【ネオキャリアの組織変革#01】事業を作れるマーケティング部隊へ 『HR NOTE』が育むネオキャリアのインバウンド文化

株式会社ネオキャリア
マーケティング部 部長/HR NOTE編集部 編集長
根本 慎吾 氏
ねもと・しんご/2009年に新卒でネオキャリアに入社し、新卒採用を中心に多くの企業の採用支援に携わる。その後Web広告会社に転職し、中小・大手と幅広くWebプロモーション業務を経験。2016年1月にネオキャリアに再ジョインし、2月にHR NOTEを立ち上げる。そこからマーケティング部を発足に携わり、各部署のマーケティングの施策を推進。現在は、SaaS事業やHR事業など多岐にわたる事業部のマーケティング活動を統括。

営業会社からテックカンパニーへ 成長し続けるネオキャリアの組織変革

2000年に中途採用支援・広告代理事業で設立された株式会社ネオキャリア。現在ではHR Techサービスやメディアなど事業領域を拡大し、企業として大きな成長を遂げている。いち代理店のネオキャリアが業界をけん引するテックカンパニーとなるまで、どのような革新の歴史があったのか。組織変革の裏側に迫る。

人材業界で知らないものはいない、ネオキャリア運営の有名メディア『HR NOTE』。採用ノウハウや人材サービスのカオスマップ、最前線で働く人事のインタビューなど多様なコンテンツを掲載し人気を博している。

しかしネオキャリアはもともとアウトバウンド営業色が強い企業で、『HR NOTE』はその現状を脱却するために立ち上げられたメディアだということをご存じだろうか? 社内にメディア運営のノウハウもマーケティングの知見もない中で、『HR NOTE』はどのように規模を拡大し、インバウンド営業に対する社内の理解を得ていったのか。

今回は『HR NOTE』の編集長である根本氏に、『HR NOTE』がネオキャリアの企業文化にもたらした影響と、今後の展望を伺った。

未開拓のHR領域で、人事の役に立つメディアを

『HR NOTE』は2016年、人事管理システム『jinjer』のブランディングとリード獲得のためのメディアとして発足した。『HR NOTE』の立ち上げ担当となった根本氏だが、当時はメディア運営やSEOに関する知見は皆無だったという。

同氏は外部パートナーに相談をしながら「1日1記事」を目標に掲げ地道に記事を増やしていった。まずは認知してもらうことが大切だと考え、Newspicksやはてなブログなど有名なWebメディアのコンテンツを分析し、どうすれば読んでもらえる記事になるのか秘訣を探った。

こうした努力が功を奏し、『HR NOTE』は徐々に軌道に乗り始め、始動から3~4か月でGoogle検索順位の上位にも表示されるようになった。しかしコンテンツを作っていく中で、次第に記事のネタを思いつかないことが増えてきたという。

「『jinjer』は人事管理システムなので、当時の『HR NOTE』の内容も勤怠や労務に関する情報がメインでした。このまま『jinjer』周辺の情報に関する記事ばかりを書き続けていたら、いずれはネタが尽きてしまうと気付いたんですね。ただ、実際の人事の仕事は勤怠や労務だけではありません。採用や組織作りも含まれるため、ここに関する情報も需要が高いんです。

僕たちにとってチャンスだったのは、2016年当時、Webで記事のネタを探していても、人事や人材に関する情報が全然なかったということです。今では人事向けのメディアは沢山ありますが、当時は人事が困ったとき、Webで解決策を探ろうにもなかなか見つからない状態でした。それならば自分たちが勤怠や労務に限らず採用・組織なども含めた幅広い領域をカバーしたメディアを作り、人事を助けられる情報を発信していきたいと考えました」

こうして『HR NOTE』は、立ち上げから半年経った頃、自社サービスのためのオウンドメディアという枠を超えて人事のためのメディアへと方針転換した。コンテンツの企画においても、話題性を求めて「人事の役に立つ」という観点からブレてしまうことのないように、慎重に企画するようになったという。人事ファーストを突き詰めた結果、『HR NOTE』は人材・人事領域で絶大な認知と支持を誇るメディアへと成長できたのだ。

HR NOTEがネオキャリアにもたらしたインバウンド文化

今でこそ『HR NOTE』がチャネルの1つとして多数のリードを獲得しているが、もともとネオキャリアはアウトバウンド営業で売上を伸ばしてきた企業だ。HR NOTEを立ち上げた当時は、組織全体がインバウンドという手法そのものに触れたことが無いような状況だったという。

