デジタルマーケティングの世界では、自社のサイトを「ニッチ」に「オウンドメディア」化することで質の高いアクセスを集める流れが続いている。そのトレンドを、求人マーケットでも実現している会社がある。
採用に特化したオウンドメディアの構築集客支援に実績のある、株式会社アドヴァンテージだ。
オウンドメディア ✕ ニッチという戦略を軸に、求人マーケットに新たな流れを作るアドヴァンテージ、その目指すべきところを中野代表に聞きました。
1971年生まれ。兵庫県淡路島出身、同志社大学在学の19歳よりフルコミッション営業を始める。
大学卒業後、フリーターで様々なアルバイトを経験。日本初の有料携帯求人サイト「めるバイト」を立ち上げ、そのノウハウを元に、飲食・サービス店、人材派遣会社、某大手アウトソーシング会社など200社以上の採用問題の解決を手がける。
中小企業においては採用=売上げ増であり、採用の視点から儲かる企業に変えるサポートを行う。とくに人材ビジネス業界(人材派遣、アウトソーシング)では、大きな実績を残している。(WEB採用数を10倍に増加、売上げ倍増60億→120億に貢献など)
求職者の目線で考えたら、必然でした。
−そもそも、なぜ、オウンドメディア ✕ ニッチな自社採用サイトを始められたのでしょうか?
きっかけは、13,4年前に遡るんです。
当時運営していた多摩エリア限定の携帯求人サイト「めるバイト」のクライアントだった派遣会社様が、スタッフの募集に課題を感じていて。そこで、「めるバイト」の集客力に興味を持ち、自社でも導入したいとご相談があり、制作したことがきっかけです。
今でこそ「オウンドメディア」も当たり前になりましたが、当時はそのような言葉もなく試行錯誤の連続でしたが何とか立ち上げて。結果、登録・応募ともに大幅に改善されました。
地域や職種も限定されているにも関わらず大きな効果がでたため、この方法は効果があると手応えを感じました。
−オウンドメディアの先駆けのようなサイトだったんですね。オウンドメディアという概念がない中、どのようにたどり着いたんですか?
自分たちで多摩エリア限定のニッチ求人サイトを立ち上げ、色々と試行錯誤する中で、求職者の立場にたって既存の紙媒体にはない、仕事の探しやすさとは何か、企業の情報をどう伝えるかを考えぬいてみたんです。
与えられる選択肢しかないこれまでの求人媒体と違って自ら情報を選べたり、希望の仕事が即メールで配信されるなど、いまでは求職者にとって当たり前のことが、当時は大手求人媒体でもなかった。また集客の方法もかなりゲリラ的にやりました。
そこで視点を変えて、オウンドメディアには、WEBならではの仕事の探しやすさを実現できる価値があると考えたんです。
それでも当時は、「自社サイトどころかWEB、携帯なんかじゃ絶対に集客できない」という固定概念が根強く残っており、なかなか理解されない部分もありました。
自社採用サイトの次は、求人情報のオープン化が鍵。
−その後も、色々なサイトを立ち上げたのでしょうか?
はい、様々なサイトの立ち上げを支援していきました。
代表的なサイトで行くと、住み込みの求人情報を扱っている「寮あり.com」、主婦向けの「リビングおしごとねっと」、ドコモショップ関連の「ドコモ求人ナビ」など、大小300程のサイトやランディングページを構築、運営、集客支援しています。
地域限定、職種限定、業界限定なども集客効果はでています。
ある会社では、自社採用サイトでそれまで平均数十程度の応募しかなかったところが数年で数千の応募まで伸ばせている実績もあります。
100倍はうまく行き過ぎですが、これまでの実績から、全体に対して自社採用のシェア3、4割の確保は見込めると考えています。
また、面白い成功事例の一つとしてオウンドメディアからニッチ求人サイトへ発展させるパターンがあります。
−ニッチ求人サイト化について、もう少し詳しく教えてください。自社以外の求人企業へ決定することもあると思いますが、自社としてはマイナスではないのでしょうか?
ニッチターゲットを集めるためには、自社の情報だけでは求人広告掲載数が足りないんです。そこで同業他社や関連業種の求人情報を掲載することで、広告費や成果報酬が入ってきます。自社の採用強化のために求人媒体側に回るんです。この発想の転換が大事です。
オウンドメディアで自社に応募をしないユーザーは、勤務がマッチしないなどの理由で他の媒体を通してどちらにせよ別の会社に応募するので、マイナスにはなりません。
他社より広告費を頂くことで集客予算がプラスになる上に、自社の採用コストも相対的に下がっていきます。
これまでコストセンターだった採用が収益を産むことや、スマホの販売ではありませんが、ゼロ円採用を実現している事例もあります。
何よりも、求職者の利便性を一番に考えることで、ニッチ求人サイトとしての競争力が高まります。特定の分野では、大手求人サイトより情報量が多く、内容が濃い。さらに他社への応募含めて求人マーケットのデータ分析ができる。これこそオウンドメディアやニッチ求人サイトのメリットだと思います。WEBの世界ではオープンソースやシェアが当たり前になっていますが、求人についても同じことが言えると思っています。
成功の秘訣は、求職者のターゲットを絞ることと、企業はオープン化あとは担当者の固定概念を打破する熱意。
成功の秘訣は、ターゲットを絞ることと担当者の熱意。
−熱意とは具体的にどのようなものでしょう?
