【新卒MVP特集#09】高卒で新人MVP、高校生に夢を与えたい|ジンジブ・好永優希氏

株式会社ジンジブ
マーケティング部 主任
好永 優希 氏
よしなが・ゆき/神奈川県の高校出身。高校の就職時には学校に届く求人票が少なく、自らジョブドラフトを見つけて就職活動を行う。2019年4月、高校卒業後に株式会社ジンジブへ入社。大卒新卒も合わせた新卒の中で、3ヶ月の新人研修期間には新人MVPに、7月から営業部へ配属後にて、年間新人MVPにも輝く。5ヶ月連続目標200%超を達成し、四半期で営業部全体の3番目の成績を納める。2020年4月からはマーケティング部へ異動、同期内で最短で主任に昇格。現在は高校生向けマーケティングを担当。

HR業界の新卒MVP特集

新卒MVP。長い社会人人生でたった一度しか挑戦することができない尊い称号だ。数多くのライバルである同期を抑え、一番活躍した新卒社員のみが獲得できる新卒MVP。今回の特集では人材業界各社で活躍する新卒MVP社員にスポットをあて、活躍の秘訣を紐解いていく。

今回は株式会社ジンジブの好永優希氏にインタビューを行った。高校卒業後に高校生の就職活動を支援する「ジョブドラフト」を運営する株式会社ジンジブへ入社、営業部で5ヶ月連続目標200%超を達成した好永氏。事業の売上増に大きく貢献し、現在はマーケティング部で新しい挑戦を続ける彼女の活躍の秘訣は何なのだろうか。

「1人1人のお客様に全力で向き合う」「聞く」「愛嬌と元気さ」を大事にした営業部時代

「特に商談に行くことが好きでした。代々家系で続いてきた家族経営を崩した社長さんの話や製造業の夜勤、大卒と高卒で全く同じ初任給の設定の会社のことなど…。知らないことをお客さんにたくさん教えてもらえるのが楽しかったです。商談にいくたびに新たな発見がありました」

毎月目標達成をし続けた理由について、好永氏が意識していたことは3つあると話す。

意識したこと①:1社1社のお客様に対して全力で取り組む

「一つ目に意識していたのは、1社1社のお客様に対して全力で取り組むことです。商談後にありがとうカードという手紙を書いて渡したり、担当者さんのFacebookを調べてどんなことに関心があるのかをチェックしたりしてから営業に伺うようにしていました」

また商談のときも担当者がどのような気持ちで働き採用業務をしているのか、その人自身に興味を持つことを意識することで距離感が縮まったらしい。

意識したこと②:すぐに聞くこと

「二つ目はすぐに聞くことです。分からないことがあったらすぐに先輩に聞く、先輩の力を借りられることは全て借りました。朝の営業ロープレに始まり、商談後はすぐに先輩に電話、提案内容を報告していました。さらに営業部以外の部署の先輩や人生経験が豊富な役職の方、拠点の違う先輩や同期にも話を聞きに行ったりしました」

新人の場合、「忙しい先輩にこんなことを聞いてもいいのだろうか」と考え質問に尻込みしてしまう場合が多い。しかし好永氏は新人研修で「分からないものをそのままにされることより、分かるまで聞いて来て欲しい。分からないでミスされる方が困るから」と教えられたことがきっかけで、積極的に質問するようになったという。

「また『お客様も教師だ』と思い、こちらが提案しよう、営業しようとするのではなく、お客様へ聞く回数が多かったように思います。それがきっかけで気に入ってもらえたり、良い関係が築けて受注や紹介をもらえました」

意識したこと③:愛嬌と元気

「三つ目は愛嬌と元気です。新卒は、機会も実力も先輩より至らないところが多いです。だからこそできることは社風貢献だと思っています。最初の研修でも、社長から業績貢献よりも社風貢献だと教えてもらいました。社風貢献だけはしようと思っていました」

以上の3つを意識した結果、5ヶ月連続で目標200%超の達成率を出すなど大きな成果を残した好永氏。しかし、新人研修が明けた1年目の夏は営業成績が芳しくなく、落ち込む日々が続いたという。

「4月から6月にかけての新人研修期間は、先輩に言われていたことをとにかくガムシャラにやっていました。そして新人研修中に発注いただき、新人MVPとして表彰していただきました。今振り返ると、発注いただけたのはたまたまタイミングがよかったからという面が大きかったのですが、当時はもっと頑張ろうと意気込んでいました」

「ところが7月に入り高卒採用シーズンが本格的に始まると、人事の方にサービスをご検討いただける機会が減っていきました。なかなか思うように成果が出せないプレッシャーから、楽しかった商談もだんだん楽しくなくなっていきました」

そんな中でかつて新人研修期間中に訪問した客先へ再訪したところ、担当者から「好永さん、前より顔が暗いね」と声をかけられた。

「最初はそんなことないと伝えたのですが、商談が一通り終わった後、こらえられなくなって自分の気持ちを打ち明けました。『頑張りたいのに頑張れていない。今の会社に合うのかどうか、自分が何をしたらいいのか分からない。自分のすることがお客様のためになっているのか自信もない』というような話をしました。お客様は熱心に聞いてくださった後に、『好永さんには言うね、がんばれ』という言葉をいただきました」

