
女性の就業率や管理職登用が進む一方、出産・育児やライフステージの変化でキャリアに迷う場面も少なくありません。
そこで今回は、女性が長く幸せに働き続けるために知っておきたいトピックスをまとめた、株式会社キャリアデザインセンター「女の転職type」編集長 小林 佳代子氏著・『働くわたしの仕事地図』を紹介します。
多様な視点や働き方の例に触れながら、これからのキャリアや日々の仕事との向き合い方を考えるきっかけにしてみてくださいね。
書籍著者
株式会社キャリアデザインセンター
「女の転職type」編集長
小林 佳代子
こばやし・かよこ/東京女子大学卒業後、新卒で(株)キャリアデザインセンター入社。転職情報誌及び転職サイト「type」、「女の転職type」の求人広告制作に携わる制作部に配属され、1,000 社以上の企業の求人広告制作に携わる。その後、新卒採用担当、働く女性のための Webマガジン「Woman type」編集長を経て、2018年「女の転職type」編集長に就任。 20年にわたり、多くの働く女性の、迷いや悩みを広い視点で捉えつつ、常に深く寄り 添い続けてきた。私生活では二男の母として奮闘中。
目次
女性が「自分らしく長く働く」ためのヒントがこの一冊に
2010年代に働き方改革関連法案や女性活躍推進法が成立して以降、女性の就業率や管理職登用の割合は少しずつ向上し、副業やフリーランス、リモートワークといった多様な働き方の選択肢も増えてきました。
実際に、出産・育児をきっかけに労働から離れてしまう「M字カーブ問題」も解消されつつあり、産休・育休を経て働き続けられる環境も整ってきています。
しかし、それでもなお「自分らしい働き方」とは何か、迷っている女性は決して少なくありません。
「今の働き方のままで本当に大丈夫?」
「キャリアもライフイベントも充実させられる、ベストな選択肢って何?」
と、働き方の選択肢が広がったからこそ、迷いが生じてしまうこともあるのです。
正社員で長く働きたい女性のための転職サイト「女の転職type」の編集長を務める著者の小林氏は「この先に起こるライフイベントや、ライフステージごとの選択肢を知っておくことが、後悔のない選択につながる」と語ります。
『働くわたしの仕事地図』では「女の転職type」女性会員へのアンケートに寄せられたリアルな声をまとめ、データに基づきながら、女性の人生に起きること、そのときに考えられる選択肢やそこから広がる可能性を40トピックにまとめて紹介しています。

今回はそんな現代の働く女性たちに寄り添う本書から、キャリアの指針につながるヒントをいくつかピックアップして紹介します!
今も昔も!? 「女の悩み」あれこれ
「管理職を打診されたけれど、自分にできるだろうか」と、悩む女性も多いもの。実際に、管理職になりたくない女性は約68%にも上るというデータもあります。「責任が増える」「残業が多そう」といったネガティブなイメージが、キャリアアップへの一歩を躊躇させているのかもしれません。
また、女性は男性と比べて自分の能力を過小評価しがちな傾向があります。インポスター症候群と呼ばれるこの現象が、漠然とした自信のなさを生み、管理職を敬遠してしまう理由の一つになっているようです。
しかし、管理職になった女性のうち、なんと75.8%の方が「管理職になってよかった」と答えています。なる前のイメージと実際の体験には、大きなギャップがあるということです。

本書では、実際に管理職を経験した女性が感じた「管理職のメリット」を紹介。管理職になりたくない人、昇進に不安を感じている人が見逃しがちな、意外なメリットにも触れています。
働く女性の不安としてよく挙げられるのが、「職場にロールモデルとなる女性がいないこの会社で、働き続けるのが不安」という悩み。約半数(53.1%)の女性がロールモデル不在の不安を感じながら働いているとも言われています。
しかし本書では、「完璧なロールモデルはいなくてもいい」と語られています。正社員として長く働く女性が増えたのは比較的最近のことであり、ロールモデルとなるキャリア志向の40〜50代女性自体の数が少ないという現実があるからです。
そこで大切なのは「仕事面ではこの人」「プライベートはこの人」と、領域別にロールモデルを探すこと。一人の完璧なロールモデルを探すより、自分の周りにいる女性たちの素敵なポイントを採り入れることが、理想のキャリアを掴む第一歩につながります。
まさに、あるある! 「職場の悩み」処方箋
「上司とうまくいかない」
「仕事を丸投げされている気がする」
という悩みを抱えているなら、まずは一歩立ち止まって考えてみましょう。「今の上司に点数をつけるなら?」という質問に対する平均点は54.2点。どの職場でも「完璧な上司」はそう多くないという結果が出ています。

