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ブルーカラービリオネアは日本でも生まれるのか?求人ビッグデータでその可能性を徹底分析!

アメリカでは、建設業や物流業などの現場職を中心に、高収入を得ている「ブルーカラービリオネア」が注目を集めています。人手不足や賃上げ圧力、さらにAIによるホワイトカラー職種への影響を背景に、従来は低賃金と見られがちだった職種の価値が見直されつつあります。

では、日本においても同様の現象は起こり得るのでしょうか。本記事では、アメリカの動向や日本の人手不足・AIの影響といった構造変化を踏まえつつ、フロッグが保有する求人ビッグデータをもとに、ブルーカラーとホワイトカラーの賃金動向を多角的に分析。日本版ブルーカラービリオネアの可能性を探ります。

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トピック

  • 米国ではブルーカラーが高年収を得るブルーカラービリオネアが注目されているが、日本では同様の動きはデータ上まだ確認できていない
  • 月給70万円以上の高月給帯では、依然としてホワイトカラーの求人数がブルーカラーの約7倍にのぼり、両者の賃金格差は大きい
  • 直近の賃金伸び率はブルーカラーでも上昇傾向にあり、特に施工管理や鉱業関連など一部の専門職では大幅に伸びている
  • 地域別では沖縄など一部で伸び率の逆転も起きているが、幅広い層での高年収化には至っていない

ブルーカラービリオネアとは?

最初に、アメリカのブルーカラービリオネアの現状と日本における構造の違いについて解説します。

アメリカにおけるブルーカラービリオネアの概要

近年アメリカでは、電気工事士や配管工といったブルーカラー職種の賃金が大きく上昇する「ブルーカラービリオネア」と呼ばれる現象が注目されています。この背景には、主に三つの要因があります。

1つ目は、AIの普及によるホワイトカラーの代替と、それに伴う大規模なレイオフです。これにより、労働力がブルーカラー領域へと移動し、市場の需給バランスが変化しています。

2つ目は、法律による適正賃金の担保です。公共工事などにおいて、技能職に対し一定水準以上の報酬支払いを義務付ける法律が存在し、技術への正当な対価が守られています。

最後は、ITや効率化を現場に導入して企業価値を高める経営手法の広がりです。利益が賃金に反映されやすい土壌が、ブルーカラーの賃金上昇につながっています。

日本における構造の違い

日本でも物流や建設業を中心にブルーカラー人材の不足が深刻化していますが、アメリカとは構造が異なっています。

日本におけるブルーカラー職種の人手不足の主な要因は、少子高齢化による労働人口の減少や「2024年問題」による物流への影響、そして3K(きつい・汚い・危険)という根強いイメージによる人材確保の難しさです。加えて、多重下請け構造による利益の分散が、ブルーカラーの賃金上昇を阻む大きな壁となっています。

また、AIによるホワイトカラー業務への影響は日本でも見られ始めていますが、大企業による新卒採用の抑制など一部にとどまっています。日本ではアメリカで見られるような大規模な解雇などは起こっておらず、ホワイトカラーからブルーカラーへの労働移動も限定的です。

アメリカでは積極的な労働移動や技術への適正な価格の支払いがビリオネアを生む原動力となっていますが、日本では構造そのものが異なります。

実際のデータで考察!日本でブルーカラービリオネアが起こる可能性は?

フロッグが保有する求人ビッグデータをもとに、ブルーカラーの賃金水準やその変化を具体的に見ていきます。実際の数値から、日本におけるブルーカラービリオネアの可能性を探ります。

ブルーカラー vs ホワイトカラー!賃金の違いを解説

まずはブルーカラーとホワイトカラーの賃金構造の違いを整理します。高月給求人の分布や平均月給の推移を比較し、両者の現状と格差の実態を明らかにしていきます。

高月給帯の求人数にはどのくらい違いがある?

2026年3月時点における高月給帯の求人数について、ブルーカラーとホワイトカラーを比較します。

まずは月給50万円台以上の求人数について見ていきます。月給50万円では、ボーナスを2ヶ月分と仮定した場合、年収は約700万円となります。

ブルーカラーで50万円台以上の求人数は2,635件で、求人全体に対する構成比は0.92%となりました。対するホワイトカラーの求人数は12,739件で、構成比は4.58%です。ホワイトカラーの求人数はブルーカラーの約4.8倍で、構成比の差もホワイトカラーが+3.66pt高いという結果でした。

次に、より給与が高い70万円台以上の求人数について見ていきます。月給70万円では、ボーナスを2ヶ月分と仮定した場合、年収は約980万円と1,000万円近い水準になります。

