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リーダーになって見えた“成長の壁”。北海道から東京へ、半年で飲食領域をV字回復させるまで

株式会社タイミー
関東事業部 関東飲食グループ グループマネージャー
笠原 健氏
かさはら・けん/北海道出身。大学卒業後、広告会社で観光領域の営業を約4年間経験。2021年、北海道支社の立ち上げメンバーとしてタイミーに入社。北海道の飲食領域を担当し、新規営業、チームリーダー、カスタマーサクセスなどを経験した。2025年に関東へ異動し、現在は関東飲食グループのグループマネージャーとして2チーム・約20名を率いてる。

大きな組織成長の裏には、それを支えるハイパフォーマー営業の存在がある。しかし、彼ら・彼女らも最初から完璧だったわけではないはずだ。どのようにして苦難や挫折を乗り越え、エースに成長していったのか。本特集では人材企業各社で活躍する営業担当者にスポットをあて、それぞれの自分史から一歩踏み出すためのヒントを探していく。

今回は、株式会社タイミー 関東事業部 関東飲食グループ グループマネージャー笠原氏にインタビューを実施。北海道支社で順調にキャリアを重ねながらも、ある時期から「成長が止まった」と感じた笠原氏が、いかにブレークスルーを果たしたのかに迫る。

「もっと広い世界で課題解決したい」北海道支社立ち上げのタイミングでタイミーへ

笠原氏は北海道で生まれ育ち、大学卒業後は大手広告会社の北海道支社に入社。約4年間、観光領域の営業としてキャリアを積み、タイミーに転職した。

笠原氏「転職のきっかけは、『もっと幅広い業界の経営者と向き合い、世の中の課題解決に携わりたい』という想いです。

観光領域の営業として働いていた時期は、ちょうどコロナ禍でした。営業としてKPIを追っていましたが、当時観光業は苦しい状況で、お客様の多くは営業どころではありませんでした。成果は出せていたものの、自分の情熱をもっとお客様のために活かしたいという気持ちが強くなったんです」

そんな時に目に留まったのが、全国拡大中だったタイミーの北海道支社立ち上げメンバーの求人だった。

笠原氏「営業として拠点立ち上げから携われる募集でした。ゼロから地域をつくる経験はなかなかできませんし、自分の熱量を存分にぶつけられる環境だと感じました」

入社後は期待以上に、やりたかった仕事ができているという。

笠原氏「北海道支社では、最初にフィールドセールスとして新規営業を担当し、まだ誰もタイミーを知らないなか、がむしゃらに走り回りました。その後はチームリーダー、カスタマーサクセス、そして飲食領域のチームリーダーと、毎年違う役割を経験できました。

今は関東飲食グループで、2チーム・約20名をマネジメントしています。飲食業界の経営課題を深く理解し、本質的な課題解決まで提案できることが、この仕事の一番の面白さです。

飲食は誰もが利用する身近な業界です。その裏側でどのように売上が生まれ、どんな課題を抱えているのかを理解した上で提案できるので、やりがいがあります」

「成長が止まった」と悩み、関東での挑戦を決断

北海道支社で順調にキャリアを重ねていた笠原氏。しかし、大きな壁に直面する。

笠原氏「2年、3年と経つうちに、自分の成長スピードが鈍っていると感じるようになったんです。組織が大きくなるにつれ、自分が育成した後輩も次々とチームリーダーになっていきます。後輩たちが毎日もがきながら成長している姿を見ると嬉しい反面、『今、成長しているのは彼らだな』と感じてしまったんです。

リーダー経験は長いけれど、このままでいいのだろうかという焦りやコンプレックスを抱えるようになりました」

キャリアに悩みながらも、タイミーを辞めたいと思ったことは一度もなかったという。

笠原氏「タイミーが大好きなので、辞めるつもりはありませんでした。ただ、自分の未来を考えることが苦手だったんです。目の前の仕事には全力で取り組んできましたが、この先どんなキャリアを歩みたいのか、自分では答えが出せませんでした」

そうしたなか、本部長や支社長との対話を重ね、関東の飲食領域が大きな壁にぶつかっていることを知る。当初は「大変そうだ」と感じていたが、話を聞くうちに、その環境こそ自分が成長できる場だと考えるようになったという。

