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【HRog決算解説】株式会社クイックの2026年3月期第2四半期決算から見える人材業界の最新トレンドは?

株式会社クイックの2026年3月期第2四半期決算が発表されました。この記事ではその決算・IRの内容をわかりやすくまとめて分析・解説し、人材業界の最新トレンドに迫ります。ぜひチェックしてください!

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一目でわかる! クイック決算情報のグラフィックまとめ

クイックの今期決算について、売上高や純利益の増減率とその要因をグラフィックで一目でわかるようまとめました。

売上高が179.7億万円(前年同期比4.8%増)と順調に成長しました。しかし、前年同期にあった投資有価証券売却益(7.1億円)がなかったことから、純利益は25.9億万円(同16.6%減)となりました。それでも主力事業である人材サービス事業が堅調に推移し、特に看護師関連の人材紹介・派遣サービスが業績を牽引しています。

もう少し詳しく! 今期セグメント別の業績は?

クイックの今期決算について、決算短信をもとにセグメント別の業績や業績予想について詳しくまとめました。

出典:決算説明資料(p.6)

主要セグメント・サービスの業績について

人材サービス事業

人材サービス事業は、人材紹介や人材派遣、業務請負等を行う同社の主力セグメントです。

今期は建設・不動産や製造業、IT分野における各職種に加え、看護師の採用ニーズが特に旺盛でした。また、注力領域である看護師紹介では、「看護roo!」ブランドのさらなる浸透を図るため、TVCMやウェブCM、SNSの活用によるプロモーション強化に取り組みました。このような背景から、建設及び不動産関連職種や製造業・ITの各種エンジニア等の特定領域の人材紹介、看護師紹介ともに増収となりました。

人材派遣・紹介予定派遣・業務請負等においても、看護師派遣が堅調に推移しました。一方で、保育士派遣は政府の処遇改善施策による保育士の定着率向上に伴い減収となったものの、全体としてはほぼ横ばいを維持しました。

この結果、人材サービス事業の売上高は130億円(前年同期比5.3%増)、営業利益は34.3億万円(同2.2%増)と増収増益になりました。

リクルーティング事業

リクルーティング事業では、求人広告の取り扱いや採用支援サービスを提供しています。今期は注力商品である「Indeed」や「求人ボックス」といったアグリゲーション型求人サービスの取り扱いが好調でした。

また、リクルート社の掲載課金型採用メディアの販売終了に伴い、業界特化型やアルバイト・パート採用特化型など他メディアの拡販も進めました。競争環境が厳しい中でも求人広告全体の取り扱いは堅調に推移しています。

また、看護学生向けの就職サイト「看護roo! 就活」の広告取り扱い及び看護学生向け合同就職説明会等のイベント運営を人材サービス事業から移管し、の掲載病院件数が順調に増加しているほか、主要都市に加え地方でも合同説明会を開催する等、着実に事業基盤が整えられていってます。

この結果、リクルーティング事業の売上高は16.8億円(前年同期比4.5%増)、営業利益は4.7億円(同19.1%増)となりました。

地域情報サービス事業

地域情報サービス事業では、生活情報誌の発行やポスティングサービス、コンサルティングサービスを提供しています。今期は飲食店やショップ等の販促広告に加え、有効求人倍率の高止まりを背景とした求人広告の取り扱いが堅調でした。

注力商品である「Indeed」では生活情報誌からWebへ移行したい顧客の獲得や新規顧客開拓が進み、「ココカラ。」ブランドで展開するコンサルティングサービスでは、北信越における旺盛な採用ニーズを背景に高単価案件の成約が進みました。

この結果、地域情報サービス事業の売上高は14.8億円(前年同期比16.0%増)、営業利益は3.1億円(同57.1%増)と大幅な成長を遂げました。

HRプラットフォーム事業

HRプラットフォーム事業では、「日本の人事部」関連サービスを提供しています。今期は人材採用・育成・定着に関する各種サービスやHRテック領域のサービスに対するリプレースニーズが一巡し、市場が落ち着きを見せました。

