
パーソルホールディングス株式会社の2026年3月期通期決算が発表されました。この記事ではその決算・IRの内容をわかりやすくまとめて分析・解説し、人材業界の最新トレンドに迫ります。ぜひチェックしてください!
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目次
一目でわかる! 決算情報のグラフィックまとめ
パーソルの今期決算について、売上収益や利益の増減率とその要因をまとめました。

日本国内の人材不足が続く中、全SBUで増収を達成しました。その結果、売上収益は1兆5,558億円(前年同期比7.2%増)となり、過去最高を更新しました。
利益面でも、売上総利益の着実な増加とコスト最適化により、調整後EBITDAは881億円(同12.6%増)、営業利益は665億円(同15.8%増)といずれも二桁成長を達成しています。また、ROIC(投下資本利益率)は18.2%、ROE(自己資本利益率)は20.9%となり、中期経営計画2026で掲げていた目標をともに上回りました。
もう少し詳しく! 今期セグメント別の業績は?
パーソルの今期決算について、主に決算短信の情報をもとにセグメント別の業績について詳しくまとめました。
Staffing SBUは、国内で事務領域を中心とした幅広い業種への人材派遣事業および人材紹介事業を展開しています。
今期は前年同期比で就業日数が1営業日少ない中でも、派遣就業者数が前年同期比1.8%増、請求単価が同2.2%増となりました。
利益については、増収効果に加えて生産性が向上したことや、利益率の高い人材紹介事業の伸長が追い風となり、調整後EBITDAは348億円(同12.3%増)、営業利益は304億円(同13.0%増)と増益となりました。
BPO SBUは、受託請負のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業を主として展開しています。
大手企業を中心にAI導入支援関連案件などが堅調に推移し、オーガニックでは前年同期比6.8%増の成長をしています。加えて、2025年2月に取得したパーソルコミュニケーションサービス株式会社(旧・富士通コミュニケーションサービス株式会社)が寄与し、売上収益は1,430億円(前年同期比22.1%増)、調整後EBITDAは103億円(同54.9%増)の大幅な増収増益となりました。
Technology SBUは、IT領域やエンジニアリング領域の設計・開発受託事業、および技術者を専門とした人材派遣事業を展開しています。
4Qではエンジニア数・平均売上単価の向上が増収をけん引しました。継続的なエンジニア採用強化により、FY2025期末時点でのエンジニア数は前年同期比7.9%増、売上収益は1,248億円(同8.8%増)となっています。
利益面では、上期に生じたグループ内案件の遅延による影響(約5億円)が下期には収束。請負比率の強化による収益性改善と費用コントロールによって、増益となりました。
Career SBUは、顧客企業の正社員中途採用活動を支援する人材紹介事業や求人メディア「doda」を展開しています。
堅調な求人需要を背景に、通期の売上収益は1,528億円(前年同期比5.7%増)となりました。特にハイクラス層(年収600万円以上の転職希望者)向けの人材紹介やプロフェッショナル人材活用支援サービスは、二桁成長で好調に推移しています。
一方4Q単体で見ると、ボリューム層(年収400~600万円の転職希望者)の厳選採用傾向が強まったほか、dodaとdoda XのID統合に伴う一部ユーザーの離脱によって増収率が鈍化しています。
費用面では積極的なマーケティング投資を継続しながらも、生産性向上(前年同期比12.1%改善)が寄与し増益となりました。
Asia Pacific SBUは、アジア地域での人材サービス事業、および豪州におけるファシリティマネジメント(施設管理)事業などを展開しています。
ファシリティマネジメント事業が好調に推移したことなどにより、売上収益は4,964億円(前年同期比4.3%増)となりました。一方で利益面では、システム刷新費用などの一時的要因が重なり減益となっています。
来期の業績予想について
出典元:決算説明資料(p.28〜29)
2027年3月期の連結業績予想では、売上収益1兆6,650億円(前期比+7.0%)、調整後EBITDA970億円(同+10.0%)、営業利益710億円(同+6.7%)、当期利益445億円(同+4.2%)を見込んでいます。調整後EBITDAの10%成長を達成し、過去最高益の更新を目指します。
また2027年3月期は中期経営計画FY2028(FY2026〜FY2028)の初年度として、AI・システム関連への積極的な先行投資期と位置づけています。
今期決算資料の注目トピックは?

今期決算の注目トピックは、前中期経営計画(FY2023〜FY2025)の総括と、新たな中期経営計画FY2028(FY2026〜FY2028)の発表です。
前中計(グループ中期経営計画2026)の振り返りでは、成果と課題の両面が明らかになりました。成果としては、売上収益が目標の1兆5,500億円を上回る1兆5,558億円を達成し、ROIC18.2%・ROE20.9%と資本効率性の目標もともに上回りました。またCareer SBUが350億円規模の利益の柱に成長し、BPO・Technology・Asia Pacific SBUもそれぞれ100億円規模の利益を確立するなど、収益基盤の多極化が実現しました。
一方で、「テクノロジードリブンの人材サービス企業へ」という経営の方向性に向けては、土台構築は進んだものの、収益性向上などの成果創出はこれからという段階です。

こうした成果と課題を踏まえ、今回発表された中期経営計画FY2028では、基本方針を「AIを起点とした、収益性向上と事業モデル転換」と定めました。その中で、Career SBUとTechnology SBUは「AIモデルの実装や高付加価値領域へのシフトによる高成長・高収益モデルへの転換」を目指す成長領域、Staffing SBU・BPO SBU・Asia Pacific SBUは「安定した売上成長と生産性向上による収益基盤強化」を担う基盤領域と位置付けられています。

特に注目されるのが、Gojob社とR&D FUを核とする「Frontline Worker(現場最前線の職種)領域」領域への展開です。現場オペレーションや顧客接点を担う最前線の職種であるこの領域は、AI代替リスクが低く、2035年時点で約150万人の労働力不足が見込まれるとされています。パーソルはGojobのAIドリブンプラットフォームと自社が保有する1,049万人超の個人データ・多様な就労経路を組み合わせ、この領域での高成長・高収益モデルの構築を目指します。
それに先駆けて、グループ子会社であるパーソルイノベーション株式会社が2026年5月20日、フロントラインワーカーの行動データを活用し、はたらき方の科学的解析から技術開発・実装までを担う研究開発組織「HRサイエンス研究所®」を開設しました。
まとめ〜人材業界の最新トレンドは?〜
パーソルホールディングスの2026年3月期通期決算は、全SBUで増収を達成し、売上収益・全段階利益ともに過去最高を更新する好決算となりました。前中期経営計画の目標であったROIC・ROEもともに達成し、収益基盤の多極化という成果を上げた一方、AIを起点とした事業モデル転換という課題も明確になりました。
今回同時に発表された中期経営計画FY2028では、「AIを起点とした収益性向上と事業モデル転換」を基本方針に掲げ、Gojob社の知見を活かしたFrontline Worker領域への新市場開拓にも乗り出す方針です。人材業界全体に通じる、ハイクラス人材需要の拡大、AIによる業務変革の加速といった潮流が如実に表れた決算といえます。
HRog編集部では引き続きその動向を追っていきます!
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【参考URL】
パーソル2026年3月期通期 決算短信
パーソル2026年3月期通期 決算説明資料
パーソル中期経営計画FY2028
パーソル2026年3月期 通期決算及び中期経営計画説明会書き起こし(通期決算パート)
2026年3月期 通期決算及び中期経営計画説明会書き起こし(中期経営計画FY2028パート)
