株式会社パソナグループの決算情報分析(2016年5月期第二四半期)

株式会社パソナグループの2016年5月期第二四半期の決算が1月13日に発表されました。

本決算でのパソナグループの連結売上高は、前年比で増収となっているものの、営業利益で減益となっています。
この背景について、2016年5月期第二四半期の決算短信と決算説明資料から分析を行ってみます。

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パソナグループの連結売上高は、前年対比で12.1%増収となりました。

後述しますが、特に売上高を伸ばしているインソーシング事業が前年同期比で53.7%と飛躍的に売上高を伸ばしている点が、注目されます。

しかし、M&Aや業務拡大に向けた投資を一部前倒ししたことにより、販管費が前年同期比で13.2%増となり、その結果営業利益は10.6%減少しています。
営業利益率では、今期0.8%となっています。

これは前年同期での営業利益率1.1%の0.3%下回り、昨年通期決算での1.5%と比較しても、半分ほどの割合です。
昨期並みの利益率を確保するには、下期の利益率の持ち直しがポイントとなります。

なお、同業他社と比較してみると、同時期の同業他社1位のリクルートホールディングスの連結営業利益率は7%、2位のテンプホールディングスの連結営業利益率は5.4%となっているので、相対的にはかなり低い数字であるといえます。
今期の売上高販管費率は、過去5年間の中で最高の19.1%となっており、この上昇をいかに抑えられるかが、今後の営業利益の上昇に向けたポイントとなるでしょう。

主要セグメント別分析

次に事業セグメント別に見ていきます。

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エキスパートサービスでは、サービス業やメーカーをはじめ、幅広い業界からの受注を伸ばしています。前年と比較して、売上高は、2.9%減少していますが、連結納税制度への移行で子会社が8ヶ月決算となっており、実質は増収であるといえます。


HRコンサルティング、教育・研修事業では研修事業ではキャプランが導入・コンサルティングを行っているタレントマネジメントシステムの成功により、事業も順調に拡大した結果、売上高は前年と比較して、8.6%増となりました。

ここで特筆すべき点としては、インソーシング事業が前年対比で53.7%、アウトソーシング事業が前年対比20.3%と飛躍的に売上高を伸ばしており、売上構成比を見ると、この2事業に比重が傾いてきていることです。

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上記を見ると、売上の割合が高まってきていることがわかります。インソーシングはエキスパートサービスと違い、指揮命令もパソナグループ側が請け負うというもので、請負先企業の労務管理コストが浮く、という点でニーズが高まっているようです。
このように、さらなる拡大を実現しているインシーシングは、民間の業務委託の増加が追い風となって、保育関連事務などの新分野も伸びており、行政事務代行が増加したことも今期増収の原因と考えられます。

アウトソーシング部門では、ベネフィット・ワンが福利厚生事業を担っていますが、会員数は着実に伸びています。この事業はユーザー課金型のストックビジネスのため、会員数が増えることによって売上増につながっており、安定的に成長しています。
また、同社は福利厚生サービスのジャンルが多岐にわたって展開されており、なかでもインセンティブ事業やヘルスケア事業などの新規事業が伸びており、収益の多角化を進めています。

事業戦略の見通し

株式会社パソナグループの2016年5月期の事業戦略について、確認します。パソナグループが展開する組織コンサルティング事業は、派遣法や労働契約法の改正、マイナンバー制度の開始に伴い、2016年5月期において、注目される事業となることが予測されます。
さらに、グローバル事業も拡大の傾向がありますが、インドネシアのPT Dutagriya Sarana を買収し、人材フルラインサービスを整備し、また、フィリピンのマグサイサイグローバルと提携し、家事代行スタッフを招聘して、2016年3月から営業を開始するようです。

まとめ

パソナグループの2016年5月期第二四半期では、軒並み、どの事業部も前年と比較して、売上高を伸ばしていますが、特にインソーシングやエキスパートサービスなどの人材派遣サービスでは、販管費の増加に伴い、営業利益は減少しています。

しかし、人材紹介や再就職支援を担うキャリアソリューション事業や、アウトソーシング事業では大きく改善しており、来期もこの2事業の牽引で高い増益率を見込むことが予想されます。

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