「やっぱりもっと頑張るしかないのか」と伝えると、担当者は「そういう意味じゃない」と否定した。

「がんばれというのは『頑張れ』ではなく『顔を晴れ』、今の自分に自信をもって顔を晴れにしようという意味。だから好永さんはそのままで良いんだよと。優しい言葉に思わず号泣してしまいました。そのお客様は契約できませんでしたが、今でも関係が続いています」

他にも会社の先輩にもたくさん声をかけてもらったという。

「9月ごろには、前のチームリーダーにもご飯に誘ってもらいました。第一声に『頑張れない時に頑張らなくて良いんだよ。今は準備期間だと思って』と言ってもらいました。心がほっとしたのと、自分自身を認めてもらった気がして嬉しかったです。視野が狭くなっていたのが、開けた感じがしました」

「そして9月の終わりごろ、その時期の直属のチームリーダーに私が悩みをこぼした時、具体的な方法ではなく、『愛は受注で返して』と言われました。私はそのリーダーが大好きだったので『これはやるしかない!』と思えました。そしてその次の月から、これまでの行動が成果に結びつくようになりました」

結果がすぐに出ない、辛い時期は新人ならば誰にでもあるもの。好永氏はその時期を先輩やお客様に支えてもらうことで乗り越えていった。

ヤンキーだった中高から夢をかなえるために就活へ

1年目に高卒としても新卒としても大きな成績を収めた好永氏。高校時代も優秀な生徒だったのだろうか。

「中学校時代は地元の仲間とつるんでるようないわゆるヤンキーで、高校生では化粧とお洋服が好きなギャルになっていました。また、コーヒーショップでアルバイトをしていました。店長やお客様が優しかったこともあり、とても好きな職場でした。常連さんのおじいさんやおばあさんと天気の話やお孫さんの話をするのが楽しかったです」

高校時代アルバイトに勤しんでいた好永氏は、どのようにしてジンジブと出会ったのだろうか。

「ジンジブとの出会いは就職活動の時期です。元々はアパレル会社のプレス担当になることを目指していました。SNSのインフルエンサーやショップ店員が自分で会社やブランドを立ち上げているのを見て、いつか自分も洋服に関わる仕事に就こうと思っていました。

しかし、調べてみるとプレス担当の求人はマーケティングの実務経験がある中途社員の採用がほとんど。大学卒業後すぐに希望の職種に就くのは難しいということが分かりました。そこで大学へ進学するのではなく、高校卒業後すぐにマーケティングが学べる会社に入社して経験を積もうと思いました」

しかし、仕事探しで好永氏は高卒就活の壁にぶつかった。

「高校生の就職活動は大卒のように求人サイトなどを通じて直接企業へエントリーするのではなく、高校の進路指導教諭を通じて応募するのが一般的です。また、一定期間は1人1社までしか応募できないというルールがあります。私の高校は就職より進学を選ぶ生徒が多かったこともあり、先生も就職指導が不慣れだったためか求人票は2~3枚しか見せてもらえませんでした。渡された求人も近所の工場の夜勤の仕事など自分の希望とは違うものが多く、なかなかうまく就職活動を進められず悩んでいました」

自分の力で就職先を探そうと「高校生」「就職」と検索したときに、ジンジブが運営する高校生の新卒求人サイト『ジョブドラフト』を見つけた。それがジンジブとの出会いだという。

「掲載されている写真などを見て、面白そうな会社だと思いました。『経営幹部募集!』というキャッチコピーに惹かれて職場見学に行くことにしました。入社を決めた理由は、人が良かったことです。それまで、電車に乗っている社会人は目が死んでるように見えていましたが、ジンジブで働く人達は、皆楽しそうに見えました。マーケティング部が新設され、入社後、部署異動もできると言われたのも決め手でした」

高校生に夢を与えたい・高卒採用の文化を変えたい

最後に、好永氏がジンジブでやりたいことについて話を聞いた。

やりたいこと①:高校生に夢を与える

「一つ目は『高校生に夢を与える』です。自分のように田舎で育って、やりたいことが見つからず将来に希望が持てない高校生はたくさんいると思います。ジョブドラフトでたくさんの企業を紹介することで、色々な選択肢があることを伝えたいです」

やりたいこと②:高卒採用の文化を変える

「二つ目は『高卒採用の文化を変える』です。ジンジブでは高卒の人も活躍している人がたくさんいますし、社長も高卒です。しかし世の中では高卒は大卒よりも軽視されることが多く、悔しいと感じています。その見方も変えていきたいですし、高校生新卒を採用する企業が増えて欲しい。今まで高卒採用をしたことのない企業も一度は高校新卒を採用してみて欲しいんです」

やりたいこと③:後輩の教育

「三つ目は『後輩の教育』です。私が目指すジンジブになるためにも、新人教育をしたいと思っています。今は一年下の新卒の電話営業の研修を担当していますが、その中で『去年の新人MVPって誰だっけ?』と思われるくらいの成績を出す後輩を育てたいと思っています」

「またその先の未来では、夢であるアパレル会社のプレスや広告に携わっていきたいです。好きなブランドの服を着て元気になったりワクワクしたりする経験をもっと色々な人に味わってもらうためにも、私が好きな服を他の人にも広めていく活動をしたいと思っています」