立場が違えば、考え方や優先順位も変わってくるもの。上司の指示の意図や苦労が見えていない場合もあるため、慎重な判断が大切です。
それでも違和感が続く場合は、上司の振る舞いを客観的にチェックしてみましょう。
見極めのポイントは、上司が部下をきちんと育成・指導できているかどうか。たとえば、質問や意見に誠実に応じてくれるか、評価が上司の感情に左右されていないかを確認しましょう。
『働くわたしの仕事地図』では、難易度の高い「上司のマネジメントに関する相談」を円滑に進める伝え方も解説。上司との関係に悩む方のヒントが詰まっています。
大型案件のプロジェクトリーダーや管理職など、若手の女性社員が重要なポジションに大抜擢されるケースも珍しくなくなりました。しかし、こうした抜擢人事に対して、嬉しさよりもとまどいを覚えてしてしまう女性も多いのではないでしょうか。
20代後半で女性管理職になった経験を持つ著者は、そのとまどいの原因は「周りから品定めされるのでは」という疑心暗鬼から来ていると指摘。その上で「周囲の目を気にして過剰にがんばるのはやめたほうがよい」と語ります。
そうした「力み」は結果につながらないばかりか、周囲への不信感として相手に伝わり、結果的に孤立を招いてしまう可能性があるからです。
それでも周囲の目が気になる場合におすすめなのが、人事担当者や上司に「自分が抜擢された理由」を聞いてみること。自分の評価ポイントを教えてもらうことで、自信を持って仕事に臨めるようになります。
選択肢が広がる! 「転職」の知識とコツ
「よい転職」は、自分にとって理想の働き方や暮らし方に近づける転職先と出会って入社すること。そんな理想を求めて転職活動をしていたはずだったのに、気がつけば転職活動に求めているものが分からなくなってしまう「転職迷子」に陥るケースが増えています。
特に上司への不満から勢いで転職を始めたり、活動が長引いたりすると、「今の会社以外ならどこでもいい」とゴールの基準が下がり、迷子になってしまう人は少なくありません。そんなときこそ一度立ち止まって、自分が本当に叶えたいことを整理するのが大切です。
そして、退職してから仕事先を探すのではなく、働きながら転職活動を進めるのもポイント。忙しくても、焦らずに比較検討できる余裕を持つことで、自分に合う職場を見極めやすくなります。
「女の転職type」会員への調査によると、転職経験者の半数以上が「20代前半で初めて転職した」と答えています。

転職市場では、これまでのスキルや経験だけでなく、成長ポテンシャルや長期的な活躍への期待につながる「若さ」も大きな価値と見なされます。一般的に、35歳を超えると未経験での転職のチャンスは一気に減少するため、未経験の転職に挑戦する場合は早めのチャレンジが望ましいです。
一方で、管理職経験や成果を上げた実績など明確なスキルを持つ人は、年齢にかかわらず転職市場で評価されています。
求人情報で必ず見るべきポイントは3つ。
①人物写真:年齢・服装・雰囲気など、企業が求める人のイメージをチェック
②キーワード:「コツコツ」「成長」「チームワーク」など、3回以上使われる言葉を確認
③給与・待遇:用語の意味を理解し、思わぬ勘違いがないように注意
本書では、各トピックに関連した「女の転職アカデミア」のおすすめ記事もQRコード付きで紹介しています。求人広告を読み解くコツや注目すべき場所など、より深く掘り下げた内容が詰まっているので、気になる方はぜひ読んでみてくださいね。
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まとめ
今回は、小林佳代子氏著『働くわたしの仕事地図』から、女性が長く幸せに働き続けるためのヒントを紹介しました。
キャリアの悩みや迷いは誰にでも訪れるものですが、選択肢や視点を知ることで、前向きな一歩を踏み出せます。管理職への挑戦、ロールモデル探し、転職の判断など、どのテーマも「自分らしく働く」ための大切な材料です。
ぜひ本書を参考にしながら、自分らしいキャリアの地図を描いてみてください!
