【2019年度版】売上高から見た人材業界地図

今年も人材業界各社の通期決算がほぼ出揃いました。昨年に引き続き、各社の売上高・営業利益から人材業界をまとめたレポートをお送りします。

昨年はこちら。
【2018年度版】売上高から見た人材業界地図

慢性的な人手不足を後押しに、事業を大きく伸ばしたところが多いようです。
今回特に成長した企業はどこなのでしょうか。御覧ください。

総合サービス企業ランキング

総合人材サービス日本国内第1位のリクルートホールディングスは、人材派遣領域で若干の減収(EBITDAでは14.1%増)があったものの、求人検索エンジン「Indeed」や2018年5月に買収したアメリカ発の企業口コミ情報サービス「Glassdoor」などのHRテクノロジー事業が大きく成長・グローバル化を加速させました。

日本国内第2位のパーソルホールディングスは、慢性的な正社員ニーズの後押しを受け人材紹介事業の成約数が伸びた結果、グループ全体で前年比128%の高成長でした。また2019年11月にはアルバイト採用領域を支えてきた「an」が撤退となり、今期の動向に注目が集まっています。

日本国内第3位のパソナグループは、改正派遣法や労働契約法の影響により派遣スタッフの派遣先企業への直接雇用等が進んだ影響で、エキスパートサービス(人材派遣事業)で若干の減収があったものの、BPOサービス(旧シンソーシング/委託事業・請負事業)が大きく牽引しました。また、その他すべての領域で増収を達成しました。営業利益では前年比145%と大きく成長を遂げています。

また外資系人材企業は、欧州経済の主力である自動車産業が失速し景気の伸び悩みを受けた影響でヨーロッパ地域での売上は芳しくなかったものの、新規事業やヨーロッパ以外の地域で事業が拡大し増収を達成しています。

求人媒体企業ランキング

転職系求人メディアは、HRogで配信している求人レポートでもお伝えしている通り、多くの媒体で求人掲載件数を伸ばしています。近年の慢性的な正社員不足の流れを受け売上・利益ともに堅調なところが多いと言えるでしょう。また好調な売上を後押しにして、HR Tech領域やRPA領域など、新規事業へ積極的に投資する企業が見られました。

一方でアルバイト系求人メディアも同じく求人掲載件数は好調なものの、一部の企業で売上の伸び悩みが見られました。広告単価がどのように変化しているのか気になるところです。

人材派遣サービス企業ランキング

人材派遣では昨年に引き続き人材派遣ニーズの高まりを受け、各企業で採用単価や稼働人数の増加が見られました。特に自動車関連分野では、期間工から派遣への切り替え需要の高まりや自動運転などの研究開発の活性化など、技術者派遣・製造派遣ニーズへ追い風が吹いています。

一方で働き方改革に伴う残業抑制の影響を受け、一人当たりの稼働時間は減少傾向にあるようです。また2020年の派遣法改正に伴い、今後さらなる採用単価の上昇が予想されています。

まとめ

多くの企業が人口減少に伴う求人ニーズを背景として増収を達成しています。一方で今後の市場の変化を見越してか、既存事業から出た利益を積極的に新規事業に投資している企業も見られました。

また応募者・スタッフをどうやって確保するかという求職者獲得コストの問題も業界全体の課題として引き続き存在しています。

来年2020年は東京オリンピックの開催もあり、景気や求人市場にも大きな変化が起こることが予想されます。各社変化に対してどのように対応していくのか、人材業界の動向に引き続きHRog編集部は注目していきたいと思います。

(HRog編集部)