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【HRog決算解説】パーソルホールディングス株式会社の2026年3月期第2四半期決算から見える人材業界の最新トレンドは?

パーソルホールディングス株式会社の2026年3月期第2四半期決算が発表されました。この記事ではその決算・IRの内容をわかりやすくまとめて分析・解説し、人材業界の最新トレンドに迫ります。ぜひチェックしてください!

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一目でわかる! 決算情報のグラフィックまとめ

パーソルの今期決算について、売上高や純利益の増減率とその要因をグラフィックで一目でわかるようまとめました。

会社の業績としては、上期は増収増益で売上収益・全ての段階利益において過去最高を更新しました。売上収益は前年同期比4.9%増の7,527億円、調整後EBITDAは同3.7%増の443億円、営業利益は同14.0%増の366億円となりました。

もう少し詳しく! 今期セグメント別の業績は?

パーソルの今期決算について、主に決算短信をもとにセグメント別の業績について詳しくまとめました。

出典元:決算説明資料(p.8)

Staffing SBU

国内で事務領域を中心に幅広い業種に対応した人材派遣事業や、事務職を中心とした人材紹介事業を展開するセグメントです。

今期は派遣就業者数が前年同期比2.2%増、請求単価が2.1%増と堅調に推移し、売上収益は3,034億円(前年同期比3.7%増)となりました。

調整後EBITDAは182億円(同7.4%増)、営業利益は167億円(同8.7%増)を記録。増収効果に加え、収益性の高い人材紹介事業の伸長が寄与し、増益を達成しました。

BPO SBU

受託請負のBPO事業を主として展開するセグメントです。

顧客企業の生産性向上を目的としたIT関連BPOや公共領域(自治体・官公庁等)が好調に推移しました。2025年2月に取得したパーソルコミュニケーションサービス株式会社(旧富士通コミュニケーションサービス株式会社)の寄与もあり、売上収益は697億円(前年同期比27.8%増)と大幅増収となりました。

オーガニック成長(COVID-19関連案件および上記M&Aを除く)も8.3%増と堅調です。調整後EBITDAは37億円(同53.4%増)、営業利益は24億円(同62.7%増)と大きく伸長しました。

Technology SBU

IT領域やエンジニアリング領域の設計・開発受託事業や、技術者を専門とした人材派遣事業を展開するセグメントです。

IT・DXソリューション事業およびエンジニアリング事業において、継続的なエンジニア採用強化により稼働エンジニア数が増加。請負事業の需要も伸長し、売上収益は603億円(前年同期比10.2%増)となりました。

ただし、一部のグループ内案件の遅延による影響があり、調整後EBITDAは33億円(同3.6%減)、営業利益は26億円(同10.7%減)と減益となりました。

Career SBU

Career SBUは、正社員の中途採用支援を行う人材紹介事業や、求人メディア「doda」を展開しています。

顧客企業の厳選採用および転職希望者の慎重姿勢の傾向が続く中でも、堅調な求人需要を背景に売上収益は778億円(前年同期比6.8%増)となりました。人材紹介は同5.3%増、求人メディアは同6.0%増と、両事業ともに増収を達成しています。

前年度下期から積極的に行っているマーケティング投資を継続しながら、人件費をはじめとする経費は適正にコントロール。特にコンサルタントの生産性が大幅に向上したことが利益押し上げに寄与し、調整後EBITDAは199億円(同18.7%増)、営業利益は170億円(同17.4%増)と大幅な増益を実現しました。

Asia Pacific SBU

アジア地域で人材サービス事業、豪州においては人材サービス事業およびファシリティマネジメント事業などを主に展開しています。

売上収益は2,366億円(前年同期比0.3%減)となりましたが、これは主に為替影響によるものであり、現地通貨ベースでは約5%の増収となりました。特にファシリティマネジメント事業は引き続き好調に推移しました。

為替影響やシステム刷新費用などにより、調整後EBITDAは58億円(同17.9%減)となりました。

今期の業績予想について

2026年3月期の連結業績予想に変更はなく、売上収益1兆5,400億円(前期比+6.1%)、調整後EBITDA865億円(同+10.4%)、営業利益660億円(同+14.9%)、純利益410億円(同+14.3%)を見込んでおり、調整後EBITDAの二桁成長を目標とし、過去最高益の更新を目指します。

今期決算の注目トピックは?

出典:決算説明資料(p.28)

パーソルは経営の方向性を「テクノロジードリブンの人材サービス企業」と定めています。徳永CFOは従来のStaffingやBPO SBUは、人員と売上の増加がリンクする事業モデルであるとし、今後は増員せずとも売上を伸ばせるデジタルプラットフォーム事業を強化する方針だとしています(決算書き起こし,p.21)。

出典:決算説明資料(p.32)

その方針のもと、同社は約2年のリサーチを経て、フランスで人材派遣サービスのプラットフォームを提供する「Gojob」のビジネスモデルに勝機を見出し、同社の株式を取得しました。

Gojob社のビジネスモデルは、AIにより業務プロセスを自動化・デジタル化し、拡張性のある成長サイクルを構築している点が特徴です。

具体的には、高精度でスピーディーなAIマッチングにより確定までの所要時間はわずか24分(従来型派遣は1~2日)。需要予測モデル活用により充足率は90%超(業界平均35%)を実現しています。その結果、求職者リピート率は75%、顧客満足度は73(業界平均18)と極めて高い水準を維持。候補者のキャンセル率は1%未満(業界平均10%)という圧倒的な実績を誇ります。

和田CEOは、この好循環により「Gojobではリピーターが非常に多いため、求人コストを半減できる。そのため、例えば売上が5倍になっても、求人コストは半分の伸びにとどまるというモデルになっている」と同ビジネスモデルの強みを説明しています(質疑応答,p.3)。

まとめ~人材業界の最新トレンドは?~

パーソルホールディングスの今期決算は、国内人材不足を背景とした堅調な求人需要により、売上およびすべての段階における利益で過去最高を更新しました。さらに注目すべきは、Gojob社の買収です。AIドリブンの人材派遣プラットフォームにより高い顧客満足度を維持することで結果的に求人コストを抑えているビジネスモデルは、今後の人材業界においても重要なポイントとなっていくかもしれません。

パーソルホールディングスは、国内で培った強固な収益基盤を持ちながらも、現状にとどまることなく、AIとテクノロジーを武器に次世代の人材サービスモデルを構築しようとしています。Gojob社のAI技術やビジネスモデルを既存事業へ展開することで、「テクノロジードリブンの人材サービス企業」の実現はさらに加速していくでしょう。

HRog編集部では、今後もパーソルホールディングスの動向を注視し、人材業界の最新トレンドをお届けしてまいります!

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【参考URL】
パーソル2026年3月期第2四半期 決算短信
パーソル2026年3月期第2四半期 決算説明資料
パーソル2026年3月期第2四半期 決算説明書き起こし
パーソル2026年3月期第2四半期 質疑応答