エン・ジャパン株式会社
中途採用ソリューション事業部 事業部長
近藤 幸二郎 氏
こんどう・こうじろう/2006年に新卒でエン・ジャパンへ入社。人材紹介サービス『エン エージェント』の営業マネージャーを経て、『エン転職』事業企画の責任者として4倍の事業拡大に貢献。その後、営業部長を経て2022年に事業部長に就任。現在は数百名の組織を牽引している。プライベートではフィリピン・カンボジアの孤児院を支援する団体に所属、 2児の父。
2023年11月6日、「HRog」は10周年を迎えます。「人材業界の一歩先を照らすメディア」として、anのサービス終了やIndeedの登場、コロナショックなど10年間人材業界の動向を追い続けてきたHRog。これからの10年はいったいどんな時代になるのでしょうか?今回はメディア・紹介・派遣・HRTechなど各領域の注目企業様にインタビューし、この10年間が自社にとってどんな10年だったか、そしてこれからの10年間で何を成し遂げたいか伺います。
今回はエン・ジャパン株式会社で「エン転職」の事業部長を務める近藤氏に、エン転職の過去10年間の挑戦と、この先目指していきたい姿について伺いました。
業界初口コミ機能搭載に反発の声も。それでも貫いた「入社後活躍」の軸
近藤氏は直近10年間を「挑戦と変革に迫られた10年間であった」と語ります。
「一番大きな節目は、2014年に『[en]社会人の転職情報』を『エン転職』にリニューアルしたことです。これを機に、サービスのスマホ最適化や、業界初の転職サイトでの口コミ標準搭載など、当時画期的だったさまざまな取り組みに挑戦しました。
口コミ機能に対しては、当初は反発の声が多く寄せられました。良い口コミも悪い口コミもフィルターをかけずに正直に公開する。それが私たちのこだわりでしたが、やはりクライアントである企業からは『掲載料を払っているのにマイナスな声を出すなんて』との厳しい意見をいただきましたね」
それでも口コミ投稿機能を提供し続けることができたのは、エン転職に携わる社員全員が、ユーザーファーストなサービスが最終的には企業にとっても良い方向に働くと信じていたからだといいます。
「エン・ジャパンの一番根幹にある思想は 『入社後活躍』の実現です。コストをかけて採用しても、人材が活躍できなければ企業にとって損になってしまいます。入社前後のギャップの最小化が求職者・企業双方のためになると確信していたからこそ、口コミ投稿は外せない機能だったんです。
この10年で口コミの重要度はさらに増しました。弊社の調査では約90%の人が転職時に口コミを見ていると回答しています。そんな流れを受け、今では口コミを上手く採用活動に活用したいと考える企業が増え、口コミに対する認識はポジティブに変わってきています」
同社は入社後活躍を軸として、その他にもさまざまな取り組みをしてきました。充実した情報の提供によりミスマッチを防ごうという意図から、2016年には0円から採用ホームページの作成・求人掲載ができるサービス『engage』をリリース。2019年には入社後の退職リスクを可視化する『HR OnBoard』の無償提供も開始し、入社後活躍・ユーザーファーストを追求したプロダクト開発・改善を続けてきました。
これからの人材業界にはユーザーファーストの追求が必要
こうした取り組みの結果、エン転職は株式会社oricon MEが発表した「2023年 オリコン顧客満足度調査」の「転職サイト」ランキングにおいて、6年連続で顧客満足度第1位を獲得しました。それでもなおユーザーファーストの追求に「ゴールはない」 といいます。
「世代によって求めるものや感覚も変わりますので、時代に合わせたユーザーファーストで『エン転職』をアップデートしていきたいです。また『入社後活躍』の軸はこれからも変わりません。採用だけで終わらせずその後の定着・活躍まで繋げるためには、より総合的な支援が必要です。『エン転職ダイレクト』や『engage』など他のプロダクトを掛け合わせた、より付加価値の高いソリューションの提案を進めていきます」
求職者視点でのサービスにこだわる同社ですが、人材業界全体で見るとユーザーファーストな考え方はまだまだ浸透していないのが現状だといいます。近藤氏は、これからの人材業界には「求職者の視点に立った本質的なサービスの追求が必要になる」と見解を述べました。
「良い面だけでなく、企業として抱えている課題も含め、詳細な情報が開示された上で仕事選びができる仕組みづくりを業界全体で進めていかなければなりません」
正直で透明性のある転職サービスを通じて人材業界が目指していくべきなのは「ひとりひとりが仕事を通じて幸福感を得られる世界」だと近藤氏は語ります。
「少子高齢化をはじめ様々な社会課題がある中で、国の貴重な人的資本を扱う産業である人材業界の重要性は増しています。自分たちの産業だけが儲かればいいという考えは捨て、業界全体として日本の雇用の問題に向き合わなければならない時代になりました。より多くの方がやりがいを持って仕事をし、それを通じて成長したり世の中に貢献したりできる世界を、人材業界一丸となって目指していけたらと思います」
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