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【HRog決算解説】株式会社リクルートホールディングスの2026年3月期第3四半期決算から見える人材業界の最新トレンドは?

株式会社リクルートホールディングスの2026年3月期第3四半期決算が発表されました。この記事ではその決算・IRの内容をわかりやすく解説し、業界の最新トレンドに迫ります。ぜひチェックしてください!

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一目でわかる! リクルート決算情報のグラフィックまとめ

リクルート全体の2026年3月期第3四半期の決算における売上高や純利益の増減率とその要因について、グラフィックで分かりやすくまとめました。

第3四半期までの累計の業績としては、売上収益は前年同期比1.5%増の2兆7,367億円、営業利益は21.1%増の4,956億円を達成しました。調整後EBITDAは12.1%増の6,128億円で、親会社の所有者に帰属する四半期利益は15.6%増の3,949億円でした(決算説明資料, p.26)。

もう少し詳しく! 今期セグメント別の業績は?

リクルートの今期決算について、セグメント別の業績や業績予想を詳しくまとめました。本セクションでは、主に決算説明会書き起こしの内容を基に解説します。

HRテクノロジー事業

グローバルで展開する求人プラットフォーム「Indeed」および「Glassdoor」を中心とした事業です。2025年4月から旧マッチング&ソリューション事業の人材領域が統合され、求人広告サービス、人材紹介サービス、その他の人材採用関連サービスで構成されています。

今期は、米国を中心にマネタイゼーションの進化が継続し、大幅な増収となりました。米国では有料求人広告「Premium Sponsored Jobs」の利用拡大により、米ドルベースで10.1%増収を達成。欧州やカナダでも同様に増収となっています。一方、日本では人材紹介サービスの回復の遅れから減収となりましたが、求人広告サービス「Indeed PLUS」は好調です(決算説明会書き起こし, p.2, 5)。

セグメント全体では売上収益は米ドルベースで7.9%増の23.4億米ドル、日本円ベースで8.9%増の3,601億円となりました。調整後EBITDAは29.3%増の1,406億円で、マージン率は前年同期から6.2ポイント増の39.1%と高い収益性を実現しています。増収に加え、従業員給付費用の減少が寄与しました(決算説明資料, p.14)。

人材派遣事業

日本、欧州、米国、豪州で人材派遣サービスを提供する事業です。

日本では人材派遣需要が安定的に推移し、売上収益は概ね11月時点の想定通りに進捗しました。一方、欧州、米国及び豪州でも概ね11月時点の想定通りに推移しています(決算説明会書き起こし, p.6)。

セグメント全体では売上収益4,465億円(前年同期比1.8%増)、調整後EBITDA304億円(同4.6%減)、マージン率は6.8%でした(決算説明資料, p.17)。

マーケティング・マッチング・テクノロジー事業

2025年度より名称変更された、旧マッチング&ソリューション事業の販促領域で構成される事業です。美容、旅行、飲食、SaaSからなるライフスタイル領域、住宅領域、自動車、結婚、教育等からなるその他領域で独自のブランドのマッチングプラットフォームを展開しています。

・ 不動産情報サイト 「suumo」
・ 美容サロン予約サイト 「HOT PEPPER Beauty」
・ 飲食店予約・クーポンサイト 「HOT PEPPER グルメ」
・ 旅行・宿泊予約サイト 「じゃらん」
・業務・経営ツール 「Air ビジネスツールズ」ほか

今期は概ね11月時点の想定通りに進捗しました。美容分野では新規企業クライアントの増加が継続し、全ての領域で増収を達成しています(決算説明会書き起こし, p.6)。

セグメント全体では売上収益1,435億円(前年同期比6.2%増)、調整後EBITDAは494億円(同22.1%増)、マージン率は前年同期から4.5ポイント増の34.4%を達成しています(決算説明資料, p.19)。

今期の業績予想について

リクルートは2026年3月期の通期業績予想を再度上方修正しました。修正後の予想では、売上収益3兆6,647億円(前期比3.0%増)、調整後EBITDA7,638億円(同12.5%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益4,809億円(同17.7%増)と、大幅な増収増益を見込んでいます。

この上方修正の主な要因は、HRテクノロジー事業が想定を上回る好調な実績を記録したことと、為替レートが円安で推移していることです。一方で、人材派遣事業とマーケティング・マッチング・テクノロジー事業の見通しは、前回修正した業績見通しから大きな変更はありません。

今期決算資料の注目トピックは?