オンライン広告は減収となったものの、人事支援サービス企業のHRイベントへの出展ニーズは依然として強く、5月開催の「HRカンファレンス2025-春-」は過去最高の売上を記録しました。8月開催の「HRラウンドテーブル」も好調で、新たに開催した「次世代リーダーカンファレンス」もあり、イベント事業は増収となりました。

HRプラットフォーム事業の売上高は5.4億円(前年同期比11.1%減)、営業利益は2.3億円(同23.8%減)となりました。

海外事業

海外事業は、北中米・欧州・アジアにおける人材紹介・派遣・人事労務コンサルを手がけるセグメントです。今期は各国の政治・経済情勢の影響を受け、地域によって明暗が分かれる結果となりました。

米国では製造業や物流、IT等の分野で企業の採用ニーズが順調に推移したものの、関税政策による影響を想定した採用控えの動きが一部で見られました。メキシコは紹介事業が好調も為替影響で横ばい。欧州では、英国とオランダは新規求人獲得や高年収帯紹介が伸び増収となりました。アジアでは、ベトナムでは中国企業の進出による人材獲得競争の激化で減収となった一方、タイは採用難職種への対応強化で増収。

なお、中国については上海クイック有限公司の解散・清算を決議し、撤退に向けて準備を進めています。

この結果、海外事業の売上高は12.4億円(前年同期比3.3%減)、営業利益は1億円(同50.0%減)となりました。

今期の業績予想について

2026年3月期通期の連結業績予想について修正はなく、売上高は339.7億円(前期比4.5%増)、営業利益は45.7億円(同0.8%増)、経常利益は46.2億円(同0.2%増)、純利益は37.0億円(同3.3%増)を見込んでいます。

なお、当社は2026年3月末日までに保有する投資有価証券を一部売却する予定であり、投資有価証券売却益(特別利益)約10.7億円を計上する見込みです。

今期決算資料の注目トピックは?

外国人採用支援企業との資本業務提携を発表

クイックは、外国人採用支援を手掛ける株式会社LivCOとの資本業務提携を発表しました。エッセンシャルワーカー領域を中心とした採用支援体制の強化を目的としており、リクルーティング事業部にてLivCo社と連携した営業体制を構築中です。

人材不足が深刻化する中、外国人材の活用はますます重要性を増しています。特にエッセンシャルワーカー領域における外国人採用支援の強化は、今後の成長戦略の柱の一つとして注目されます。

ドイツ拠点を設立

出典元:決算説明資料(p.17)

欧州第3の拠点となるドイツ拠点を設立し、2026年3月に事業開始予定と発表しました。ドイツは欧州に進出している日系企業数が最多の国であるため、今後の大きな成長が見込まれるとしています(決算説明会文字起こし)。

従業員数が前期末比145名増の1,945名に

クイックグループ全体の従業員数は、前期末比145名増の1,945名となりました。これは過去最高の従業員数であり、事業拡大に伴う積極的な採用活動や従業員のエンゲージメント強化などの取り組みが反映されています。

人材への投資による事業基盤の強化は、中長期的な成長を支える重要な施策として位置付けられています。

まとめ~人材業界の最新トレンドは?~

クイックの2026年3月期第2四半期決算は、主力の人材サービス事業が堅調に成長し、特に看護師関連サービスが業績を牽引する結果となりました。看護師不足という深刻な社会課題に対し、「看護roo!」ブランドの浸透やプロモーション強化により着実に成果を上げています。

リクルーティング事業では、「Indeed」や「求人ボックス」といったアグリゲーション型求人サービスの取り扱いが好調です。地域情報サービス事業でも紙媒体からWEB=Indeedへのシフトが進み、WEB経由の案件獲得が存在感を高めています。

地域の採用活動においてもオンライン化が広がるなか、クイックはIndeedを中心とした提案力を強みに市場の変化を捉えています。HRog編集部では今後もその動向を追っていきます!

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【参考URL】
2026年3月期 第2四半期 決算短信
2026年3月期 第2四半期 決算説明資料
2026年3月期第2四半期 決算説明会文字起こし