株式会社Solferiona
取締役
小嶋 亮 氏
こじま・りょう/神奈川県出身。美容学校を卒業し、美容師としてお客様に満足していただくため日々働いていたが、友人からソルフェリオーナ創業の連絡をもらい2016年に参画。営業を経てカスタマーサクセスの立ち上げに従事。現在は完全自社サービスのWEBリスクマネジメント事業「シノビ」の統括を行うと共に、新たなマーケティング施策の構築に従事。
クチコミサイトの普及により社員やお客様の声など組織の情報がスマホ一つで簡単に手に入る時代。求職者が仕事選びにおいて手に入れることができる情報は、ここ数年で飛躍的に増えている。
社名やサービス名を検索した際に表示される、ネガティブクチコミ対策やサジェスト対策を提供している株式会社Solferiona(ソルフェリオーナ)取締役の小嶋氏は「採用活動において、検索結果ひとつをとっても応募数・内定率を低下させる落とし穴」があるのだという。
求職者は一体どのようなことを気にして、どのように情報に辿り着き、何を判断しているのだろうか。
クチコミサイトの普及により手に入りやすくなった働くリアル
求職者の転職活動にはある特徴があると小嶋氏はいう。
「求職者の方の多くは、なんとなく入りたい業界はイメージしているものの、『絶対この会社に入りたい!』と明確にビジョンを持っている方は少数派です」
「なので『特定の業界でどんな会社が求人をしているか』を調べるのが求職者の方の企業探しのスタートになります。業界別に求人の絞り込みを行い、その中から企業の認知度や立地、福利厚生など様々な条件を閲覧、自分にマッチしそうな企業をお気に入り登録していきます。お気に入り登録した全ての企業に足を運ぶことは難しいので、そこからさらに取捨選別を行っていきます。順調に選考が進み複数社から内定をもらった場合も同様に取捨選別を行います」
その取捨選別を行う上で参考にされるのが、クチコミサイトや社名を検索した時に付随して表示される「サジェスト」情報だ。
サジェストとは、「予測変換」のこと。検索エンジンやネットショップなどの検索欄にキーワードを入力したとき、そのキーワードと関連性の高いキーワードが自動的に表示されることがある。この機能を「サジェスト機能」といい、自動的に表示されるキーワードを「サジェストキーワード」という。
サジェスト機能はGoogleだけでなく、Yahoo!JAPANやBingなどの検索エンジン、Amazonや楽天市場などのネットショップ、YouTubeなどの動画サイトでも導入されている。
(サジェストとは?Google(グーグル)検索の基礎とキーワード抽出ツール7選 by ferret)
「数年前からニュースでサービス残業やパワハラ・セクハラ・労働基準法違反を行った企業が大々的に報道され始め、そのような企業を総称した『ブラック企業』という言葉が一般的に使われるようになってきました」
「ブラック企業」という言葉が一般化するとともに、求職者は「ブラック企業に入るリスクを回避したい」という気持ちが強くなってきているという。
「そのような思いから、実際に現在働いている社員やOBOGの意見を知れるクチコミサイトをはじめとした情報を積極的に集め、手にする機会が増えています」
クチコミなどをはじめとしたサービスの広がりにより、入社した後の働くイメージを具体的に持ちたい求職者が多くなってきているようだ。
求職者がこんなサジェストが出てくる会社を選ぶ理由はない
では、具体的にどういったネガティブキーワードが上がってくると求職者に敬遠されることが多くなるのだろうか?
「どの企業にも該当する可能性があり、かつ多くの方が気にされるワードとしてはブラック・パワハラ・セクハラといったキーワードになります。その他にも現代の求職者の傾向としてワークライフバランスや社内環境を大事にされる方が増えていることもあり、長時間労働・サービス残業・ワンマン・離職率といった意味合いのキーワードも敬遠される傾向があります」
上記はどの企業にも当てはまる点だが、企業の特色によってはまた違ったキーワードがあがる。
「例えば営業を行う会社に多く見られるのが、詐欺・悪徳・迷惑等といったキーワードです。これらのキーワードのような営業をしなくてはいけない、と思ってしまう方が多く、敬遠されがちです」
そのようなネガティブキーワードが表示される一つの要因として「検索ボリューム」が大きく関わっているようだ。
「検索ボリュームとはその名の通りになるのですが、どれだけの人にどれだけの地域からネガティブキーワードで検索されているかです。その検索回数が多ければ多いほどサジェストに表示されやすくなっています。自然発生で表示されるという事ではなく、世間から関心があるキーワードが必然的に表示される仕組みとなっておりますので、企業側からしたら無視できない存在です」
もちろん、ネガティブキーワードが表示される理由として、その他にも「GoogleとYahooの違い」など様々な要因はあるが、検索ボリュームはやはり大きいようだ。
あなたにとってのホワイト企業も他人にとってはブラック企業
採用活動において自社のクチコミやサジェスト一つでせっかく集めた応募が離脱してしまうリスクが分かったところで、採用担当の目線ではどのように取り組めばいいのだろうか?
「まず、自社のことが掲載されているクチコミサイトを把握することです。把握していなかった場合は気付かない間にネガティブなサジェストやクチコミが表示され、気付かない間に悪影響をもたらし、時すでに遅しとなってしまうケースもあります」
「ネットのサジェストやクチコミサイトの特性として『いつ出てくるか予想つかない』『事実と反する内容が出てくる』等といった事もあります。従業員や関係者であれば事実確認はすぐ出来ますが、サジェストやクチコミを閲覧するのは求職者の方がメインです。ネガティブ情報が表示されていた場合、求職者の方から事実確認をしてくれれば楽なのですが、そういった求職者の方はほぼおらず、どうしてもネット上に表示されている情報を大半の方が参考にしてしまいます。かといって、企業側から選考や説明会にきてくれた方や応募していただいた方、一人一人に声をかけるのも現実的ではありません」
常に更新し続けられるWEBの世界を監視し続けるのは相当のパワーがかかりそうだ。
「求人を出して採用するのも決してお手頃な金額とは言えません。特に求人広告など前課金型のサービスを利用するのであれば、効果を最大化したいのが普通ではないでしょうか?せっかく自社に興味を持ってくれた求職者の方が検索したときに、検索結果にネガティブな情報が表示されていたら、ネガティブな情報も認知され、採用という効果は期待できなくなってしまいます」
また環境や条件とは、人の幸せを定義できないように、誰から見るかによって変わるものでもある。世間一般にブラック企業(ホワイト企業)であったとしても、働いている方からすればホワイト企業(ブラック企業)になっているケースもある。
つまり、ネット社会が浸透した現代においては企業にはネガティブ情報が少なからず存在する、と言っても過言でない。自身の主観だけで物事を判断していると思わぬ落とし穴にハマりそうだ。
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(HRog編集部)