
政府は、2020年代中に最低賃金の全国平均を「1500円」まで引き上げる目標を発表しました。また、最低賃金の引き上げに伴い、募集時給も年々上昇しています。では、「募集時給」が1500円に到達する勢いのある都道府県はどこなのでしょうか。
今回は、フロッグが収集している求人媒体の掲載情報を活用し、「時給1500円」に近づく都道府県ランキングをお届けします。最新の傾向を示す参考資料として、ぜひご活用ください!
最低賃金改定状況

まずは最低賃金の全国加重平均額が、過去どのくらい上昇してきたのかを見てみます。年々引き上げ率は高まっており、2024年は前年と比較して+5.08%(+51円)の上昇で、全国加重平均額は1,055円となりました。1,500円まではあと445円の引き上げが必要となり、2029年までに達成するためには毎年+8%以上の引き上げが求められます。
※最低賃金の改定については厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」を参照

続いて、最低賃金改定額を都道府県別に見てみると、2024年度の改定により全ての都道府県で最低賃金が900円以上となりました。
最低賃金が最も高い東京都は1,163円となっており、1,500円まであと337円の引き上げが必要です。最も低い秋田県では、現在の951円から1,500円まではあと549円引き上げる必要があります。
※最低賃金の改定については厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」を参照
募集時給動向

2022年1月から2025年1月まで3年間の募集時給を、推移で分析します。2023年と2024年では、どちらも最低賃金の引き上げが実施され始めた10月に前月比+1.6%を超えました。2025年1月までの3年間で、募集時給は1,110円から+131円(+11.80%)上昇し、1,241円となっています。

続いて都道府県別に、最低賃金と2024年度の最低賃金改定前後における募集時給の上昇率について相関関係があるかどうか調査します。
一番上昇率が高かったのは、富山県で+4.99%となりました。また、最低賃金を84円引き上げた徳島県の募集時給は+3.17%となっています。
トレンドラインで見てみると、最低賃金の低い地域ほど募集時給の上昇率が高いことが分かりました。最低賃金の低い地方では、募集時給も最低賃金ラインであることが多く、最低賃金引き上げの影響を受けやすい様子がうかがえます。
「時給1,500円」に近づく都道府県は?
ここでは、募集時給が1,500円に近づく勢いのある都道府県を調査します。

まずは、2025年1月の募集時給額をランキングで見てみると、東京都が1,384円で1位となりました。次いで神奈川県が1,332円、千葉県が1,279円、埼玉県が1,276円、大阪府が1,270円と続いています。一都三県および大阪府がランクインしており、都市圏での募集時給が高いことが分かりました。
東京都では2025年1月時点で1,500円まで残り116円(+8.38%)となっており、前年比+5%程度の勢いが続くと2027年には1,500円に到達する見込みです。

続いて、2025年1月時点の募集時給を前年比のランキングで分析し、時給上昇率に勢いのある都道府県を調査します。1位には、高知県が+8.72%でランクインしています。次に山形県が+8.15%、長崎県が+7.98%、鳥取県が+7.81%、秋田県が+7.72%となりました。
高知県は2025年1月の募集時給が1,085円となっており、1,500円までは+415円(+38.25%)の引き上げが必要です。現在のように年+8%程度の上昇が続くと、2030年には1,500円に到達できる勢いとなっています。
全国の平均募集時給は2025年1月時点で1,241円となっており、1,500円までは残り259円(+20.87%)となりました。年+5%程度の上昇で2029年には到達するペースであり、募集時給ベースでは政府目標を達成できる勢いと言えます。

最後に、募集時給の前年比ランキングで1位だった高知県、募集時給額で1位にランクインした東京都、そして全国の平均募集時給をそれぞれ前月比の推移で比較します。
2024年3月は全てにおいて+1%を超える増加となりました。学生の卒業時期であることや、決算月等で時給の見直しを行っていることが影響しているのではないでしょうか。
また、2024年度の最低賃金改定前後において、高知県では改定が実施される前の2024年8月から募集時給が段階的に引き上げられている様子がうかがえます。東京都や全国平均では、最低賃金の改定が実施された10月に募集時給も増加しました。
まとめ
今回はフロッグが保有する求人データを活用し、「時給1500円」に近づく都道府県ランキングを調査しました。
最低賃金の全国加重平均額を1,500円に引き上げるためには現在以上の上昇率が必要ですが、募集時給では現在のペースで2029年までに1,500円を超える勢いであることが分かりました。また東京都をはじめとする首都圏では平均募集時給が1,500円間近となっており、賃上げを牽引する存在であると言えます。
求人ビッグデータを活用することで、より詳細に、よりリアルタイムに分析することが可能です。ぜひ今後の営業活動や採用活動にご活用ください。
対象期間 :2022年1月3日~2025年1月6日 ※各月第一月曜日を抽出
対象媒体 :イーアイデム、タウンワーク、バイトル、フロムエー、マイナビバイト
※『タウンワーク』『フロムエー』はIndeed PLUS経由での掲載を除いています。
対象雇用形態 :アルバイト、パート
時給下限平均額:求人情報の給与項目内にある給与情報を数値に変換し、下限の金額を合算して平均値を算出した。
勤務地情報 :求人情報の勤務地情報を取得し集計をおこなった。1求人に対して2つ以上の勤務地都道府県が紐づいている場合、最初に記載されている都道府県を採用した。
その他集計条件:外れ値調整のため、職種分類が「ナイトワーク」、企業名が「株式会社トライグループ」を含むデータを除外した。
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