70歳までの雇用機会確保に「未対応」の法人は67.7%、株式会社Works Human Intelligence調査

2021年に高年齢者雇用安定法が改正され、65歳までの雇用確保義務や70歳までの就業機会の確保が努力義務化された。また政府は、公的年金の受給開始年齢を段階的に引き上げる措置を講じている。そのため企業は、働く意思のある高年齢者が活躍できるよう、環境整備を図ることが求められている。

株式会社Works Human Intelligenceは、同社が運営する統合人事システム「COMPANY」の利用者である大手法人を対象に、高年齢者雇用安定法改正の対応や50歳以上のキャリア形成に向けた取り組みを調査した。

調査結果は以下の通り。

67.7%の企業が70歳までの就業機会確保に「未対応」

70歳までの雇用機会確保について取り入れた制度を尋ねたところ、67.7%の企業が「何もしていない」と回答した。法改正から1年が経つが、多くの企業が対応を行っていないと分かった。

定年延長に対する課題は「対象者の報酬水準」「対象者のモチベーション」「人件費の高止まり」

定年延長に対して抱える課題を尋ねたところ、58.7%の企業が「対象者の報酬水準」と回答し最多となった。次に「対象者のモチベーション」が55.4%、「人件費の高止まり」が39.1%と続いた。

また定年以降の継続雇用者に対する課題を尋ねたところ、71.1%の企業が「対象者のモチベーション」、53.0%の企業が「対象者の報酬水準」と回答した。

62.5%の企業が活躍が見込めるシニア層の継続雇用に意欲的

シニア層の活用に向けた方針を尋ねたところ、62.5%の企業が「活躍が見込めるシニア層を継続雇用し、知見やスキルを業務に活かしてほしい」と回答し最多となった。

今回の調査では定年以降の継続雇用について「対象者の報酬水準」や「対象者のモチベーション」などが課題となり、積極的な取り組みを行う企業が少ないと分かった。一方で、シニア層の活用に向けて、「活躍が見込めるシニア層を活用したい」と考えている企業が半数以上いることも分かった。現在企業の多数を占める40歳代後半~50歳代がシニアとなる前に、対策を検討する必要があるだろう。

【参考記事】【WHI調査レポート】高年齢者雇用安定法改正から1年、70歳までの雇用機会確保「未対応」の法人が約7割