「カジュアル面談」に候補者の89%が興味あり!雑談で終わらせない5つのポイント

株式会社YOUTRUST
プロダクト開発本部 プロダクトマーケティングマネージャー
吉野 樹 氏
よしの・いつき/横浜国立大学経営学部卒業後、2020年株式会社YOUTRUSTに入社。2019年2月から学生インターンとして参画していた同社ビジネスチームにてカスタマーサクセスの立ち上げから4年間で300社以上の企業様の支援に従事。2022年4月からCSチームリーダーを務めたのち、2023年1月よりプロダクト開発本部に異動し、現在はPMMとして企画、マーケティングを担当。

近年は労働人口減少による人手不足が様々な業界で課題となっており、採用の難易度は高まっている。そんな中、新たなアプローチ手段として「カジュアル面談」が注目を集めている。今回は、キャリアSNS「YOUTRUST」を運営する株式会社YOUTRUSTに、新たな採用トレンド「カジュアル面談」について導入すべき理由や活用するためのノウハウなどを伺った。

市場に出ていない転職潜在層や優秀人材にアプローチできるカジュアル面談とは

YOUTRUSTがユーザーを対象に行ったアンケートにおいて、「カジュアル面談に興味がある」と答えた人は89%に上った。また、同サービスを利用している人事担当者の73.3%が、すでに「採用活動の一環としてカジュアル面談を行っている」と回答した。企業側、候補者側の双方でカジュアル面談は需要が高く、注目の採用アプローチだと言えるだろう。まずは、カジュアル面談とはどのようなものなのか、通常の面接との違いやメリットを吉野氏に伺った。

「カジュアル面談とは、企業と候補者が相互理解を目的としてお話をする面談方法を指します。そのため通常の面接とは違い、合格、不合格の選考を含まないのが特徴です。お互いのことを知り理解を深めた上で、応募者の思い描くキャリアや方向性と企業がどれくらいマッチしているかを一緒に考える場となっています」

カジュアル面談は話すテーマを自由に設定できる点がメリットだ。興味を引くテーマを用意できれば、求人票だけ出していても応募が来なかった人とも話す機会を作れると吉野氏は言う。

「今すぐの転職を考えていない転職潜在層の方々は、普通に求人を出していても応募をしてくることはありません。しかし、カジュアル面談であれば参加のハードルが低いためお話できる確率が上がるんです。そのため、自社の求人への応募が集まりにくいと感じている企業様や、市場に出てこない優秀人材に中長期的なアプローチをしたいと考える企業様におすすめの手法です」

雑談で終わらせない、カジュアル面談を結果に繋げる5つのポイント

潜在層と気軽に会える一方で、カジュアル面談は型のない自由なものだからこそ効果的な取り入れ方が分からない人も多いのではないだろうか。そこで吉野氏にカジュアル面談を人材獲得につなげるための5つのポイントを伺った。

「まず一つ目のポイントは『テーマを絞る』ことです。参加者がその日聞きたいトピックにしっかりと焦点を絞って面談をすることが大切です。

テーマを見つけるには、参加者が何を聞きたいか、直接本人に具体的に尋ねてあげるのがおすすめです。コミュニケーション能力に長けていて相手が聞きたいことを会話から汲み取れる方もいますが、直接聞いてしまったほうが簡単かつ確実です。

面談のテーマと言えば『キャリア』がイメージされるかもしれませんが、実は趣味の話をしたいという方も多いですね。採用や仕事の話だけをしてしまうと、候補者がすぐに選考に進む意思がない場合には、そこで関係が終わってしまいがちです。それに対して、趣味で繋がっておくと応募意向に関わらず次のアポイントメントを取りやすく、より簡単に長期的な関係を築くことができます。例えばサウナ好き同士でサウナの話をすると、『今度一緒にサウナ行きましょう』や『おすすめしてもらったサウナに行ったら連絡しますね』といった会話が自然に生まれますよね。趣味で繋がることでより多くの接点が生まれ、日常的な結びつきを強めることができるんです」

テーマを絞ったあと、実際に候補者と面談をする際にはどんなことを意識して話すのが良いのだろうか。二つ目のポイントは『相手にメリットのある話をする』ことだと吉野氏は語る。

「採用ホームページに書いてあることを話すより、外に出していない情報を提供することを意識するとより効果的ですね。候補者が入社したら、と仮定して話をしたり、公にはしていない事業の成功秘話を話したり。相手が聞いてよかったと思える話をしてあげることが大切です」

