
株式会社リクルートホールディングスの2027年3月期第1四半期決算が発表されました。この記事ではその決算・IRの内容をわかりやすく解説し、業界の最新トレンドに迫ります。ぜひチェックしてください!
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リクルート全体の2027年3月期第1四半期の決算における売上収益や純利益の増減率とその要因について、グラフィックでわかりやすくまとめました。

第1四半期の業績は、売上収益1兆453億円(前年同期比18.9%増)、営業利益2,554億円(同66.1%増)、EBITDA+Sが2,928億円(同56.5%増)、純利益2,026億円(同67.5%増)を達成しました。売上収益・EBITDA+S・基本的1株当たり利益(EPS)のいずれも、過去最高を記録しています。
特に今回の決算の象徴的な数字が、HRテクノロジー事業における米国売上収益の前年同期比30.0%増という力強い伸びです。AIを活用したプロダクトの進化が収益成長を大きく牽引しており、こうした好調な第1四半期実績を受けて、通期の連結業績予想も大幅に上方修正されています。
リクルートの今期決算について、セグメント別の業績や業績予想を詳しくまとめました。本セクションでは、主に決算短信および決算説明会書き起こしの情報をもとに解説します。
グローバルで展開する求人プラットフォーム「Indeed」および「Glassdoor」を中心とした事業です。2025年4月から旧マッチング&ソリューション事業の人材領域が統合され、求人広告サービス、人材紹介サービス、その他の人材採用関連サービスで構成されています。
今期は、米国の採用需要が前年同期比でマイナス約4%と低調な環境にもかかわらず、「Premium Sponsored Jobs(プレミアムスポンサード求人)」と呼ばれる付加価値の高い有料求人広告パッケージへの移行が進み、1件当たりの平均売上収益を示す「US ARPJ成長率」は35%を記録しています(決算説明資料, p.15)。
地域別では、米国の売上収益が16.4億ドル(前年同期比30.0%増)と四半期過去最高を更新しました。欧州およびその他は6.1億ドル(同28.5%増)、日本は963億円(同6.7%増)となっています(決算説明資料, p.11)。
また、セグメント全体のマージン率は47.4%に達しました。大幅な増収に加え、人件費比率が売上収益比で前年同期の約48%から約37%へと大きく改善したことが利益率の向上に貢献しています(決算説明資料, p.12)。
日本、欧州、米国、豪州で人材派遣サービスを提供する事業です。
今期は、日本で安定的な推移が続き、国内の売上収益は2,202億円(前年同期比3.5%増)となりました。欧州・米国・豪州では為替レートの変動などもあり、売上収益は2,350億円(同20.3%増)となっています(決算説明資料, p.22)。欧州や豪州については依然として厳しい市場環境の中でも、派遣需要回復の兆しも一部見られるとされています。
セグメント全体の売上収益は4,492億円(前年同期比11.8%増)、EBITDA+Sは282億円(同5.2%増)、マージン率は6.2%となりました(決算短信, p.14、決算説明資料, p.22)。
2025年4月に名称変更された、旧マッチング&ソリューション事業の販促領域で構成される事業です。美容、旅行、飲食、SaaSからなるライフスタイル領域、住宅領域、自動車、結婚、教育等からなるその他領域で独自のブランドのマッチングプラットフォームを展開しています。
・ 不動産情報サイト 「SUUMO」
・ 美容サロン予約サイト 「HOT PEPPER Beauty」
・ 飲食店予約・クーポンサイト 「HOT PEPPER グルメ」
・ 旅行・宿泊予約サイト 「じゃらん」
・ 業務・経営ツール 「Air ビジネスツールズ」ほか
今期は、GMV(流通取引総額)連動モデルを追加導入した美容分野の増収が大きく貢献し、ライフスタイル領域が前年同期比9.6%増となりました。
特に注目すべき動きとして、自動車分野(カーセンサー)でのGMV連動モデルの導入が挙げられます。昨年度まで月額固定の掲載課金モデルで展開していたカーセンサーに、本年度より購買に至るアクション(問い合わせ・来店予約など)に応じた課金モデルを追加したことで、掲載台数が増加し、個人ユーザーのアクション数が前年同期比12.5%増となりました(決算説明資料, p.27)。
セグメント全体の売上収益は1,415億円(前年同期比3.7%増)、EBITDA+Sは511億円(同18.3%増)、マージン率は36.0%となっています(決算短信, p.14)。
リクルートは今回の好調な第1四半期実績を受け、2026年5月15日に開示した2027年3月期の通期連結業績予想を大幅に上方修正しました。
修正後の予想は、売上収益4兆2,300億円(前年同期比14.4%増)、営業利益9,450億円(同49.9%増)、EBITDA+Sが1兆1,050億円(同39.1%増)、純利益7,550億円(同51.9%増)と大幅な増収増益を見込んでいます。
上方修正の主な要因は、HRテクノロジー事業における第1四半期の実績が期初想定を大きく上回り、第2四半期以降もそのトレンドが継続するとの見通しに基づくものです。特に米国では、売上収益の通期見通しをドルベースで6.1億ドル上方修正し、前期比25.1%増の66.5億ドル(過去最高)としています(決算説明資料, p.10)。
なお、国内の人材派遣事業に関して2026年6月に独占禁止法違反の疑いで公正取引委員会の立入検査を受けた事実が開示されています。現在も検査に協力中であり、財務的な影響額の合理的な見積りが困難であるとして、業績予想には勘案されていません(決算短信, p.2)。