笠原氏「同時に、『北海道にいたい理由』も答えられなかったんですよね。ただ漠然と、『ここにいるものだ』と思っていただけでした。

もし自分が東京へ行って、飲食領域を復活させることができたら、ヒーローになれるんじゃないかって(笑)。そう考えると一気にワクワクして、『ぜひ行かせてください』と即答しました」

その決断を、会社がすぐに後押しした。

笠原氏「本部長も支社長も、二つ返事で送り出してくれました。あのスピード感には感謝しかありません」

挑戦を後押しする文化が、大きな決断を支えた

笠原氏は「大きなチャレンジを決断できた背景には、タイミーの企業文化があった」と振り返る。

笠原氏「代表をはじめ会社全体が、主体性や挑戦を大切にしています。『あるべき姿から逆算して行動する』『まず挑戦してみる』という考え方が、会社全体に浸透しているんです。

社員が『挑戦したい』と言えば、『やってみよう』と背中を押してくれる。そのカルチャーがあったからこそ、関東へスムーズに異動できました」

現在では笠原氏の異動をきっかけに、地方と本社をまたぐキャリア形成も増えているという。

笠原氏「私が異動した当時はかなり珍しいケースでしたが、今では地方から東京、東京から地方への異動や異なる拠点での研修も増えてきました。

一つの場所だけで経験を積むのではなく、新しい環境へ飛び込むことで得られる学びは本当に大きいと思います。

地方支社は人数が限られますし、本社に比べると情報量にも差があります。逆にコンパクトな組織だからこそ、より深く業務に関われるメリットがあります。だからこそ、人が動き、知見を共有し合うことで組織全体が活性化していく。会社としても、すごく良い流れになっていると感じています」

笠原氏自身も関東へ異動して、視野が大きく広がったという。

笠原氏「北海道にいた頃は『東京にはすごい人しかいない』と思っていて、自分が通用するか少し心配だったんです。でも実際に働いてみると、北海道で培ってきた営業スタイルが、そのまま関東でも通用する場面も多いですし、北海道で行っていた手法を導入すると『そのやり方、いいね』と言われることもたくさんあります。『場所は関係ない。結局は自分次第なんだ』と気がつきました」

半年で飲食領域をV字回復へ。

関東へ異動した笠原氏は、課題の大きかった飲食領域の立て直しという大きなミッションに挑んだ。

笠原氏「タイミーは飲食業界から始まったサービスですが、物流領域や小売領域の成長によって、現在は売上に占める飲食領域の比率が下がっています。さらに、決算でも飲食領域だけがマイナス成長という状況が続いていました。だからこそ、もう一度飲食領域を盛り上げ、業界そのものへ価値を提供することが使命だと考えています」

そのミッションは、半年で大きな成果として実を結ぶ。

笠原氏「ありがたいことに、関東への異動から半年ほどで、飲食領域をプラス成長に戻すことができました。社内では『フェニックス』なんて呼ばれています(笑)。とはいえ、特別なことをしたわけではありません。やったことは本当にシンプルなんです」

まず取り組んだのは、顧客を徹底的に分析することだった。

笠原氏「関東は北海道と比べてお客様の数が非常に多く、限られた時間をどう使うべきか明確にする必要がありました。そこでデータを徹底的に分析し、特に貢献できる可能性が高いお客様に対して、組織全体で重点的に向き合う体制をつくりました」

しかし、分析だけでは状況は変わらない。そのうえで笠原氏は、「直接会うこと」を大切にしている。

笠原氏「スポットワーク市場では競合が増え、サービスの機能だけでは差別化が難しい時代です。だからこそ、営業担当者という『人』が価値になると考えています。そうした視点から北海道支社では『お客様とはなるべく直接会う』方針でした。実際に成果につながることが多かったので、関東でも取り入れることにしたんです」

北関東など、本社から離れた店舗まで車で足を運ぶことも珍しくない。

笠原氏「飲食業の方は、仕事への想いや人間関係を大切にする方が多く、現場で同じ景色を見ることが信頼関係につながります。

実際に店舗へ行くと、『裏側も見ていく?』『一緒に食べようよ』と声をかけていただけることもあります。時には、営業担当が業務をお手伝いすることもあるんです。

さらに現場に直に触れることで、『この業務は社員以外でもできると思います』『この業務だけスポットワーカーを活用してみませんか』といった踏み込んだ提案ができるんです。こうしたことは、オンラインやメールのやり取りだけでは分かりません。