ブルーカラーで70万円台以上の求人数は225件で、求人全体に対する構成比は0.08%です。対するホワイトカラーの求人数は1,575件で、構成比は0.57%となりました。求人数はホワイトカラーが7倍、構成比の差もホワイトカラーが+0.49pt高いという結果です。

高月給帯の求人数はホワイトカラーの方が多く、よりビリオネアに近い月給70万円以上ではその差がさらに大きくなり、ホワイトカラーとブルーカラーでの格差はむしろ拡大している可能性があります。

また、ブルーカラーの月給はボリュームゾーンが20万円台、次いで20万円未満です。ホワイトカラーでもボリュームゾーンは同じく20万円台ですが、次に多い層は30万円台でした。このことから高月給帯以外でも、ホワイトカラーの賃金水準の方が高いことが分かります。

平均月給の推移を比較!

ブルーカラーとホワイトカラーの月給はこれまでどのように変化してきたのでしょうか。2020年3月〜2026年3月の6年間で、それぞれ平均月給がどのように推移しているかをグラフにまとめました。

ブルーカラーの平均月給は、2020年3月2日時点で208,770円、2026年3月2日時点で244,802円となり、6年間の伸び率は+17.26%です。ホワイトカラーの平均月給は、2020年3月2日時点で225,434円、2026年3月2日時点で281,938円で、6年間の伸び率は+25.06%となりました。

月給の実数や伸び率ともに、ホワイトカラーの方が高いことがわかります。平均月給も合わせて考えると、現時点ではブルーカラービリオネアが起こっているとはいえません。

ただし、前年からの伸び率をあらわす昨年比の推移を見ると、以前は2025年を除きホワイトカラーの方が高かったものの、現在は同水準に近づきつつあります。

ホワイトカラー優位の賃金構造は現時点で大きく変わってはいませんが、伸び率の差の縮小など少しずつ変化の兆しは見えてきています。

職種別に平均月給を比較してみた

次に職種別にブルーカラーとホワイトカラーの平均月給を見ていきましょう。

コンサル/士業が月給約35万円!職種大分類別に見た違い

職種大分類とは、職種を大きく分類した区分です。職種大分類別に2026年3月2日時点の平均月給を確認すると、全体としてホワイトカラーの職種の方が平均月給が高く、1位は「コンサル/士業」です。他職種と比べ飛びぬけて高い水準で、月給は35万円近くに達します。

唯一ホワイトカラーの職種の平均月給を上回ったブルーカラーの職種は、「施工管理/技能工」です。平均月給は276,489円と、ホワイトカラーである「営業/事務」の269,371円を7,118円上回りました。

職種別に見ても、ブルーカラービリオネアが起こるのは構造的に難しいといえます。

続いて、職種大分類別の求人数について解説します。

2026年3月2日時点での求人数は、ホワイトカラーである「営業/事務」が188,708件で最多となりました。次いでブルーカラーの「運輸/物流」が128,376件と続いており、求人数自体はブルーカラー職種も多く掲載されています。

求人数を2025年3月から2026年3月までの伸び率で比較してみると、1位は「施工管理/技能工」で+13.21%、2位が「製造/工場」で+10.14%、3位が「電気/機械」で+7.47%と、ブルーカラーの職種が上位3つを占めています。

ブルーカラー職種のニーズ自体は近年増えている様子がうかがえました。こうした需要の高まりが賃上げにつながるかどうかが、今後の賃金動向を読み解くうえでのポイントとなります。

6年間で月給が約1.5倍になった職種も!職種中分類別の平均月給

続いて、より細かい分類である職種中分類のデータを見ていきます。2020年から2026年の6年間の平均月給伸び率は、ブルーカラーである「建設/土木/エネルギー」の中から「鉱業関連」が1位となりました。+52.02%と6年間で平均月給が約1.5倍になっています。

「鉱業関連」では、具体的に以下のような求人が出ていました。

  • 山口県の鉱山で石灰石を破砕・選鉱・輸送する設備の管理業務/月給47万円~
  • 滋賀県の鉱山での採掘・プラントのマネージャー/月給38万円~

どちらの求人も、月給50万円以上の高月給帯には届きません。しかし、2020年には平均月給が20万円以下だったのに対し、近年は月給水準の高い求人も出てきています。このことから分かる通り、細かく職種を見ていくと例外的に賃金が伸びているブルーカラー職種もあります。

一方で、アメリカのブルーカラービリオネアの代表格である「建設作業」は伸び率+11.25%でワースト4位、平均月給は246,791円で57職種ある全体のうち38位です。こうした点を踏まえると、アメリカのような状況になることは、今のところ考えにくいといえます。

ちなみに、平均月給の伸び率のワースト1位はホワイトカラーである「ITエンジニア」の「システム開発(汎用機系)」で、+7.19%です。月給の高いイメージがあるエンジニアですが、今後はその中でも稼げる職種と稼げない職種に分かれていくのかもしれません。

月給125万円以上の求人が3社!ブルーカラーで平均月給を引き上げている企業は?

