【HRog求人レポート】最低賃金改定の影響は?これまでの傾向を分析!

2024年度の最低賃金改定では、全国平均で50円の引き上げが予定されています。2023年度に続いて引き上げ額は過去最高となっており、昨今の物価高などが反映されている様子がうかがえます。

今回は、株式会社フロッグが収集している求人媒体の掲載情報を活用し、過去の最低賃金改定による影響を分析した時給レポートをお届けします。これまでの傾向から今後の予測を示す参考資料として、ぜひご活用ください!

全体の時給動向

まずは2022年9月から2024年9月の時給中央値を、月次の数値と、それぞれ前月から比較した上昇率で分析します。2022年の最低賃金改定前後では時給中央値が2.10%上昇し、2023年の同時期では1.09%の上昇となりました。

また、2023年6月にも1.20%上昇しており、最低賃金改定のタイミング以外でも募集時給は増加しています。過去最大の最低賃金引き上げが目前となった2024年9月も、募集時給は前月から大きく上昇しており、10月改定直後の上昇率が気になるポイントです。

都道府県・職種別の時給動向

続いて都道府県と職種ごとに、時給中央値の上昇率を最低賃金改定前後の2023年9月最終週と10月初週で比較します。

都道府県別では、宮城県が+2.56%で1位となりました。次いで大分県と鹿児島県が+2.11%、山梨県が+2.00%、愛知県が+1.85%と続いています。

2023年における都道府県別の最低賃金引き上げ幅は、39〜47円でした。宮城県の最低賃金引き上げ額は40円と最低値に近いですが、求人に掲載された時給の上昇率では1位となっています。このことから、最低賃金と実際の時給相場では違いがあることが読み取れます。

また、株式会社ナウキャストがフロッグの求人データを元に分析したレポート『最低賃金の引き上げによるパート・アルバイトの募集賃金への波及効果』では、「最低賃金付近で働くパート・アルバイト労働者の割合が大きい地域ほど、賃上げを実施した企業の割合が多い」という特徴もみられました。エリアごとに、元々の時給相場によって最低賃金引き上げの影響も異なることが分かります。

職種別では、「映像/イベント/芸能/キャンペーン」が+4.35%で1位にランクイン。次に「飲食/フード」が+2.71%、「建設/土木/エネルギー」が+2.02%、「製造/工場/化学/食品」が+1.86%、「ファッション/アパレル/インテリア」が+0.95%と続きました。

10月の最低賃金改定直後から募集時給が増加するかどうかは、職種によっても異なっている様子がうかがえます。

まとめ

今回はフロッグが保有する求人データを活用し、最低賃金改定に伴う時給上昇の動向を調査しました。

時給中央値で見てみると、もちろん最低賃金改定直後も大きく上昇するものの、それ以外の時期にも上昇タイミングがあると分かりました。また、最低賃金改定による募集時給の変動は、都道府県や職種によっても異なります。常に周辺や競合職種の時給相場を把握することで、適切な募集時給を設定できるのではないでしょうか。

求人ビッグデータを活用することで、より詳細に、よりリアルタイムに分析することが可能です。ぜひ今後の営業活動や採用活動にご活用ください。

調査概要

対象期間  :2022年9月5日~2024年9月23日
対象媒体  :イーアイデム、タウンワーク、バイトル、フロムエー、マイナビバイト
対象雇用形態:アルバイト、パート
時給中央値 :求人情報の給与項目内にある給与情報を数値に変換し、下限の金額を合算して中央値を算出した
職種    :複数の求人媒体の情報をまたいで集計するため、媒体記載の職種カテゴリーを使用せず、独自のキーワードマッピング処理に基づいた職種カテゴリーを使用して求人情報を分類・集計した。また、2023年9月25日の求人件数が1,000件以上の職種のみを抽出した。