総フォロワー数は55万人! リソースクリエイションに聞く新卒採用×SNS活用

株式会社リソースクリエイション
代表取締役
髙田 桂太郎 氏
たかだ・けいたろう/1985年東京都生まれ。2015年4月1日に株式会社リソースクリエイションを設立し代表取締役に就任。これまでに1,000社以上の採用コンサルティングを担当。長年築き上げた採用に関するノウハウを生かして、採用に特化したSNSの運用代行「エアリク」を展開。自社のSNS総フォロワー数は55万人超え、総再生回数は8億回を突破。

近年は、SNSを普段から使用するデジタルネイティブ世代が就活生となり、就職活動での情報収集にもSNSを活用する学生が増えている。そのため、新卒採用におけるSNSでの活動が重要となっている。その中で、株式会社リソースクリエイションは自社の新卒採用にSNSを活用しているほか、採用特化のSNS運用代行「エアリク」を提供している。今回は、同社代表の髙田氏に、就活生のSNS活用の実態や、採用でのSNS活用ノウハウについて伺った。

就活生の82.8%がSNSで社名を検索したことがある

リソースクリエイションが実施した「SNS就活についての実態調査」によると、24卒学生の91.1%が就活を進める上で「企業のSNSアカウントは必要」と回答した。社風や社内の雰囲気を知るべく、採用企業がSNSでどんな発信をしているのか見たいという学生が急増している。

また同調査では、就活生の73.3%が「Instagram」で実際に社名を検索したことがあると回答。このように近年では、就活サイトや採用HPに加え、SNSもまた候補者との重要なタッチポイントになっていることが分かる。

リソースクリエイション調査

髙田氏によると、学生が就職活動においてSNSの企業アカウントに注目するようになったのは、「SNSこそが、実際に働いている人の雰囲気が最も伝わりやすい媒体だから」だという。

「就活サイトの求人広告や採用HPはオフィシャルな雰囲気が強く、どうしても『作られた情報』になりがち。そのためこれらの媒体では『どんな人たちが、どうコミュニケーションを取りながら働いているのか』は、伝わらないことが多いのです。一方でSNSは、その職場の雰囲気を直に感じ取れるような情報発信ができます」

現代の学生は就活の軸において「誰と働くか」を重要視することが多い。その傾向もあり、職場のリアルな雰囲気を映し出しやすいSNSを就活時にチェックする学生が増えている。

学生からのニーズは増えている反面、採用企業側のSNS活用はまだまだ進んでいない。「1年ほど前の調査では、企業のSNS利用率はわずか3%。30社のうち1社しか企業アカウントを持っていないという状況でした」と髙田氏。企業の中にはSNS運用に対して「バイトテロ」「炎上」などといったネガティブイメージを持ち、リスクヘッジの観点から導入に踏み切れないところも多いという。

「しかし、Z世代が今最も閲覧している媒体は間違いなく、InstagramやTikTok、YouTubeなどのSNSです。採用目的でSNSをうまく活用できている企業が少ないからこそ、今から発信を始めることで差別化につながります。採用を強化したい企業にとってSNSの活用は必須と言えるでしょう」

ペルソナに「刺さる」投稿で自社のファンを獲得

リソースクリエイションでは、Instagram・TikTok・Twitter・YouTubeなど、ありとあらゆるSNSを活用して情報発信を行っている。企業アカウントだけではなく、社員それぞれの個人アカウントや、取締役と広報担当によるユニットアカウント「ユイカとヒロシ」など、様々なアカウントを運用しているのが特徴だ。SNSの総フォロワー数は55万人(2023年10月現在)、月間のリーチ数は100万人と、数ある企業アカウントの中でも大きな影響力を持っている。

投稿内容は、仕事内容や求める人材像といった直接的な採用に関わる情報ではなく、会社の日常風景や普段の社員の様子を伝えるような投稿が中心となっている。

「仕事の話は一切せず、飲み会の風景やちょっとしたコミュニケーションなど『どんな職場か?』が分かる投稿を意識しています。動画を見ていただけると、部下から上司にドッキリを仕掛けたり、無茶振りをしたりと、上下の垣根なく仲の良い社風なのが分かると思います」