出典元:決算説明資料(p.36)

マーケティング・マッチング・テクノロジー事業では、これまでの広告掲載料モデルから、クライアントの売上(GMV: 流通取引総額)に連動して対価を得る「GMV連動モデル」への転換を進めています(決算説明会書き起こし, p.9)。具体的には、先行して美容業界で2026年1月から、GMV(流通取引総額)の1%を従量課金とする「GMV連動モデル」を導入しました。この新モデルによる来年度の追加効果は約120億円となることを見込んでおり、クライアントの事業成長とリクルートの収益がより直接的に連動する形となります(決算説明会書き起こし, p.11)。

リクルートの収益の柱はHR事業だけでなく、マーケティング・マッチング・テクノロジー(MMT)事業も大きな収益源となっています。特に美容分野の「HOTPEPPER Beauty」は事業の大きな柱であり、昨年度のGMV(流通取引総額)は約1.1兆円に達し、これは美容市場全体の約4割を占める規模です(決算説明会書き起こし, p.11)。

【2025年度最新版】売上高から見た人材業界地図」で解説した人材業界の売上高ランキングにおいて、リクルートはランスタッド、アデコに次ぐ3位でしたが、営業利益は4,900億円超と他社を圧倒しています。この収益力の背景には、HR以外の領域も大きく貢献していることがわかります。

出典元:決算説明資料(p.10)

AIの進化に伴うHRテクノロジー事業への影響について、米IndeedはAIの影響を受ける可能性が低いとされる、対面でのサービス提供が中心の「インパーソン・エコノミー」関連の職種で特に多く活用されています。これらの職種が有料求人広告の売上全体の3分の2強を占める一方、AIの影響を受けやすいとされる職種は15%程度に留まっており、現時点でのAIによる影響は限定的だと分析されています(決算説明会書き起こし, p.4)。

また、AIの登場は、Indeedにとって新たな付加価値を創出する機会にもなっています。AIによって求職者が応募書類を簡単に作成し、大量に応募できるようになった反面、採用企業側の確認作業の負担が増えるという課題も生じています。Indeedは、この課題に対してAIを活用して採用プロセスを簡素化し、マッチングの質を向上させることで、単なる求人広告プラットフォームに留まらない、採用活動に不可欠なパートナーとしての価値を高めています(決算説明会書き起こし, p.4)。

まとめ~人材業界の最新トレンドは?~

今回の決算から見えてきた人材業界の最新トレンドは、求人市況に左右されにくい収益モデルへの進化です。リクルートホールディングスは、HRテクノロジー事業を中心に高い利益成長を維持しており、事業構造そのものの強さが際立つ決算となりました。

HRテクノロジー事業では、米国を中心に有料求人広告のマネタイズが順調に進展しています。Indeedは、AIの活用によって「応募数を増やす」だけでなく、「企業が良い候補者を見つけやすくする」方向へ価値提供を進化させており、採用プロセス全体を支援する存在としての位置づけを強めています。

また、HR以外の収益源であるマーケティング・マッチング・テクノロジー事業も重要な柱です。特に美容分野では、GMV(流通取引総額)連動モデルへの転換が進み、クライアントの売上成長とリクルートの収益が連動する形が明確になってきました。

求人掲載数の拡大だけでなく、どれだけ付加価値を提供できるかが人材サービス各社の競争力を左右する時代に入っています。業界の方向性を示す存在として、HRog編集部では今後もリクルートの動向に注目していきます。

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【参考URL】
2026年3月期 第3四半期決算短信
2026年3月期 第3四半期決算説明資料
2026年3月期第3四半期決算 決算説明会書き起こし