約100の求人情報ビッグデータから最短2クリックで簡単分析できる人材業界向け採用市場分析ツール『HRogチャート』を活用した「2023年11月度 HRog市場分析レポート」をお届けします。正社員・アルバイト・派遣それぞれの最新の求人動向や傾向を示す参考資料として、ぜひご活用ください。
- 正社員マーケットでは、「男性の育休取得」に言及する求人が昨対比で2.71倍に。
- アルバイトマーケットでは、「保育補助」求人が急増、昨対比で3.39倍に。
- 派遣マーケットでは、「製造/工場/化学/食品」が前月比+8,194件。
正社員マーケット
日本経済新聞「育児のしにくさ、男性の転職促す『家庭が回らない』」によると、育児を理由に転職をする男性が増えているとあります。
夫婦で平等に家事や育児を担う考えが広がっていることが要因としてあげられます。国立社会保障・人口問題研究所が独身の18〜34歳男女を対象に「夫婦の理想の働き方」を尋ねた調査では、21年に初めて、妻が出産後も働き続ける「両立コース」が出産を機にいったん退職する「再就職コース」を逆転して最多になりました。
こうした共働きでの子育ての広がりにより、男性の働き方への意識にも変化が現れています。サイボウズチームワーク総研が22年に男性社員・公務員1000人を対象に実施した調査では7割が「育児が始まったら働き方を変更したい」と回答しました。
希望の働き方ができない企業からは転職・退職を選ぶケースも。リクルートでエンジニア転職を支援する増谷泉希キャリアアドバイザーは「ここ数年で男性も育児を理由に転職し始めている」と話しています。テレワークなど柔軟な働き方が浸透するなか、より育児のしやすい条件の職場への転職が進んでいるようです。
育児を理由に転職をする人が増える中、求人に変化はあるのでしょうか。正社員マーケットにおいて、全体求人件数のうち、育休・産休に言及する求人の占める割合を調査しました。育休・産休に言及する求人の割合は、2020年11月には16.89%だったのに対し、2023年9月には37.90%に推移し、5年間で21pt上昇しています。
さらに、「男性の育休取得」に言及する求人の推移も調査しました。「男性育休」「男性の育児休業」など男性の育休取得に言及するキーワードを含んだ求人は、2020年にはほぼ観測されなかったのに対し、2022年から急増していました。2023年11月には前年同月比で2.71倍に増加しています。
「男性の育休取得」に言及する求人の推移を職種別で見たところ、「ITエンジニア/IT系専門職」で昨対比+295件増加していました。次いで「営業/事務/企画/管理」が+89件、「専門職」が+37件と増加しています。
「ITエンジニア/IT系専門職」系職種で、男性の育休取得に言及する求人件数を企業別に調査したところ、株式会社システムインテグレータの求人数が昨対比で36件増加しています。次いで株式会社もしもが+11件、株式会社トモノカイが+8件と続きます。
株式会社システムインテグレータが出している求人の詳細を見てみると、ECサイト構築ソフト「SI Web Shopping」の開発または、ECサイトへの導入作業をするエンジニア職を募集していました。福利厚生では、男性の育休取得実績やリモートワーク制度、さらに一定の基準を満たした企業を厚生労働大臣が「子育てサポート企業」として認定する「プラチナくるみん」を取得していることについても記載がありました。働きやすさや子育てとの両立のしやすさをアピールしています。
アルバイト・パートマーケット
昨今、保育士の人手不足が深刻化しています。日本経済新聞「保育士不足、復職で補う こども家庭庁」によれば、政府は2024年度から、保育士資格を持つ人の復職支援を拡大する、とあります。業務を手伝う「保育補助者」として有資格者を雇う保育所に支援金を交付します。
「保育補助者」はクラス担任や保護者への対応はせず、保育士のサポートが主な仕事になるため、一般的に保育士より業務負担が少ないのが特徴。政府は保育士の負担を軽くするため、施設が補助者を雇用する支援金の制度を16年から始めていました。
保育補助者採用時の支援金の交付は、現在は無資格者のみに限られていますが、今回の変更により、支援金の交付対象に「潜在保育士」と呼ぶ有資格者が加えられます。
理由は有資格者から補助者として職場復帰したいとの要望があったため。保育士の資格を持つ登録者数(160万人超)のうち、実際は保育士として働いていない人は20年時点で102万8000人いました。負担の少ない保育補助者として潜在保育士の復職を促すことで、保育士不足を緩和する狙いです。
保育補助者の雇用が政府により促進されていますが、実際に保育補助者の求人は増えているのでしょうか。まず、アルバイトマーケットにおいて「 保育士/幼稚園教諭/ベビーシッター」職種の求人動向を調査したところ、昨年から非正規雇用の保育士求人が急増し、昨対比1.89倍になっていることが分かりました。
続いて「保育士/幼稚園教諭/ベビーシッター」職種において仕事内容に「補助」を含む求人を調査したところ、2022年11月から2023年11月までの1年間で3.39倍に急増していました。
同職種で応募条件に「無資格」または「資格なし」を含む求人を調査したところ、こちらも2022年から急増しており、昨対比で2.61倍となっています。
保育補助の求人の詳細を見てみると、未経験・無資格可に言及する求人が多く見られました。仕事内容はクラス担任などの有資格者保育士のサポート業務としておむつ交換、お散歩引率 、午睡の見守りなどをするほか、清掃や簡単な事務作業などの雑務も行うようです。
保育士と保育補助者で、時給に違いはあるのでしょうか。「保育士/幼稚園教諭/ベビーシッター」職種全体の時給下限平均額と、同職種で仕事内容に「補助」を含む求人の時給下限平均額を比較したところ、給与に大きな違いは見られませんでした。しかし2022年11月から2023年11月までの1年間で右肩上がりで推移していることが見て取れ、給与水準が上がっていっていることが伺えます。
派遣マーケット
2023年11月の派遣マーケットを職種別に前月比で調査したところ、「製造/工場/化学/食品」が+8,194件と増加しました。また同職種の時給下限平均額は2023年11月6日時点で1,355円となっています。次いで「教育/語学/スポーツ」の求人件数が前月比 +3,191件(1,432円)、「ファッション/アパレル/インテリア」が +502件(1,449円)と続きました。
「製造/工場/化学/食品」系職種の求人件数を企業別に調査したところ、株式会社綜合キャリアオプションが前月比+6,576件で最多となりました。次にパーソルファクトリー
パートナーズ株式会社が+738件、株式会社日本ケイテムが+650件と続いています。
株式会社綜合キャリアオプションの求人を全職種において勤務地都道府県別に調査したところ、三重県の求人が前月比 +1,318件となっています。次いで熊本県が+401件、滋賀県が+1,052件と続きました。
求人マーケットを”語る”とは?
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このようにデータから見える各社の求人動向とニュースやIR情報等を合わせることで、各企業の採用ニーズを探ることができます。またクライアントの採用競合となる企業の動きも情報として提供することで、営業として信頼される関係性を作れるのではないでしょうか。
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