賃上げの動きが強まっている。日本労働組合総連合会が2022年に次年度の春闘で5%の賃上げ要求を決定したことなどが要因で、2023年には大手を中心に大幅な賃上げを打ち出す企業が多く見られた。
パーソルキャリア株式会社は2023年12月4日、「平均年収ランキング2023」を発表した。
同調査は、同社が運営する転職サイト「doda」に2022年9月〜2023年8月に登録した約63万人のデータを元に、正社員としてはたらく20歳〜65歳の平均年収をまとめたものだ。
調査結果は以下の通り。
2023年の平均年収は414万円であった。前回調査から+11万円と大幅に増加し、2018年のコロナ前の水準に回復した。
全174職種の平均年収ランキング1位は、「技術系(メディカル/化学/食品)」の「医師」(1,028万円)だった。次いで「金融系専門職」の「投資銀行業務」(947万円)、「専門職(コンサルティングファーム/専門事務所/監査法人)」の「弁護士」(825万円)と続く。前回から「医師」は1万円、「投資銀行業務」は97万円アップと、それぞれ平均年収は増加している。
全98業種の平均年収ランキング1位は「金融」の「投信/投資顧問」(750万円)だった。次いで「メーカー」の「たばこ」(667万円)、「メディカル」の「医薬品メーカー」(647万円)と続く。前回調査から1位と2位が入れ替わったものの、上位3業種の顔ぶれは変わらない結果となった。なお、平均年収の増加幅が大きかった業種には、46万円アップした30位の「試薬メーカー/受託合成/受託分析」、41万円アップした8位の「診断薬/臨床検査機器/臨床検査試薬メーカー」などが挙げられる。
年代別では、全年代で昨年調査から10万円以上の上昇となった。一番増加幅が大きかったのは40代で前回比+16万円。
47都道府県のうち、最も平均年収が高かったのは「東京都」(455万円)であった。その他トップ5を関東エリアが占める。2022年よりも平均年収が増加したのは43都道府県、変化なしが「徳島県」、減少したのが「香川県」「長崎県」「佐賀県」。最も増加したのは18万円アップの「秋田県」、次いで16万円アップの「滋賀県」「鳥取県」であった。
詳細結果はコチラ
今回の調査では、正社員の平均年収が上昇傾向にあることがわかった。しかしながら、平均年収は多くの人にとって満足のいく水準には達しているとは言い難い。同社が発表した「仕事満足度ランキング2023」では、「給与・待遇」の指標への満足度を示す点数は仕事内容や労働時間などほかの指標と比べて最も低かった。doda編集長の加々美 祐介氏は「人材獲得競争が激化し好条件の求人が増加している」ことを踏まえたうえで、「昨今の物価高を受け、年収アップを目指した転職者はさらに増える見込み」と予想している。今後の動向にも注目だ。
対象者:2022年9月~2023年8月末までの間に、dodaサービスに登録した20~65歳の男女
雇用形態:正社員
有効回答数:約63万件
※平均年収:手取りではなく支給額
※順位算出:平均年収(万円)の整数で順位づけ
【参考URL】転職サービス「doda」、「平均年収ランキング2023」を発表正社員の平均年収は414万円で、前回から11万円アップ