また、『正直に、オープンに話す』こともポイントだという。

「カジュアル面談を行う上で、正直さは非常に重要です。誠意をもって本心からお話することが候補者の信頼を得ることに繋がるからです。オープンに話すためには、面談官の方が会社の人格としてではなく個人として候補者と会うという姿勢で面談を行うのがおすすめです。会社の人格として話すとなると、言っていいこと・良くないことの制約が多くなり、面談の難易度も上がってしまいます。一方個人として話すのであれば、例えば『今自分が働いているチームで課題に感じていること』などを私個人が感じていることとして正直に共有できるのではないかと思います。また、自分がどういう人と働きたいのかなどは正直に伝えていただくことで真摯さが伝わるでしょう」

カジュアル面談をやってみたものの採用に繋がらなかったという声も多い。選考を含まないカジュアル面談だが、実施後どのように次のフローに繋げていくのだろうか。カジュアル面談を雑談で終わらせないための四つ目のポイントは、「次のステップを具体的に明示する」ことだという。

「カジュアル面談を結果に繋げている企業様の共通点は、次の選考への誘いの一言をその場で言っていることです。

楽しく話した後に、候補者の方に『ぜひ一緒に働きたいので面接に進んでみませんか』と聞くと、50~60%の方が承諾してくれます。もしその場で選考に進む意思がないのであれば、無理に追いかけず『数か月後にまたお話しませんか』と誘ってみるのが良いでしょう。2~3か月経つとその方の置かれている状況が変わり、考え直してくれる場合があります」

また、人事だけではなく全社でカジュアル面談に取り組みたいという企業が増えている。その場合、ポイントとなるのは、『全社の意思統一』だという。

「カジュアル面談を全社で取り組む場合、面談官全員が共通して目指せる分かりやすい目標をひとつ設定しておくことが重要です。例えば、弊社では『自社のファンを作る』ということを目標に設定しています。そういった目標を社内の共通認識として明確に設定しておくことで、面談の際のひとりひとりへの細かな対応に統一性が生まれ、参加者の体験をより向上させることができます。例えば『自社のファンを作る』ことを目標に設定すると、参加者への対応やアフターフォローをより丁寧にするように面談官それぞれの意識が高まりますよね。

また、会話内容や候補者がどのような人なのかは最低限記録しておくよう社内に周知しましょう。カジュアル面談がすぐに採用に直結するとは限りませんが、つながりを残しておくことは長期的な意味があります。ですので、今すぐに採用に繋がらなくても今後の可能性も考慮して最低限の情報を残し、全社で共有しておくことを共通認識としておきましょう」

カジュアル面談機能を搭載したキャリアSNS「YOUTRUST」とは?

2023年2月、株式会社YOUTRUSTは同社が運営するキャリアSNSであるYOUTRUSTにカジュアル面談機能を追加した。

「YOUTRUSTは個人と個人のつながりからキャリアの機会を生み出せるキャリアSNSです。例えばタイムラインから友人・知人の最近の仕事ぶりをチェックできたり、プロフィール欄では経歴書では伝わらないその人の個性や長所を発信できたりします。リクルーターは自身の『友達の友達』までプロフィール閲覧やスカウト送信ができるのですが、普段から接点を持つことでコミュニケーションが生まれ、新たなキャリア機会の創出に繋がります。

これまで日本ではキャリアSNSというものはあまり一般的ではなく、キャリアSNSと呼ばれていても転職サービスのような形で使われていることが多かったんです。そこで私たちは、転職を本格的に検討する以前からキャリア形成のために使えるSNSとしてYOUTRUSTを開発しました」

同サービスでは以前から求人募集の機能が付いていたが、今回「募集」内の追加機能として要望の多かったカジュアル面談機能を追加した。カジュアル面談と求人の募集を分けて作成することで、転職を考えない日常フェーズでも、趣味嗜好や働き方の価値観が合う人とキャリア形成のためのつながりが作れるようになった。

今回の機能追加の背景には、YOUTRUSTの掲げるミッションが大きく関わっていると吉野氏は語る。

「YOUTRUSTの一番のミッションは『キャリアの可能性を最大化する』ことです。

同窓会で久しぶりに会った友人が実は転職を考えていたと知り、仕事を紹介した、というようなケースがたまにありますよね。私たちはそのような可能性をWeb上で縦横無尽に駆け巡らせることで、より多くのキャリアの機会を生み出したいと考えています。

今回カジュアル面談機能を追加したことで、転職潜在層の方と人事、もしくは現場の方がこれまで以上に気軽にキャリア形成のためのつながりを作れるようになりました。今後も個々のキャリアの可能性を最大化できるSNSを目指して、企業と候補者が多様な接点を持てる方法を模索していきたいです」