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【HRog決算解説】エン・ジャパン株式会社の2026年3月第1四半期決算から見える人材業界の最新トレンドは?

エン・ジャパン株式会社の2026年3月期第1四半期決算が発表されました。この記事ではその決算・IRの内容をわかりやすくまとめて分析・解説し、人材業界の最新トレンドに迫ります。ぜひチェックしてください!

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一目でわかる! 決算情報のグラフィックまとめ

エン・ジャパンの今期決算について、売上高や純利益の増減率とその要因をグラフィックで一目でわかるようまとめました。

これまでのエン転職への投資抑制や、今期からのengageの広告宣伝費抑制によりメディア事業で減収
、メディア事業の減収と人件費の増加により減益となりました。一方他セグメントは伸長し、グローバルの計上変更の影響を除けば売上高は増収となっています。

もう少し詳しく! 今期セグメント別の業績は?

エン・ジャパンの今期決算について、主に決算短信をもとにセグメント別の業績について詳しくまとめました。今期から事業戦略の変更により、セグメント区分を従来の「投資・既存」から「メディア」「エージェント」「HR・DXソリューション」「グローバル」の4区分へ変更しています。

出典元:決算説明資料(p.10)

メディア事業

求人情報サイトの運営を中心とする事業で、エン転職、ミドルの転職、engageなどが含まれます。前期の投資抑制による影響が継続し、今期はengage投資も抑制したため減収となりました。

エン転職において前期の投資抑制による影響が続いている一方、engageでは売上規模に応じた広告宣伝費投資の抑制を実施。利益率の高いエン派遣が堅調だったものの、新卒を中心とした人件費増加が収益性を圧迫しました。

結果、売上高は97.5億円(前期比7.9%減)、営業利益は10.4億円(前期比39.0%減)となりました。

エージェント事業

人材紹介サービスを提供する事業で、エンワールドとエンエージェントが含まれます。エンワールドにおけるコンサルタントの生産性向上、そしてエンエージェントにおけるコスト適正化により増収増益となりました(決算説明資料,p.14)。

売上高は26.5億円(前期比2.2%増)、営業利益は1.9億円(前期は7百万円)となりました。

HR・DXソリューション事業

企業の採用管理や人材活用を支援するデジタルソリューション事業です。2025年1月に子会社化したVOLLECTで0.8億円、ゼクウで0.6億円の売上増加があり、人員増加による人件費増を各プロダクトの増収が吸収して増益を実現しました(決算説明資料,p.15)。

売上高は14.2億円(前期比15.9%増)、営業利益は2.1億円(前期比11.8%増)となりました。

グローバル事業

海外展開を行う事業で、インドIT派遣やベトナム事業が含まれます。インドIT派遣では契約形態の見直しにより売上計上方法をグロス計上からネット計上へ変更した影響で見た目上は減収となりましたが、実質的には成長を維持しています(決算説明資料,p.16)。

売上高は15.6億円(前期比32.9%減)、営業利益は2.4億円(前期比90.8%増)となりました。

来期の業績予想について

2026年3月期の通期業績予想については、2025年5月14日公表値からの変更はありません。同社は今期を事業再構築の年と位置づけており、売上高・営業利益ともに前期を下回る計画となっています。

売上高は622億円(前期比5.3%減)、 営業利益は28.0億円(前期比52.5%減)、経常利益は29.8億円(前期比49.8%減)純利益は20.7億円(前期比72.9%減)での着地を見込んでいます。

今後のより具体的な見通しや戦略については、先行投資の効果を踏まえつつ、2025年11月に発表予定の2026年3月期第2四半期決算以後に公表予定であるとしています(前期決算短信,p.6)。

今期決算の注目トピックは?

2025年8月13日、エン・ジャパンは株式会社ROXXが展開するリファレンス・コンプライアンスチェックサービス「back check」事業を会社分割により設立される新会社の全株式を取得し、100%子会社化することを発表しました。

出典元:back check

ROXXが提供する「back check」は、一緒に働いたことのある第三者からの情報を基に人物像を見極める「リファレンスチェック」と、面接では見極めが難しい経歴詐称やSNS上の不適切投稿を専門家が調査する「コンプライアンスチェック」を行うことで採用ミスマッチの防止を目指すサービスです。

出典元:ASHIATO

エン・ジャパンが提供する「ASHIATO」は採用時の懸念点に加え、入社後の活躍までを可視化するサービスです。上司や同僚からのフィードバックをもとに、人柄や強みを把握し、効果的なマネジメントのヒントを提供して定着・活躍を支援するサービスです。

まとめ~人材業界の最新トレンドは?~

前期のエン・ジャパンは、代表交代・社名変更発表・セグメント再編と、戦略と組織を根本から見直す大きな転換期となりました。同社はこれまでengageへの積極投資を推進してきましたが、その結果としてエン転職の商品改善が後回しになり、全体の計画未達に繋がったという反省を踏まえ、今期からは投資配分の最適化を図っています。

エン転職への再投資と注力を戦略の軸に据えた同社は、今期決算において同サービスの減収傾向が底打ちしたと発表。また組織体制整備により、エンエージェントはコストが適正化するなど組織体制整備の効果が現れたとしています(決算説明資料,p.4)。

またback check事業の取得により、リファレンスチェック市場への本格参入を果たしました。エン・ジャパン越智代表は「私たちが目指すのは、採用における新しいスタンダードの創造です。候補者と企業が自身の情報をオープンにし、本音で向き合う『オネスト・ミューチュアル・プレビュー』の思想を広げていく。より本質的な仕事選び・採用ができる世の中への変革を、私たちから進めていきます」とコメントしています。

オネスト・ミューチュアル・プレビューとは

求職者・求人企業の双方が【事実性・率直性・改善性】に基づいた正直な情報を、事前に開示し合うことで入社後活躍に繋げられるとするエン・ジャパン独自の考え方。

事業再構築を進めるなか、採用における新しいスタンダードの創造にも挑むエン・ジャパン。HRog編集部では今後もその動向を追っていきます!

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【参考URL】
エン・ジャパン26年3月期第1四半期 決算短信
エン・ジャパン26年3月期第1四半期 決算説明資料