
ビジョナル株式会社の2025年7月期第3四半期決算が発表されました。この記事ではその決算・IRの内容をわかりやすくまとめて分析・解説し、人材業界の最新トレンドに迫ります。ぜひチェックしてください!
2025年7月期第2四半期
2025年7月期第3四半期(当記事)
2025年7月期第4四半期(9月頃発表予定)
ビジョナルの今期決算について、売上高や純利益の増減率とその要因をグラフィックで一目でわかるようまとめました。

ビジョナルの今期決算では、採用支援市場が最も活発となる3Qにおいて、プロフェッショナル人材の採用意欲が引き続き強く、BizReach事業が大きく伸長しました。HRMOS事業の各サービス売上高も順調に拡大し、売上高は前期比36.2%増。両事業の好調を受け、業績予想が上方修正されました。
ビジョナルの今期決算について、主に決算短信をもとにセグメント別の業績や業績予想について詳しくまとめました。

HR Techセグメントは、即戦力人材を対象とした転職サービス「BizReach」事業や、企業向けのタレントマネジメント・人材管理サービス「HRMOS」シリーズなどを展開するセグメントです。
ハイクラス向け転職サービス「ビズリーチ」
人財活用プラットフォーム「HRMOS」シリーズ
OB/OG訪問ネットワークサービス「ビズリーチ・キャンパス」
タレントアクイジションサービス「InterRace」
「BizReach」事業では、企業のプロフェッショナル人材の採用ニーズの高まりと求職者の積極的な転職活動を背景に広告宣伝の強化を進めた結果、累計導入企業数やスカウト可能な会員数が増加。
第3四半期末時点の累計導入企業数は36,300社以上、利用ヘッドハンター数は8,400人以上、スカウト可能会員数は293万人以上と堅調に推移しました。
その結果、売上高は510億円(前年同期比+18.8%)、営業利益は223億円(前年同期比+17.8%)となりました。

「HRMOS」事業では、プロダクトの機能拡充への投資や営業活動を継続し、各サービスの売上高が順調に拡大しました。「社内版ビズリーチ by HRMOS」のプロモーションを2025年1月末より開始し、「HRMOS経費」では汎用レイアウト設定機能やHRMOSタレントマネジメントとの連携機能をリリースしました。
その結果、売上高は37.4億円(前年同期比+36.2%)と大幅な成長を記録し、ARR(年間経常収益)も32.8%増加しています。営業損失は1.9億円であり、前年同期の6.9億円と比較して縮小しています。下期にマーケティング投資を集中する計画のため、通期では前年同水準の10億円程度の営業損失を見込んでいましたが、売上高の伸長に伴い8.5億円程度の損失を見込むとしています(決算説明資料,p.16)。
セグメント全体の売上高は568億円(前年同期比+20.5%)、営業利益は198億円(前年同期比+19.8%)となりました。
Incubationセグメントは、中長期的な企業価値向上を目指して、HR Tech以外の成長事業領域において、新規事業開発を行うセグメントです。
法人限定M&Aプラットフォーム「M&Aサクシード」
物流DXプラットフォーム「トラボックス」
脆弱性管理クラウド「yamory」
セキュリティ評価プラットフォーム「Assured」
2023年12月に株式会社ビズヒントを譲渡した影響はありましたが、第3四半期累計の売上収益は19.9億円(前年同期比+17.8%)と増収となりました。特に第3四半期単体では8.74億円(前年同期比+93.5%)と大きく伸長しています。
セグメント損失は11.71億円であり、前年同期の5.79億円と比べて赤字幅が拡大しました。

ビジョナルは直近の業績動向を踏まえ、通期の連結業績予想を上方修正しました。修正後の通期連結売上高は795億円(前期比+20.2%)、営業利益は203億円(前期比+13.8%)、純利益は143億円(前期比+10.8%)での着地を見込んでいます。

ビジョナルは「データ×AI」による「スピード×マッチング」の実現を目指しており、前年会計年度における生成AIの特許公開件数は業界問わず日本で1位となりました。
求職者側は、2つの質問(職種・業務領域)に回答するだけで転職市場で求められるキーワードを反映した精度の高いレジュメを自動生成し提案する「レジュメ自動作成」機能により、スカウト受信数が40%増加(決算説明資料,p.25)。
採用企業側は、BizReachに蓄積された市場データを学習した生成AIにより、求める条件にマッチする最適なプロフェッショナル人材が興味を持ちやすい高精度な求人が最短30秒で提案されるようになりました(決算説明資料,p.27)。

新規事業開発を行うIncubationセグメントにおける「yamory」や「ASSURED」を運営する子会社の株式会社アシュアードは2025年6月11日、取引先経由のサイバー被害を未然に防ぐ日本初の新サービス「Assured企業評価」の提供を開始しました(出典:株式会社アシュアード)。
ビジョナル創業者の南壮一郎社長は同日の記者会見にて「10年後にHR(人材)テックの会社ではなく、サイバーセキュリティーの会社だと認識されるぐらい大きく投資していく」と述べており、人材領域以外への投資を本格化する姿勢を示しました(出典:日経新聞)。
今期のビジョナルは、売上の約9割を占める中核サービス「ビズリーチ」が導入企業数・スカウト会員数ともに大幅に伸び、売上・利益ともに2桁成長と圧倒的な好調ぶりを見せました。人材業界における即戦力採用ニーズの強さと、それに応えるビズリーチの競争力が際立っています。
一方で、こうした強固な収益基盤を持ちながらも、ビジョナルは現状にとどまることなく、新たな領域への挑戦を加速させています。サイバーセキュリティ領域では、子会社アシュアードが新サービス「Assured企業評価」を立ち上げ、取引先経由のサイバー被害を未然に防ぐ仕組みを提供開始。「10年後には人材企業ではなくセキュリティ企業として見られる存在に」と明言するなど、非HR領域での成長エンジンの育成に本腰を入れ始めました。
ダイレクトリクルーティング領域において圧倒的な存在感を放ちながらも、新たな領域へ踏み出すビジョナル。HRog編集部では引き続きその動向に注目していきます!
2025年7月期第2四半期
2025年7月期第3四半期(当記事)
2025年7月期第4四半期(9月頃発表予定)
【参考URL】
ビジョナル25年7月期第3四半期 決算短信
ビジョナル25年7月期第3四半期 決算説明資料
ビジョナル25年7月期第3四半期 FAQ