約100の求人情報ビッグデータから最短2クリックで簡単分析できる人材業界向け採用市場分析ツール『HRogチャート』を活用した「2023年8月度 HRog市場分析レポート」をお届けします。正社員・アルバイト・派遣それぞれの最新の求人動向や傾向を示す参考資料として、ぜひご活用ください。
- 正社員マーケットでは、「営業/事務/企画/管理」系職種で昨対比+17,879件。
- アルバイトマーケットでは、シニア募集の求人が5年で2倍に増加。
- 派遣マーケットでは、「営業/事務/企画/管理」は前月比 +13,046件。
正社員マーケット
2023年8月の正社員マーケットでは、2022年8月と比較して「営業/事務/企画/管理」系職種が17,879件求人数を増やしました。次いで「ITエンジニア/IT系専門職」が+10,516件、「専門職」が+5,137件と続いています。
「営業/事務/企画/管理」について求人の詳細を調査したところ、2020年8月から2023年8月までの4年間で、応募条件に「未経験」または「業界未経験」を含む求人が4.5倍に増加していました。
「営業/事務/企画/管理」において、応募条件に「未経験」または「業界未経験」を含む求人を、業種別に昨対比で比較調査しました。結果は、「金融/保険/証券」が昨対比258%と増加。次いで「商社」が 228%、「医療/医薬/バイオ/化粧品」が222%と続いています。
パーソルキャリア株式会社が調査した「金融の転職市場動向2023下半期」によると、2023年下半期の金融業界の求人数はさらに増えていく見込みです。バブル時代の大量採用で入社した世代が定年退職を控え一気に退職することを背景に、人材採用を強化する動きが広まっています。金融業界が売り手市場となる中、業界未経験者をポテンシャル採用するケースも増加傾向にあります。
また、組織の活性化を図るために若手人材や異職種からの人材を採用する動きも強まっています。DX推進の流れを受け、ITシステム、DX推進といった領域の経験・スキルを持つデジタル人材の採用が活発化しているほか、金融犯罪の巧妙化によってサイバーセキュリティや法令順守といった分野のスペシャリストもニーズが高まっています。こうした専門スキルを持つ人材は即戦力として高く評価される傾向にあり、業界経験に関わらず管理職ポジションとして採用されるケースも多いようです。
アルバイト・パートマーケット
株式会社スタンバイが調査した「2023年上期求人検索トレンド」によると、月間1,000万人のユーザーが使用する求人検索エンジン「スタンバイ」において2022年下半期～2023年上半期の間で最も上昇率の高かった仕事検索キーワードは、「シニア活躍中」でした。上昇した背景には、国内の慢性的な人手不足に対して政府が高齢者の就労を促進したことが挙げられます。
さらに「シニア活躍中」とかけ合わせて検索されたワードには、「アルバイト」「パート」など非正規雇用の雇用形態に関するものが多い結果となりました。このことから、非正規雇用市場において特にシニア人材の転職・就職意欲が高まっていると分かります。また、「清掃スタッフ」も「シニア」とかけ合わせて多く検索されていました。スキルや資格がなくても未経験で始められる職種や勤務時間の融通が利きやすい案件において、シニア人材からの人気が集まっているようです。
シニア層の転職・就職意欲が高まるなか、求人数に変化はあるのでしょうか。アルバイトマーケットにおいて、応募条件に「シニア活躍」「50代」「60代」「70代」のいずれかを含む求人の件数を調査したところ、2019年8月から2023年8月までの5年間で2倍に増加していました。特に、2021年から2023年の2年間で急激な伸びを見せています。
シニア雇用は様々な業界で広がりを見せていますが、特に高齢者の採用に積極的な業種として、介護業界が挙げられます。日本経済新聞「高齢者も介護現場で奮闘」によると、人手不足が深刻な介護業界では高齢者の雇用が活発化しているとあります。
またこれまで一定の体力が必要とされてきた介護職ですが、機械化によって年齢の壁をなくす動きが広まっています。滋賀県甲賀市の特別養護老人ホーム「エーデル土山」では、従業員の2割弱に及ぶ17名が60歳以上の高齢者です。年齢に関係なく活躍できる秘訣は、徹底した機械化だといいます。自力で動けない人を補助するリフトは、90人強の入所者に対し50台を用意、3カ所ある浴場には脱衣所から湯船まで運ぶリフトを完備しています。
働きやすい環境の整備は、従業員の定着にも繋がります。同老人ホームでは2000年代はじめ、1年のうちに離職する従業員の割合が40%を超えていましたが、腰痛、残業、メンタル不調の3つのゼロを目指し取り組みを続けたことで今では離職率は3～5%に低下しました。
応募条件に「シニア活躍」「50代」「60代」「70代」のいずれかを含む求人において、「介護/福祉」職種の求人件数を前年同時期と比較したところ、671件増加していました。少子高齢化が加速し若手の労働人口も減少の一途を辿る中、シニア雇用は介護だけでなく様々な職種で増加していくでしょう。今後の動向にも注目です。
派遣マーケット
2023年8月の派遣マーケットを職種別に前月比で調査したところ、「営業/事務/企画/管理」が+13,046件と増加しました。また同職種の時給下限平均額は2023年8月7日時点で1,490円となっています。次いで「医療/医薬/福祉」の求人件数が前月比+6,640件（1,444円）、「教育/語学/スポーツ」が+1,595件（1,432円）と続きました。
「販売/接客/サービス」系職種の求人件数を企業別に調査したところ、株式会社リクルートスタッフィングが前月比+9,846件で最多となりました。次に株式会社スタッフサービスが+8,341件、株式会社スタッフサービス メディカルが+1,748件と続いています。
株式会社リクルートスタッフィングの求人を全職種において勤務地都道府県別に調査したところ、東京都の求人が前月比+7,934件となっています。次いで大阪府が+1,972件、愛知県が+995件と続きました。
求人マーケットを”語る”とは？
クライアントの役に立つことで、自分が選ばれる営業となることができます。そのためには求人マーケットの情報提供が重要です。ただ情報を提供するだけでなく、裏付けデータの深掘りで「根拠」を持って求人マーケットを”語る”ことで信頼性を向上できます。
また、商談で自信を持って提案するためには事前の準備が重要です。ここでは求人マーケットを”語る”ために必要な手順を紹介します。本記事も「HRogチャート」を使用し、同様の手順によって作成しています。
| ①データを集める：求人サイトや市場分析ツールからマーケット情報を収集 ②データを編集する：Excelやスプレッドシートで集めたデータを調査 ③データを深掘る：企業のIRやニュースを検索し、採用のニーズを探る ④データを可視化する：クライアントに提案できるようスライドや資料にまとめる |
このようにデータから見える各社の求人動向とニュースやIR情報等を合わせることで、各企業の採用ニーズを探ることができます。またクライアントの採用競合となる企業の動きも情報として提供することで、営業として信頼される関係性を作れるのではないでしょうか。
ぜひ参考にして営業に役立ててくださいね！
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