これまでは、集客や応募を求人媒体に任せきりにしていた採用担当者が多かったと思います。もちろん、オウンドメディアは魔法の杖ではないため、何もしなければ効果は上がりません。
ターゲットとする求職者を明確にする、検索キーワードを選定する、流入経路を設計するなど、マーケティングの基本と日々の業務を地道に実行していく必要があります。
それが結果的に”採用を自分たちで実践する=既存媒体含め効果があがる良いサイクルができあがる”になるのです。
また、これまで媒体にかけていた費用を制作・運用に回さなければならないため、一時的に集客が下がるリスクを躊躇される企業もあります。しかしながら、リスクを取ったうえで、既存の求人媒体だけに頼らず、オウンドメディアを中心とした採用のポートフォリオを作る地道な作業を確実に実行する熱意があれば、自社採用サイトの構築と集客は確実に効果があがっていきます。
−ECサイトが商品を売るために日々PDCAを回すように、日々の改善・チューニングが必要なんですね。
その通りです。
EC業界はSEOやレコメンドなど、「購買」を促進させるための仕組みについては人材業界の二歩、三歩先をいっていると思います。ECや不動産、ITなど他業界で成功している知見を様々な形で人材採用分野に応用していくことが必要です。
EC業界においての商品・購買は、人材採用にとっての求人情報・応募になります。商品の取り揃え方・見せ方、特集ページの作り方から集客、購買まで一連の流れを有機的に行うことで、効果も高まります。
新たな人材確保のスタンダードを。
−オウンドメディア ✕ ニッチ戦略に適しているのは、やはり人材ビジネス企業(派遣会社・人材紹介会社・アウトソーサー)でしょうか?
すでにかけている採用予算や求人のボリュームを考えると、もっとも効果がでやすいのは人材ビジネス企業になります。
ただ、飲食などでチェーン展開している企業や、一般の事業会社でも、応募効果を数倍高めることは充分可能であると考えています。
直近制作した一般の事業会社さんの採用ページでは、「野球採用:野球がしたい方」にターゲットを絞ったことで、大きな効果がでています。ただ真面目に企業の魅力を伝えるという考えだけではないんです。
−今後の採用市場は、オウンドメディア ✕ ニッチが中心になっていきますでしょうか?
検索サービスのシェアにおいて、Yahoo!とGoogleのシェアが逆転し、デバイスもPCよりスマホへ傾斜しています。求職においても、これまでのポータル型のサイトから、直接検索へと求職者のニーズは既に変わりました。
そのようなトレンドの中、これまでのように既存の媒体や代理店任せの採用戦略ではなく、採用ポートフォリオとして自社採用サイト、オウンドメディアを運営しておくことは、大きなアドヴァンテージになると考えています。
しかも、ブラウザベースの直接検索でさえ、もう古くなってしまうかも知れません。アプリを利用した求職活動やソーシャルも活発になってきています。
そのような日進月歩なトレンドも踏まえながら、新たな人材確保のスタンダードをつくることで、これまでの採用モデルから脱却し、自社が採用を設計し、投資を最適化できる。そのことによって求職者も自分の志向や目的にあった企業に出会うことができます。
そんな、「誰もが活躍できる世の中」の実現に貢献したいと思っています。
−本日は、ありがとうございました。
お問い合わせ先
所在地:[本社]神奈川県横浜市港北区新横浜2-5-19 アプリ新横浜ビル6F
電話番号:045-477-1033
事業内容:採用コンサルティング事業・自社採用サイトの構築・新規事業開発支援・採用マーケティング
URL:http://www.ad-vantage.jp/
セミナー随時開催中:
http://ad-vantage.jp/fire/
オウンドメディア(自社採用サイト)構築サービスだけではなく、占いとくじ引きで志望企業を決める「ベツルート」(東大、早慶など上位校中心に登録者1500名)など、他社にはないユニークな採用サービスをリリースしているアドヴァンテージ。
一風変わったサービスをリリースしていく背景には、「画一的な採用サービスでは、画一的な人間しか採用されない。求職者の方が先に変化、進化している」という、現在の求人マーケットへの中野代表からの問題提起があるように感じました。「誰もが活躍できる世の中」のため、画一的ではないサービスのリリースを期待しています。