登壇者
株式会社フロッグ
マーケティング部 HRog編集部
秋元 真衣
あきもと・まい/2022年4月に株式会社フロッグに新卒入社。マーケティング部兼HRog編集部に所属。人材業界向けメディアHRogで人材ニュースの配信や、取材などを行う。
株式会社フロッグ
セールス部
中村 彩香
なかむら・あやか/2022年に新卒で株式会社フロッグへ入社し、セールス部へ配属。クライアントファーストをモットーとし、データ活用を日々勉強中。座右の銘は「日進月歩」
2022年9月1日、人材業界で働く営業向けセミナー「人材営業のための8月の求人マーケット動向振り返り会」が開催された。当日は株式会社フロッグの秋元と中村が、求人データを活用した求人マーケットの最新動向を解説した。今回はその様子をレポートする。
正社員マーケットでは「営業/事務/企画/管理」職種の出稿が増加
秋元:2022年8月の正社員マーケットでは、「営業/事務/企画/管理」職種の出稿が最も増えていました。特に営業職求人は1,198件と大幅に増加しています。
中村:売上拡大のための投資として営業職人材の獲得に踏み切る企業が増えたのでしょうか? どんな企業が求人を掲載しているのか気になりますね。
秋元:上記は前月比で「営業職」の募集が増えた企業のランキングです。制御機器や電子部品、ヘルスケア製品などを扱うオムロン社で急激に増加していることが分かります。
中村:7月では2件だった求人が15件になっているのですね。営業職の採用をこのタイミングで強化しているのはなぜでしょうか。
秋元:上記はオムロン社が2022年1月~8月までに出した「営業職」求人の件数推移です。8月から採用を強化しているというよりは、4月から7月にかけて一時的に求人をストップしていた動きにも見えます。
秋元:またIR情報を見てみると、オムロン社の4月から6月までの業績は、3月下旬から6月1日まで続いた上海のロックダウンの影響を受けて大きく悪化したことが分かりました。
中村:上海工場では生産制限がかかってしまい、工場を稼働させられなかったのですね。ただしロックダウンが解除された6月中旬以降は工場稼働率が正常化し、6月単月の業績は前年を超える水準まで回復しているようです。
外部環境の変化による急激な業績悪化の中、利益確保のために求人掲載を停止していた様子が窺えます。各国のコロナ対応とその国に進出している企業の業績、そして求人数の関連性が見えてきますね。
秋元:IRやニュースなどをチェックすることで、求人動向の予測に役立てられそうです。
アルバイト・パートマーケットは「ドラッグストア/化粧品販売」職種で求人増
秋元:2022年8月のアルバイトマーケットでは、前月比で「販売/接客」系の職種が求人数を伸ばしていました。その中でも特に「ドラッグストア/化粧品販売」の職種で求人数が増えているようです。
秋元:企業別に見てみると、最も求人数を増やしていたのはドラッグストアチェーン大手のクスリのアオキでした。件数ベースでは約900件、前月比ベースでは150%の求人増加率です。
中村:新規店舗の出店など、経営上の大きな決定があったのでしょうか? クスリのアオキの出店戦略が気になります。
秋元:上記は8月に「ドラッグストア/化粧品販売」求人を増やした企業の新規店舗数を表にしたものです。3社を比較してみると、クスリのアオキが積極的に店舗数を拡大していることが分かります。
中村:特に2022年6月と7月は、各月13軒の新店舗をオープンしたようです。急激な出店数増加の背景は何なのでしょうか。
秋元:店舗数拡大方針の背景には、ドラッグストア業界の競争激化が関係しているようです。またコロナ禍のニーズに対応したPCRや抗原検査キットの無料検査事業にも参入しており、無料検査を受ける人を増やすために出店を精力的に行なっているのかもしれません。
中村:2023年5月期の店舗投資計画では新規出店90店舗を掲げるなど、拡大路線は継続。新規エリアの開拓もにらんでいます。またドラッグストアと併設している調剤薬局の数も増やす予定のようです。
秋元:店舗という資産をうまく活かしながら、コロナ検査ニーズや調剤ニーズなどの関連ニーズをうまく拾い上げて事業を拡大する戦略を狙っているのですね。
派遣マーケットでは「運輸/物流/配送」系職種で求人増
秋元:最後に派遣マーケットの最新動向について解説します。上記は派遣マーケットにおける職種別の求人増加件数ランキングです。派遣ニーズが多い「営業/事務/企画/管理」系職種が1位、続いて「運輸/物流/配送」系職種となっています。「運輸/物流/配送」系職種の中でも、軽作業の職種が+8,023件で最も増えていました。
秋元:企業別に見てみると、最も求人数を増やしていたのはテクノ・サービス社。増加率ベースではアデコ社が最も高く、前月比約300%の求人を掲載していました。
中村:アデコ社といえばホワイトカラー職種に注力しているイメージがありますが、軽作業職種での求人も増やしているんですね。
秋元:上記はアデコ社が出している求人の詳細です。製造系の求人ですが、派遣社員としてスタートしたのちに正社員になれる制度をうまく取り入れているようです。また応募条件には未経験OKとあり、幅広い人材を募集している様子が窺えます。
中村:派遣社員としてスタートしたのちに正社員になれる制度というと、紹介予定派遣が思い浮かびますね。アデコ社も紹介予定派遣に注力するのでしょうか。
秋元:アデコ社がHPで公開しているニュースを見てみると、製造・物流分野に特化した無期雇用派遣サービス「テクニカルシード」を新しく開始していたことが分かりました。派遣先の正社員になれる紹介予定派遣ではなく、アデコ社と無期雇用契約を結んで製造や物流の事業所に就業するサービスを立ち上げているのですね。
中村:同社は以前から「キャリアシード」という事務職向けの無期雇用派遣サービスをリリースしており、今回の「テクニカルシード」はそのスキームを製造・物流分野に展開したサービスと言えそうです。
秋元:アデコジャパンの代表が昨年発表した中期計画では、「人財躍動化」をキーワードとし、30万人の「適財」30万ポジションの「適所」の創出を目指しているとありました。無期雇用派遣の、期間制限のない雇用契約をしつつも幅広い就業先を選べる柔軟性がある点に着目して取り組みを広げているようです。
このように各社の求人動向とニュース・IR情報を付き合わせることで、各企業の中長期的な採用ニーズを探ることができます。またクライアントの採用競合となる企業の動きも情報として提供することで、営業として信頼される関係性を作れるのではないでしょうか。
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