
ディップ株式会社
第二ソリューション営業本部 HR統括部 首都圏営業2部2課 リーダー 採用コンサルタント
菊地 奈々恵氏
きくち・ななえ/2018年に新卒でディップ株式会社に入社。採用コンサルタントとして、中小企業様をメインに派遣会社・人材サービス会社を主な顧客とする千葉県のHR領域を担当。2021年に退職しSaaS企業でカスタマーサクセスとして勤務し、2022年に再びディップへジョイン。2024年から現在まで大手企業様メインに東京都のHR領域を担当。2025年に通期MVPを受賞。
大きな組織成長の裏には、それを支えるハイパフォーマー営業の存在がある。しかし、彼ら・彼女らも最初から完璧だったわけではないはずだ。どのようにして苦難や挫折を乗り越え、エースに成長していったのか。本特集では人材企業各社で活躍する営業担当者にスポットをあて、それぞれの自分史から一歩踏み出すためのヒントを探していく。
今回話を伺ったのは、ディップ株式会社で法人営業を担当し、昨年度の通期MVPに輝いた菊地奈々恵氏だ。新卒でディップに入社し、一度転職を経て再入社するというキャリアを歩んできた菊地氏。当時の心境の変化や、日々の行動、そしてこれから目指す姿について、じっくりと語ってもらった。
「本当に自分に合った仕事」に気づき再びディップへ

菊地氏は2018年に新卒でディップに入社し、千葉オフィスで約3年半にわたって営業を経験した。その後一度転職して、2022年にディップに再入社した。
菊地氏「就活時にディップを選んだのは、好きな商材に関われるというのが一番大きかったですね。アルバイトを探すときに、バイトルを使っていたんです。お客様はもちろん、ユーザーである求職者の役にも立てて、自分が関わることで幅広い範囲の人を幸せにできるのも魅力でした」
新卒で入社した直後はリテール営業として経験を積み、2年目には個人でも組織全体でも通期表彰を獲得。この時、個人タイトル以上に「チームで勝てた」ことが嬉しかったという。
菊地氏「入社してから先輩たちがずっとサポートしてくださったので、『この人たちに何か返したい』ってずっと思っていました。自分もその組織の力になれたから通期表彰が取れたのかなと思うと、本当に嬉しかったです」
順調にキャリアを重ねていた菊地氏にとって、転機となったのがコロナ禍だった。採用ニーズが変化するなか、媒体営業に加え、より幅広い手段で顧客の課題解決を支えられる仕事に関心を持ち、ディップが展開を始めたDX商材に目を向けるようになる。
菊地氏「お客様が『採用している場合ではない』といった状態でした。DX商材だったらそうした時期にもお役に立て、長くお付き合いできそうだと考えたんです。通期表彰を獲得するなどある程度の成果を出せたことで、新しいことをやりたい気持ちが湧いていました」
その後、より深く顧客の課題解決に携わることを目指し、SaaS企業へ転職。カスタマーサクセスとして、導入支援や活用促進を担当し、顧客の成果創出に伴走する経験を積んだ。
転職先での業務にやりがいを感じつつも、実際に働くなかで、自分に合った仕事のあり方があらためて見えてきたという。
菊地氏「前職は仕組み化が徹底されていて、誰がやっても同じ品質で成果を出すことを重視していました。それはすごく大切ですし、勉強になりましたが、私は自分でアイデアを考えて実行し、お客様の反応を見ながら改善していく仕事の方が向いていると気づいたんです」
その思いを、元上司へ相談したことが、再入社のきっかけとなった。
菊地氏「退職後もずっと交流のあった上司に、『ディップに戻ってきたら』と言っていただけたんです。営業としてもう一度挑戦したいという気持ちが固まり、再びディップで働くことを決めました。再入社後は以前と同じ千葉オフィスに戻り、業務も大きく変わらなかったので、比較的スムーズに仕事を始められました」
一方、他社を経験したことで、以前とは異なる視点も身についたという。
菊地氏「前職では、施策の意図や背景を考え、再現性を持たせることの大切さを学びました。また、営業以外の立場を経験したことで、どうすれば周囲のメンバーが仕事を進めやすいかを以前よりも意識できるようになりました」
この経験が、東京本社で壁を乗り越える土台になった。
「思いをちゃんとぶつけてほしい」の言葉がブレイクスルーのきっかけに
2022年の再入社後は千葉オフィスで勤務していたが、2024年に東京本社へ異動。現在は、人材サービス会社や派遣会社、警備会社など約15社を担当している。しかし、異動当初は、担当企業や営業スタイルが大きく変わったことで、自分の実力に自信を持てず、大きな壁に直面したという。
菊地氏「千葉オフィスでは中小企業のリテール営業がメインでしたが、異動後は主に大手企業を担当するようになったんです。『自分が通用するんだろうか』と不安になり、すごく悩みました。
千葉オフィスで成果を出せたのも、『周りのおかげ』『ラッキーだった』と思っていて、自分のスキルに自信がありませんでした。『もっと自信を持っていい』と周囲から言ってもらっても、なかなか気持ちを切り替えられませんでした」
転機になったのは、上長からの言葉だった。
菊地氏「『まずは思っていることをちゃんとぶつけてほしい』と言ってもらえたことが大きかったです。遠慮して自分の考えを飲み込むのではなく、率直に発信していいのだと思えるようになりました。
自分の考えを伝えて、『そのやり方良いね』と認めてもらったり、『もう少し練った方が良いよ』とアドバイスをもらったりを繰り返すことで、少しずつ自信がついてきました」
そこから、制作チームやデータチームなど、社内の他部署とのコミュニケーションの取り方も変わっていったという。
菊地氏「以前よりも積極的に連携するようになったことで、制作チームやデータチームとの話し合いがスムーズになりました。
制作チームやデータチームのメンバーは、その分野の専門家ですが、お客様と直接やり取りしているのは営業である私です。私がやりたいことをしっかり伝えないと、良い成果物はできません。
自分の考えを整理して相手に伝わるように言語化する習慣をつけたことで、具体的なアドバイスをもらえるようになり、成果も業務スピードも上がりました」
お客様にどんな未来を実現してもらうかが起点。地道な積み重ねでMVP受賞

