HRog | 人材業界の一歩先を照らすメディア

【HRog決算解説】株式会社クイックの2026年3月期第1四半期決算から見える人材業界の最新トレンドは?

株式会社クイックの2026年3月期第1四半期決算が発表されました。この記事ではその決算・IRの内容をわかりやすくまとめて分析・解説し、人材業界の最新トレンドに迫ります。ぜひチェックしてください!

クイックの決算解説一覧はコチラ

一目でわかる! クイック決算情報のグラフィックまとめ

クイックの今期決算について、売上高や純利益の増減率とその要因をグラフィックで一目でわかるようまとめました。

全社の業績としては、売上高は98.6億円(前年同期比3.1%増)と増収を達成した一方で、営業利益は28.4億円(同5.8%減)、経常利益は28.5億円(同6.1%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は18.8億円(同10.5%減)と減益となりました。売上は着実に伸びているものの、看護領域への積極投資により一時的に利益が圧迫されている状況です。

もう少し詳しく! 今期セグメント別の業績は?

クイックの今期決算について、決算短信をもとにセグメント別の業績や業績予想について詳しくまとめました。

主要セグメント・サービスの業績について

人材サービス事業

人材サービス事業は、建設・IT・看護師領域になどおける人材紹介・派遣を主軸としたセグメントです。

今期は看護師の採用ニーズが特に旺盛で、「看護roo!」ブランドの浸透を図るためウェブCMやSNSを活用したプロモーション強化に積極的に取り組みました。

売上高は73.6億円(前年同期比2.8%増)と増収を確保したものの、看護領域への投資を積極的に行った影響等により、営業利益は26.4億円(同6.8%減)となりました。

リクルーティング事業

リクルーティング事業は、「Indeed」「Indeed PLUS」などの採用支援ツールや、求人広告・採用コンサルを展開するセグメントです。今期は幅広い業種・職種において採用ニーズが旺盛な状況の中、注力商品である「Indeed」や「求人ボックス」の取り扱いが好調に推移しました。

また、看護学生向けの就職サイト「看護roo! 就活」の広告取り扱い及び看護学生向け合同就職説明会等のイベント運営を人材サービス事業から移管し、掲載病院件数が着実に増える等、順調な滑り出しとなっています。

売上高は8.1億円(前年同期比7.9%増)、営業利益は1.8億円(同32.9%増)と好調な業績を記録しました。

地域情報サービス事業

地域情報サービス事業は、地域情報誌の発行やWeb広告、ポスティングサービスなどを展開するセグメントです。今期は新年度スタートや春先の繁忙期において飲食店やショップ等の販促広告に加え、有効求人倍率の高止まりを背景に求人広告の取り扱いが堅調に推移しました。

特に注力商品として営業強化を進めている「Indeed」及び「Indeed PLUS」は、生活情報誌や既存のアルバイト・パート採用メディアからの移行が進み好調でした。また、「ココカラ。」ブランドで展開するコンサルティングサービスも順調な成長を見せています。

売上高は7.5億円(前年同期比19.5%増)、営業利益は1.7億円(同82.9%増)と大幅な増収増益を実現しました。

HRプラットフォーム事業

人事ポータルサイト「日本の人事部」関連サービスを展開する事業です。今期は人材採用・育成・定着に関するサービスや人事労務に関する知見を深める研修・セミナー、HRテック領域のサービスに対するニーズは引き続き旺盛でした。

しかし、人事支援サービス業界において販促や集客のためのウェブ広告が小型化かつ分散化してきたことから、「日本の人事部」サイト内の広告をはじめとするオンライン広告は減収となりました。一方で、5月に開催したオンライン人事イベント「HRカンファレンス2025-春-」は売上高が過去最高を更新するなど、一部で好調な分野もありました。

売上高は3.6億円(前年同期比10.4%減)、営業利益は1.8億円(同19.9%減)となりました。

海外事業

海外事業は、北中米・欧州・アジアにおける人材紹介・派遣・人事労務コンサルを手がけるセグメントです。今期は米国政権の関税引き上げ等の政策による影響を想定した採用控えの動きが顕在化したことが業績に影響しました

売上高は5.9億円(前年同期比7.8%減)、営業利益は0.4億円(同59.3%減)と減収減益となりました。

今期の業績予想について

前期の通期決算で発表された業績予想に変更はなく、売上高339億円(前年同期比+4.5%)、営業利益45.7億円(同+0.8%)、経常利益46.2億円(同+0.2%)、純利益37.0億円(同+3.3%)と利益面では慎重な見通しを立てています。

今期決算資料の注目トピックは?

クイックは第1四半期と第3四半期において決算説明資料は公表せず、短信のみでの決算発表を行っています。

クイックは2025年6月11日、海外連結子会社である上海クイックの解散及び清算に関するお知らせを発表しました。背景には、中国国内の市場動向や事業環境の悪化があるとのことです。

まとめ~人材業界の最新トレンドは?~

株式会社クイックの2026年3月期第1四半期決算は、売上高98.6億円(前年同期比3.1%増)と着実な成長を示しました。

一方、海外では政治・経済情勢の影響が顕著で、中国市場の事業環境悪化を受け上海クイックの解散・清算を決定。海外展開におけるリスク管理の重要性が浮き彫りになりました。

国内では、リクルーティング事業や地域情報サービス事業で「Indeed」などアグリゲーション型求人サービスへの移行が引き続き加速。採用活動の効率化や柔軟性向上を志向する採用企業の動きが反映されています。

アグリゲーション型求人サービスの拡販と専門領域への投資により成長を続けるクイック。HRog編集部では今後もその動向を追っていきます!

クイックの決算解説一覧はコチラ

【参考URL】
クイック26年3月期通期 決算短信