト「Glassdoor」を60か国以上で展開しているセグメントです。

米国では求人広告の単価上昇が求人広告数の減少を上回ったことが影響し、売上収益は1,805億円(前期比 +8.0%)となりました。日本ではIndeed PLUSの影響により、売上収益が303億円(前期比 +66.9%)と大きく成長しました。

セグメント全体の売上高は2,754億円(前期比 +13.3%)、調整後EBITDAは989億円(前期比 +22.6%)となりました。

マッチング&ソリューション事業

マッチング&ソリューション事業は、主に下記のサービスを展開しているセグメントです。

販促領域
・ 不動産情報サイト 「suumo」
・ 美容サロン予約サイト 「HOT PEPPER Beauty」
・ 飲食店予約・クーポンサイト 「HOT PEPPER グルメ」
・ 旅行・宿泊予約サイト 「じゃらん」

人材領域
・ 新卒向け就職情報サイト 「リクナビ」
・ 転職情報サイト 「リクナビNEXT」
・ アルバイト・パート求人情報サイト 「タウンワーク」
・ 転職支援サービス 「リクルートエージェント」

SaaS
・業務・経営ツール 「Air ビジネスツールズ」

販促領域の売上収益は1,328億円(前期比 +7.4%)、EBITDAは458億円(前期比 +8.8%)でした。主要サービスそれぞれが堅調に推移したことが影響しています。

人材領域の売上収益は632億円(前期比 -13.6%)、EBITDAは110億円(前期比 -16.4%)でした。人材紹介サービスは堅調に推移しましたが、2024年1月末から人材領域内の求人広告サービスをIndeed PLUSに移行している影響により、セグメント全体では減収となりました。

一方で移行のペースは想定より緩やかであるため、売上収益の減少も想定より少ないとしています(決算書き起こし,p.2)。また、2025年3月末までに新卒以外の求人広告サービスはIndeed PLUSに完全に統合予定です(Q&A,p.4)。

出典元:決算短信(p.15)

人材領域の売上収益は前第3四半期累計期間より9.0%(210億円)減少し、国内HRテクノロジー事業の売上収益は310億円増加しています。期初計画では人材領域の売上収益が10%から23%減少すると予想されていたため(24年3月期通期決算短信,p.11)、想定ペースよりも移行が緩やかであることが数値からも伺えます。

セグメント全体の売上収益は1,987億円(前期比 -0.4%)、EBITDAは502億円(前期比+8.1%)となりました。

人材派遣事業

人材派遣事業は、日本ならびに欧州、米国および豪州にて人材派遣サービスを提供しているセグメントです。

日本では人材派遣需要の伸長により売上収益は2,084億円(前期比 +7.8%)。欧州、米国および豪州では不透明な経済見通しを背景に鈍化が継続し、売上収益は2,300億円(前期比 -4.2%)での着地となりました。

セグメント全体の売上収益は4,384億円(前期比 +1.1%)、EBITDAは319億円(前期比 -1.9%)となりました。

今期の業績予想について

同社は経済環境の急激な悪化が起こらない仮定に基づき、業績予想を修正しました。

売上収益は3兆5,600億円(前期比 +4.2%)、調整後EBITDAは6,730億円(前期比 +12.5%)、純利益は4,030億円(前期比 +14.0%)といずれも過去最高額での着地を見込んでいます。

今期決算資料の注目トピックは?

出典元:決算説明資料(p.25)

リクルートはこの3点を事業戦略として掲げています。昨年9月、1点目の「Simplify Hiring」の推進を加速するため、2025年4月1日を目途にグループのガバナンス体制を変更し、2つの子会社を新設すると発表しました。

①株式会社インディードリクルートパートナーズ
 事業概要:人材メディア事業の販売代理店機能、人材紹介事業等

②株式会社インディードリクルートテクノロジーズ
 事業概要:人材関連事業の開発機能等

これに伴い、2025年4月1日を目途にマッチング&ソリューション事業の人材領域をこの2社に分割移管し、HRテクノロジー事業の配下として一体運営する予定であるとしています。

そして今回の決算タイミングで、同社は4月以降の執行体制を決定したと発表。新子会社2つの社長を兼任する淺野 健氏は、これまで『フロムエー』『とらばーゆ』等の編集長を経験し、2022年からはマッチング&ソリューションSBUの常務執行役員としてプロダクト本部を担当してきました。

淺野氏は「リクルートの人材領域とHRテクノロジーSBUを統合するために、この新しい役割を担うことを大変光栄に思います。日本における仕事探しをより簡単にしていくために、すでに提供開始しているIndeed PLUSの成長を促進することはもちろん、さらに連携を深めていくことを楽しみにしています」とコメントしています。

出典元:決算説明資料(p.6)

また同社は、昨年7月から開始した過去最高規模となる6,000億円分の自己株式取得プログラムを完了したと発表しました。

今後の施策としては、投資余力や市場環境を考慮し、適切な手段を実行していく予定であるとしています。

まとめ~人材業界の最新トレンドは?~

リクルートの2025年3月期第3四半期決算では、HRテクノロジー事業が引き続き成長を牽引し、Indeed PLUSの拡大が進んでいることが分かりました。

また、新子会社2社のトップにリクルートのプロダクト本部を担ってきた淺野健氏が就任することも注目ポイントです。プロダクト本部は、リクルートのデジタルプロダクト戦略の中心を担い、IndeedやHRテクノロジー事業全体の成長を支えてきた部門。

そのリーダーが新会社の舵取りをすることで「Simplify Hiring」の推進が加速し、Indeedが掲げるビジョンである「求職者がボタンを押すのと同じくらい簡単に仕事に就けるようにすること」が、より具体的な形で実現に向かっていくと予想されます。

6,000億円規模の自己株式取得を完了したことで、今後の投資戦略にも注目が集まりそうですね。

日本の時価総額ランキング5位のリクルートは、人材業界のみならず日本経済をもけん引する存在。HRog編集部では、引き続きその動向を追っていきます!

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2025年3月期第3四半期(当記事)
2025年3月期第4四半期(5月頃発表予定)

【参考URL】
リクルート25年3月期第3四半期 決算短信
リクルート25年3月期第3四半期 決算説明資料
リクルート25年3月期第3四半期 決算説明資料書き起こし
リクルート25年3月期第3四半期 Q&A書き起こし