菊地氏は常に「この商材を売る」ではなく、「お客様にどんな未来を実現してもらうか」を起点に提案を考え続けてきた。その積み重ねが、通期MVP受賞につながった。
菊地氏「何か特別なことを一つしたというよりも『お客様のためになることは何だろう』と日々考え続けてきた結果だと思っています。商材ありきで提案するのではなく、その商材を使うことで、お客様がどのような成果を得られるのか、どのような未来を描けるのかを意識してきました」
なかでも印象に残っている案件は、これまで紙媒体を中心に人材獲得を行ってきたお客様の採用支援だという。
菊地氏「そのお客様は、これまで紙媒体を通じて人材を採用していましたが、紙媒体の終了に伴い、従来と同じ層にアプローチすることが難しくなっていました。そこで新たな接点をどう作るかという視点で考え、Webの記事広告の掲載やスポーツチームへの協賛といった手法を提案しました。その結果、これまでとは異なる層へのアプローチにつながり、面接関連の目標数値も達成することができました」
初めての手法の導入にあたって、事前の説明や運用中のフォローにも力を入れたという。
菊地氏「始める前の不安をできるだけ取り除けるよう、施策によってどのような層へアプローチできるのかを、データチームや制作チームにも協力してもらいながら丁寧にご説明しました。取り組みの結果、『ディップさんのおかげです』と言っていただけたときは、お客様の力になれたと実感でき、本当に嬉しかったです」
約15社の顧客を担当する菊地氏。複数の案件を並行して進めるなか、どのようにスケジュールを管理しているのだろうか。
菊地氏「案件が動き出す前の段階で、制作やデータのチームに早めに相談し、必要な協力をお願いするようにしています。また、自分にしかできない仕事と、AIを活用できる仕事を分け、効率化をしています。月末に向けてみんなで頑張ろうという雰囲気があり、声をかければ快く協力してもらえる環境にも助けられています」

菊地氏「一度社外へ出たことで、困っている人に自然と手を差し伸べ、最後まで同じ目標に向かって取り組むディップの文化にも、あらためて気づきました」
こうした姿勢は、日々の仕事の進め方にも表れている。AIを活用して業務負荷を減らすだけでなく、周囲が仕事を進めやすい環境づくりも大切にしているという。
菊地氏「社内のチャットではこまめにリアクションを返し、業務が立て込んでいないときは、できるだけ早く返信するようにしています。周囲から相談しやすい人だと思ってもらえるように意識していますね。すぐに対応することで相手も次の作業に進めますし、結果的に仕事全体のスピードも上がります」
営業は大変でやりがいのある仕事。「楽しく働ける環境」をつくれる人になりたい
これからの展望について、「自分一人が成果を出すことにとどまらず、周囲を巻き込みながら成果を出せる仕組みを広げていきたい」と菊地氏は話す。
菊地氏「ディップでは、自分のアイデアを形にしやすく、さまざまな提案に挑戦できます。一方で、取り組みが、まだ属人化している部分もあります。
そうした状況を踏まえ、私が試行錯誤で見つけたやり方を再現性のある仕組みとして周りのメンバーにも共有し、チーム全体で成果を伸ばしていきたいです。仕事は人生のうち長い時間を占めるものなので、楽しくできた方が絶対良いと思うんです。自分だけではなく周りの人にとっても楽しく働ける環境をつくれる人材を目指しています」
最後に、同じように営業の現場で悩みを抱える人へメッセージを送ってもらった。
菊地氏「正直なところ、人材業界の営業は楽しいことばかりではありません。目の前の数字に追われたり、お客様の目標を実現できずに悩んだりすることもあります。
それでも、自分が掲載した一件の求人によって、求職者が新しい仕事に出会い、その人の生活や人生が変わるかもしれません。さらにその方が活躍すれば、お客様の事業にも良い影響が生まれます。目の前の業務だけでなく、その先で求職者やお客様にどのような変化を生み出せるのかに目を向けることで、この仕事のやりがいや楽しさを感じられると思います」

(執筆:川瀬ゆう)
