株式会社キャリアデザインセンターの決算分析 ( 2016年9月期第1四半期決算 )

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株式会社キャリアデザインセンターの2016年9月期第1四半期決算が、2016年1月29日に発表されました。【表1】に示すように、前年同四半期と比較して、売上高は6.4%増加していますが、営業利益、経常利益、四半期純利益はどれも60%以上減少しています。

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ROA(総資産利益率)やROE(自己資本利益率)も、前年同期比の半分近くにまで落ち込んでいます。

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四半期純利益は、2015年11月に発表した年間の純利益の予想額6億5500万円のわずか8.5%にしか達していません。

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キャリアデザインセンターは、2015年7月に、米国の経済誌『Forbes』のアジア版『Forbes Asia』において、優良企業200社(※売上高10億ドル未満の企業対象)のうち、日本企業8社の中に選ばれています。

にもかかわらず、第1四半期決算では大幅な減益となっています。その原因はどこにあるのでしょうか。
決算短信等をもとに分析していきます。

経営成績の分析

キャリアデザインセンターの事業には、メディア情報事業、IT派遣事業、人材紹介事業などがあります。

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まずは事業別の売上高から見ていきましょう。

転職ウェブ求人広告を手掛けるメディア情報事業では、『女の転職@type』が前年同期比4%増と順調に成長しています。これは、企業の女性採用ニーズが活況を示しているためと考えられます。
しかし、キャリア志向のエンジニア・ビジネスパーソン対象の『@type』や、営業に特化した『営業の転職@type』は、競争激化と新規開拓鈍化により、前年同期比がそれぞれ4.0%減、8.0%減となりました。メディア情報事業全体における売上高は、前年同期比2.7%減の9億1086万円となりました。

一方、IT派遣事業では、新規案件数も登録者数も堅調に増加し、売上高は前年同期比16.8%増の4億9218万円となりました。人材紹介事業も好調で、売上高は前年同期比20.5%増の3億7315万円と成長しています。

メディア情報事業は行き詰まっているものの、IT派遣事業と人材紹介事業の牽引により、全売上高は前年同期比6.4%増の19億490万円を確保できました。

次に支出面を見てみましょう。売上原価は前年同期比12.6%増の6億8419万円と、売上高の伸び率を上回る増加率を示しています。販売費及び一般管理費においては、前年同期と比べて24.7%も増加し、11億2453万円にも上っています。

支出面の増加をもたらした主な要因としては、IT派遣事業において売上高が増加したことに伴い派遣スタッフ給与が増加したことが挙げられます。

以上より、IT派遣事業・人材紹介事業は着実に成長しているものの、主要事業であるメディア情報事業が伸び悩み、高騰する人件費を吸収しきれず、減益傾向が始まったものと考えられます。

今後について

キャリアデザインセンターは、中途採用による人材流動化を、テーマとして掲げてきました。少子化という状況下においても企業成長を促進し企業価値を高めるためには、優秀な人材を企業に紹介する必要があります。

そこで、転職ウェブ求人広告は、キャリア志向の高い人材層にターゲットを絞り、「エンジニア」・「女性」を中心に質の高い採用をサポートし続け、2015年からは、採用ニーズが高い「営業」もターゲットに加えました。
このような差別化を図ることで、業界内で独特のニッチを確保するという戦略を取り続けてきました。

しかし、求人サイトの競争が激化する現況において、その差別化は必ずしも十分とは言い切れません。リクナビ、、doda、マイナビ、エン・ジャパンなどの同業他社の媒体と比較して、求人数が少ないというマイナス面が生じてしまいます。

差別化戦略が十分に活かしきれず、かつ、大胆な打開策も打たなかったために、2015年9月期決算から減益始まったのではないかと考えられます。その結果、2016年9月期第1四半期決算においては、純利益が前年同期に比べ、金額にして1億2143万円、割合にして68.1%も減少しました。
減少傾向に歯止めをかけて増益に転じるのかどうか、この先の動向が気になるところです。

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