直にコミュニケーションを積み重ねることで、価格ではなく信頼と提案の質で選んでいただけるようになり、『タイミーさんだからお願いしたい』といった嬉しいお言葉を掛けられる場面もたくさんあります」

提案もスケジュールもお客様起点。だからこそ信頼を得られる

笠原氏が仕事をするうえで徹底しているのは、「お客様起点」だ。

笠原氏「『タイミーを使えば、人が来ます』という提案ではもう通用しないフェーズです。だから、私たちは最初に『タイミーを使ってください』と切り出すことはしません。

まず、『会社として何を実現したいのか』『今、何に困っているのか』を伺います。それからタイミーを活用して、課題を解決する方法を考え、提案するようにしています。あくまで主役はお客様なんです」

その考え方は、日々のスケジュール管理でも徹底されている。

笠原氏「チーム全体で、飲食店が比較的落ち着く平日14時から17時は、訪問などお客様とのコミュニケーションに専念することにしています。あらかじめ時間を確保することで、忙しい中でもしっかりお客様と向き合えています」

また、日々のルーティンとして、組織全体の数字やタイミーの募集状況を毎朝・毎夕欠かさず確認しているという。

笠原氏「『昨日より今日の方が募集人数が多い』『雨の日は応募が減る』など日々の数字を次の施策を考える材料にしています」

そうした日々の積み重ねに加え、V字回復を支えたのが、メンバー一人ひとりの主体性を引き出すマネジメントだった。

笠原氏「主体性を大切にしています。経験や自信がなくても、まずは挑戦してみることを推奨するとともに、安心して一歩を踏み出せる環境も用意しています。

たとえ小さなプロジェクトであっても、担当者の指名はしません。やりたい人が手を挙げられる空気をつくり、プロジェクト中は必ずフォローします。さらにチャレンジしたメンバーには、部長や本部長などが参加する場で発表や報告の機会を設けるなど、挑戦が次の機会につながる環境づくりを意識しています。

ありがたいことに今では多くのメンバーが立候補してくれるようになり、選ぶのが大変なほどです。そうした主体性がV字回復の原動力になったと感じています」

人材営業は未来を変える仕事。長期アルバイト採用支援で、ゲームチェンジを起こす

今後の展望を尋ねると、笠原氏は自らの組織だけでなく、日本の飲食業界全体を見据えた目標を語った。

笠原氏「私はタイミーの飲食領域を代表する立場だと思っています。自分の組織の成果だけでなく、タイミーを通じて飲食業界の人手不足や採用課題を解決し、働く人にも企業にも、より魅力ある業界にしていきたいと考えています」

その実現に向け力を入れているのが、2026年8月1日に本格展開した「長期アルバイト採用サポートプラン」による支援だ。

笠原氏「日本の採用の仕組みは、40年間ほぼ変わっていません。求人に応募し、書類選考と面接を経て、入社まで1カ月ほどかかる。それだけ時間をかけても、入社後にミスマッチを起こし、早期離職につながるケースもあります。

タイミーであれば、まずスポットワークで一緒に働き、企業はその人の働きぶりを、働き手は職場の雰囲気や仕事内容を確かめられます。相互理解を深めたうえで入社することで、定着率が高まります。「長期アルバイト採用サポートプラン」を活用し、新しい採用チャネルを広げ、採用のあり方そのものを変えるゲームチェンジを起こしていきたいです」

最後に、人材業界で働く読者にメッセージをいただいた。

笠原氏「人材業界は、仕事との出会いを通じて、求職者の人生も、クライアント企業の未来も変えられます。求職者が自分に合った仕事や職場に出会うことで、働き方や生活そのものが変わることもある。企業にとっても、一人の人材との出会いが現場を支え、組織や事業の成長につながっていく。双方の未来に関われることが、この仕事の大きな魅力です。

私が好きな言葉に、『過去の自分は変えられないけど、未来の自分は変えられる』というものがあります。今、成果が出ずに悩んでいる人も、周りと比較する必要はありません。1年前や先週の自分と比べて、できるようになったことに目を向けてほしい。日々の小さな挑戦や成長の積み重ねが、やがて大きな成果となり、誰かの人生や企業の未来を変える力につながっていくはずです」

(執筆:川瀬ゆう)