今回の決算で特に注目したいのが、「US ARPJ成長率」の35%です。US ARPJとは、HRテクノロジー事業の米国売上収益をIndeed上の米国求人総数で割った「求人1件当たりの平均売上収益」を指します。米国の求人総数が前年同期比約4%減となるなか、米国売上収益は30.0%増の16.4億ドルと四半期過去最高を記録しました。背景には、「Premium Sponsored Jobs」の拡大によるマネタイゼーションの進化があります。
求人件数の増加に依存するのではなく、AIを活用した高付加価値なサービスによって、求人1件当たりの収益を高める事業モデルへ進化していることがうかがえます。
その背景には、中小企業に加え、大手企業でのAIプロダクト導入の広がりもあります。決算説明会では、ヘルスケア企業がAIによる採用業務の自動化ツールを導入した結果、「数人分のリクルーターの仕事と同等の結果」と評価され、大きな受注につながった事例も紹介されました。AIによる採用プロセスの効率化が、新たな成長ドライバーとなりつつあります。

日本国内の業績については、Indeed PLUSが有料求人広告数の増加と単価の上昇により、期初想定を上回って好調に推移しました。加えて、期初時点では下半期からの回復を見込んでいた人材紹介サービスも、第1四半期から想定より早く回復が進んでいます。
こうした複数サービスの好調を受け、日本国内の売上収益は前年同期比6.7%増となりました。当初の想定を上回る業績となったことで、日本国内のHRテクノロジー事業における通期の売上収益見通しも上方修正しています。

HRテクノロジー事業の今後の成長余地については、今回の業績上方修正を受けて「すでに事業がピークを迎えているのではないか」といった見方もあります。これに対し、リクルートは求人広告にとどまらず、採用オートメーション、人材紹介、エグゼクティブサーチ、人材派遣まで含めた幅広い人材マッチング市場をターゲットにすることで、さらなる成長を目指す姿勢を示しました。
それらを含めた世界の人材マッチング市場は、2025年時点で約3,020億ドルに上ります。現在のHRテクノロジー事業の売上収益は2027年3月期の通期見通しで114億ドルにとどまり、市場全体から見ればまだ一部です。2026年3月期通期決算でも示されていた、求人広告の枠を超えてより広い市場を取りに行くという戦略が、今回の決算でも改めて強調されたといえるでしょう。
今回の決算から見えてきた人材業界の最新トレンドは、「AIによる採用サービスの高付加価値化」と「人材マッチング市場の拡大」です。リクルートは、米国の採用需要が低調な環境でも、AIを活用したプロダクトの進化によって大幅な増収増益を実現しました。
特にHRテクノロジー事業では、米国における「Premium Sponsored Jobs」の拡大によって求人1件当たりの収益が大きく上昇しています。日本国内でもIndeed PLUSが好調に推移し、人材紹介サービスも想定より早く回復しました。単に求人件数の増加を追うのではなく、AIやサービスの進化によって1件当たりの価値を高める動きが、国内外で業績を押し上げています。
また、リクルートが今後の成長市場として見据えているのは、求人広告だけではありません。採用オートメーションや人材紹介まで含めた幅広い人材マッチング市場を取り込むことで、さらなる事業拡大を目指しています。AIによって採用プロセス全体を効率化するなかで、人材業界のサービスがどこまで領域を広げていくのか。業界最大手であるリクルートの動向は、今後も人材業界全体の方向性を占ううえで注目すべき存在といえるでしょう。HRog編集部では、今後もリクルートの動向に注目していきます。
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【参考URL】
2027年3月期 第1四半期決算短信
2027年3月期 第1四半期決算説明
2027年3月期第1四半期決算 決算説明会書き起こし