「アウトバンド営業だけで進んできた会社だったので、『HR NOTE』にリソースを分けてもらうためにも、まずはインバウンドの有用性を知ってもらう必要がありました。そのための社内向けアピールはいろいろやりましたね。例えば、『アウトバウンドでは徐々に顧客の信用を得て商材を売り込んでいくのに対して、インバウンドは既にニーズがある状態で問い合わせが来るので商談しやすいですよ』と説明して、実際に商談率や受注率でアウトバウンドとの比較をまとめて経営陣や事業部長に共有していました。

ネオキャリアは『論より証拠』の方針なので、とにかく成果を数値化してアピールし続けました。ただ前提として、インバウンドの重要性に関して経営陣の理解があったというのは非常に大きいと思います。オウンドメディア運営はネオキャリア史上初の試みだったので、予算や撤退ラインを設けず投資としてチャレンジさせてくれました。『効果が出るまで1年待ってください』と言い続け、実際にリードが獲得できるようになったのは半年後でしたね」

現在は『HR NOTE』から自社サービス全体へ、月に数百件の送客ができている。またリード獲得のスタイルに関しても、ほぼ全てをインバウンドで集客している部署が現れた。少しずつ、しかし着実に、組織内にインバウンドの考え方が広まってきている。

脳内SEO1位のメディア・ブランドを目指して

根本氏の体感では、現在のインバウンド文化の浸透度は50%。浸透しつつあるが、事業部ごとに最適な施策を打ち切れてはいない。根本氏はネオキャリアのマーケティングをさらに強化していくことで、事業づくりを支える柱にしたいと考えている。

「私はメディア担当・マーケターが『事業部長の右腕』になるべきだと思っています。営業が強い企業なので事業部長も営業ができる人が多いのですが、その右腕としてマーケティングの観点から事業を作っていける人材を育てたいんですね。 

『マーケターは事業づくりとは関係ない』と思っている人もいるようですが、私はそれは違うと思っています。確かに顧客に自社のサービスを『届ける』という部分の仕事がメインにはなるのですが、その前に『どんなことを実現したいから何をやるのか、そのためにどれだけの売上が必要で顧客にどう受け取ってほしいのか』という上流的な考えがあるはずです。ただ広告やメディアを展開するのではなく、ちゃんと顧客の課題やニーズを把握して適切なサービスをつくり、そして届ける。この観点を持って事業に貢献できるマーケターにならなければいけないと感じています」

事業づくりとマーケティングが強く結びつくことで、事業はより顧客に寄り添うものへと磨かれ、マーケティングはネオキャリアのサービスを必要としている人により適切に届けられるようになる。そして最終的には、人材や人事の領域で困ったときに誰もが真っ先にネオキャリアのサービスを思い浮かべるような状態を作りたいのだという。

「社内ではこのことを『脳内SEO』と呼んでいますが、つまりはネオキャリアのサービスを必ず相見積もりに挙げてもらえるようになりたいですね」

世の中に人事の重要性を伝えていきたい

脳内SEO1位を目指すという目標は『HR NOTE』としても同じだ。「人事に寄り添うメディア」として、人事が困ったとき一番に想起されるメディアを目指す。

そのための道筋として、根本氏はHR NOTEを通じて人事の地位を向上させるための取り組みを増やしているという。海外ではCHRO(最高人事責任者)というポジションが注目を集め、CTO(最高技術責任者)やCFO(最高財務責任者)と同等に重要な役職と位置づけられている。しかし日本では人事は未だに裏方として扱われることが多く、重要性が十分には理解されていない。

「企業成長において人事の存在は欠かせません。企業、ひいては日本を活気づけるには人事から盛り上げていく必要があると感じており、『HR NOTE』がその一翼を担うメディアになれればと思っています。

人事の中にも、人事施策を通して企業を変革するような素晴らしい仕事をされている方が多くいらっしゃいます。直近では『HR NOTE カンファレンス2021』というオンラインイベントを予定していますが、人材領域のエキスパートが最新の情報を語り合うアツいイベントになると思います。こうしたイベントや取材、人事アワードなど、人事の重要性をアピールする場をどんどん作っていけたらいいですね」

何よりも人事の役に立つことを大切にしている『HR NOTE』。根本氏は、人事の悩みや要望には手段を問わず応えていきたいと考えている。マニュアル作成やウェビナーの集客、Q&A、人事同士が集まれるコミュニティの提供などその構想は多岐にわたる。

「人事は孤独だとよく言われます。あらゆる人事さんの悩みや課題をすくい上げて、その孤独に寄り添えるメディアになりたい。そのためにもHR NOTEという枠を取り払って、他社さんとも協力していろいろな企画に取り組んでいきたいです」

HR NOTE カンファレンス2021はコチラ