またSNS運用にあたって、ペルソナを綿密に設計しているという。

「当社の場合、採用を目的に企業アカウントを運用しているので『自社が採用したい人材』に合わせて投稿を制作しています。飲み会が好き、仕事とプライベートをきっちり分けたい、首都圏の大学に通っている、西麻布や六本木へ遊びに行く……などしっかりペルソナを作り込み、その人たちに刺さるような投稿内容を心がけていますね」

ペルソナを意識したSNS運用を行った結果、同社の新卒採用のエントリー数は2年で6倍に。またエントリー時点で「この会社に入りたい」「職場の雰囲気がいい」という意見を持つ学生も多く、自社のカルチャーにフィットした人材を獲得することに成功している。

髙田氏に企業のSNS活用のコツを伺うと、「ペルソナを作り、チーム全体で認識を共有すること」と回答が返ってきた。

「ペルソナを作成する際は、社内のスター社員の分析から始めることをおすすめします。その人がどんな人で、どんな志向を持っているのか、SNSでどんな投稿に惹かれるのかをヒアリングし、明文化してみると良いでしょう。分析を通じて『自社がほしい人材』をきちんと理解することで、投稿の方向性もより明確になっていきます」

また作成したペルソナを活かして、実際に投稿を作る際のポイントも教えてくれた。

「また見たくなる」投稿を作る

「また見たいと思わせるような投稿を作りましょう。特にTikTokなどでは『クスッと笑える』というエッセンスを盛り込むと良いでしょう。笑いは老若男女全ての方に興味を持っていただけるフックになります。また真面目な社風で、にぎやかでコミカルな投稿はカルチャーに合わないという場合でも、ペルソナにとって『興味深い』『役に立つ』『もう一度見たい』と思ってもらえる内容を投稿するのが大切です」

企業のリアルを伝える

「歌が上手い・ダンスができるといった特別な才能を持つ芸能人とは異なり、私たち一般人が運用する企業アカウントがファンを獲得するには『人となりが伝わる』『素が出ている』ことが重要。真面目すぎたり、作り物感があったりする写真ではなく、企業や社員のリアルをさらけ出しましょう。そのような投稿を積み重ねることで、『応援したいな』という共感を作ることができます」

プロに任せる

「上記で『企業のリアルを伝えることが大切』とお伝えしましたが、過度にマイナスの印象を持たれないためには、一定の線引きをすることも肝要です。この点を見誤り、我流でSNS運用を進めた結果、かえって悪印象を持たれてしまうケースもあります。SNS運用にリスクや不安を感じている場合は、プロに運用のレールを引いてもらうのがおすすめです」

SNS運用の「流行」を生み出すパリコレ的存在へ

自社のSNS運用のノウハウを活かし、採用特化型SNS運用代行サービス「エアリク」を提供するリソースクリエイション。今後はSNS運用の可能性をさらに世に広め、流行を生み出す「SNSのパリコレ的存在」を目指したいと話す。

「今期のファッショントレンドは、その手前で行われる海外のコレクションによって決まります。そして数あるコレクションの中でも規模や影響力の大きいパリコレ(パリ・コレクション)は、まさに流行の中心地です。

私たちもまた、SNS運用において様々な企画撮影の方法を試し、流行りを生み出そうとしています。運用部門に多くの人員が在籍し、SNSでやりたいことがすぐに着手できる環境があるんですね。さらにクオリティの高いコンテンツを生み出し続け、この業界の基軸になるような存在になっていきたいと思っています」

最後に人事担当者へのメッセージを伺うと「SNSをどう活用するか、ともに考えていきましょう」と語ってくれた。

「ここまでSNSが広まった今、SNSを使わないという選択はもはやないと気づいてる方も多いのではないでしょうか。SNSのリスクを理解しながら、その上でどうSNSを自社の採用に活かすかが重要です。私たちは運用の知見を豊富に持っていますので、課題をお持ちの企業はなんでも聞いてほしいと思います」

(鈴木智華)