続いて、ブルーカラー職種に限定し、企業ごとの平均月給について解説します。

ブルーカラー職種における平均月給が高い企業のランキングを作成したところ、1位に月給125万円以上の企業が延べ3社ランクインしました。

  • 宮越ホールディングス株式会社/高層ビルの施工監理責任者(中国駐在)
  • 日本コンベヤ株式会社/大型コンベヤまたは立体駐車装置関連の電気設計
  • 日本住宅株式会社/設計本部や施工統括の役員

ブルーカラーのなかでも海外駐在員や設計、役員といった求人が、特に月給を引き上げている傾向があります。今後、いわゆる「現場作業」を担う層ではなく、特殊な役割を担う層で賃金が伸びていく可能性が見えました。

地域差はある?都道府県ごとに比較してみた!

最後は都道府県ごとに、2020年から2026年まで6年間の平均月給の伸び率を、ブルーカラーとホワイトカラーで比較していきます。

全体平均はブルーカラーの伸び率が+17.26%、ホワイトカラーの伸び率は+25.06%です。都道府県ごとの平均月給伸び率は、ほぼすべての都道府県でホワイトカラーの方が高いという結果でした。

ただし、沖縄県ではブルーカラーの伸び率が+23.92%、ホワイトカラーの伸び率が+19.79%と、両者の関係は逆転しています。高月給帯の求人としては、石垣島の土木施工管理技術者(月給62万円以上)や、新テーマパークにおけるアトラクション設備点検(月給55万円以上)などが見られます。

その背景には、沖縄の観光産業の好調さや、建設業が沖縄県の主要産業である点が影響しているのかもしれません。このように地方では、都市部とは異なる賃金構造が存在する可能性も考えられます。

まとめ

現時点の日本において、アメリカのようにブルーカラービリオネアが一般的に生まれているとは言い難い状況です。一方で、施工管理や鉱業関連といった一部職種や、特定の地域では賃金上昇の兆しが見られ、ブルーカラー職種でも変化は起き始めています。

また、直近ではブルーカラーの賃金伸び率がホワイトカラーに近づいており、この傾向が続けば一部の領域から高収入層が生まれる可能性もあります。ただし、その中心は現場作業ではなく、高度な技能やマネジメントを担う層になると考えられます。

特に建設業では元請から下請へ業務が重層的に委託される多重下請け構造といった課題もあり、アメリカと同様の形でブルーカラービリオネアが広く生まれる可能性は低いのではないでしょうか。

調査概要

調査期間    :2020年3月2日~2026年3月2日
         ※各3月の第一月曜日のみを抽出
調査媒体    :「doda」「ハローワーク」「マイナビ転職」「エン転職」
雇用形態    :正社員、契約社員
平均月給について:求人情報の給与項目内にある給与情報を数値に変換し、月給の下限金額を合算して平均値を算出した。
都道府県について:求人情報の勤務地情報を取得し集計をおこなった。1求人に対して2つ以上の勤務地都道府県が紐づいている場合、最初に記載されている都道府県を採用した。
職種分類について:複数の求人媒体の情報をまたいで集計するため、媒体記載の職種カテゴリーを使用せず、独自のキーワードマッピング処理に基づいた業種・職種カテゴリーを使用して求人情報を分類・集計した。

また、全22種類ある職種大分類のうち以下9職種のみ使用し、「ブルーカラー」「ホワイトカラー」の振り分けを行った。なお、「施工管理/技能工」および「ビジネスコンサルタント/士業/金融関連」については、本レポート用に新規作成した職種分類である。なお、職種中分類は全57職種を使用した。

▼ブルーカラー
・施工管理/技能工(42,578件)
・建設/土木/エネルギー(33,564件)
・製造/工場/化学/食品(37,243件)
・運輸/物流/配送/警備/作業/調査(128,376件)
・電気/電子/機械/自動車(47,086件)

▼ホワイトカラー
・ITエンジニア/IT系専門職(82,085件)
・クリエイティブ(Web系)(2,781件)
・営業/事務/企画/管理(188,708件)
・ビジネスコンサルタント/士業/金融関連(6,455件)

※カッコ内は2026年3月2日時点の求人数

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(執筆:川瀬ゆう)

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