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【HRog決算解説】エン株式会社の2026年3月第2四半期決算から見える人材業界の最新トレンドは?

エン株式会社の2026年3月期第2四半期決算が発表されました。この記事ではその決算・IRの内容をわかりやすくまとめて分析・解説し、人材業界の最新トレンドに迫ります。ぜひチェックしてください!

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一目でわかる! 決算情報のグラフィックまとめ

エンの今期決算について、売上高や純利益の増減率とその要因をグラフィックで一目でわかるようまとめました。

これまでのエン転職への投資抑制や、今期からのengageの広告宣伝費抑制によりメディア事業で減収
、メディア事業の減収と人件費の増加により減益となりました。一方他セグメントは伸長し、グローバルの計上変更の影響を除けば売上高は増収となっています。

もう少し詳しく! 今期セグメント別の業績は?

エンの今期決算について、主に決算短信をもとにセグメント別の業績について詳しくまとめました。今期から事業戦略の変更により、セグメント区分を従来の「投資・既存」から「メディア」「エージェント」「HR・DXソリューション」「グローバル」の4区分へ変更しています。

出典元:決算説明資料(p.10)

メディア事業

メディア事業は、「エン転職」「engage」「ミドルの転職」「AMBI」「エン派遣」といった求人メディアを展開する主力セグメントです。

今期は「エン転職」が徐々に改善傾向を見せつつも減収が継続し、「engage」では早期収益改善を目指して広告宣伝費投資を抑制した結果、減収となりました。一方で「エン派遣」や「フリーランススタート」は企業の利用が増加し増収となりました。

その結果、売上高は191.2億円(前年同期比8.6%減)、営業利益は19.2億円(前年同期比18.4%減)となりました。

「engage」については、積極投資を背景に売上は順調に伸長してきましたが、今後は効率化を図り早期黒字化を目指す方針です(決算説明資料,p.19)。

エージェント事業

エージェント事業は、「エンエージェント」「エンワールドジャパン」といった人材紹介サービスを展開するセグメントです。

今期は「エンワールドジャパン」においてコンサルタントの増員および生産性向上により増収しました。「エンエージェント」においてもコストの適正化と生産性向上により増収増益が実現しています。

その結果、売上高は52.5億円(前年同期比4.4%増)、営業利益は2.6億円(前年同期は0.1億円の損失計上)と黒字転換を果たしました。

HR・DXソリューション事業

HR・DXソリューション事業は、採用管理システムや採用代行サービス、リファレンスチェックサービスなどを提供するセグメントです。

前年度の期中に子会社化したダイレクトリクルーティングに特化したRPOを展開する「VOLLECT」や、派遣会社向けに採用管理システムを展開する「ゼクウ」が増収に貢献しました。また、「エンSX」においては大口取引社数が増加し効率化が進んだことから増益しています。

その結果、売上高は28.6億円(前年同期比15.6%増)、営業利益は4.8億円(前年同期比39.2%増)となりました。

グローバル事業

グローバル事業は、インドのIT人材派遣やベトナムの求人メディア・人材紹介を展開するセグメントです。

インドIT派遣において契約形態を見直したことで売上計上方法をグロス計上からネット計上へ変更した影響を除くと、インドIT派遣、ベトナムともに増収増益となっています。インドIT派遣においては米国との直接取引が増加し、ベトナムにおいては採用需要の戻りから事業が回復傾向にあります。

その結果、売上高は31.3億円(前年同期比37.9%減)となりましたが、売上計上基準変更の影響を除けば前年同期比でプラス成長となっています。営業利益は6.6億円(前年同期比80.9%増)と大幅な増益を達成しました。

来期の業績予想について

2026年3月期の通期業績予想については、2025年5月14日公表値からの変更はありません。同社は今期を事業再構築の年と位置づけており、売上高・営業利益ともに前期を下回る計画となっています。

売上高は622億円(前期比5.3%減)、 営業利益は28.0億円(前期比52.5%減)、経常利益は29.8億円(前期比49.8%減)純利益は20.7億円(前期比72.9%減)での着地を見込んでいます。

今期決算の注目トピックは?

出典:決算説明資料(p.3)

今回の決算発表において、エンは透明性を高めることを目的に、開示セグメントを4から9セグメントに変更しました。2025年3月期の通期決算で「メディア」「エージェント」「HR・DXソリューション」「グローバル」の4セグメントに変更されましたが、「エン転職」「engage」「その他メディア」などより細分化された9セグメントへと再編されました。

出典:決算説明資料(p.14

エンは今後2年間を構造改革および戦略方針の転換の年と位置付け、事業ポートフォリオ見直し、コスト削減、成長投資の3つの最重要戦略を掲げています。

出典:決算説明資料(p.12

来期の計画について明確な売上数値は示していないものの、営業利益は今期計画と同じく28億円を最低ラインとしています。

まとめ~人材業界の最新トレンドは?~

2025年3月期に、代表変更・社名変更・セグメント変更と再成長に向け大きく舵を切ったエン。主力の「エン転職」が市場環境の変化により苦戦し、「engage」への過度な投資集中が既存サービスの改善を後回しにする結果となってしまっていたことを受け、来期までを構造改革期と位置づけ事業改善を推進しています。

今期決算では、2025年3月期第4四半期に続きセグメント変更を実施。2026年度までは営業利益の最低ラインを維持しつつ、2027年度以後に改革の成果を基盤とし、増収増益を目指していきます(決算説明資料,p.11)。

HRog編集部では、創業30周年にあたる2030年に向けて過去最高利益水準を目指すエンの挑戦を、引き続き追っていきます!

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【参考URL】
エン・ジャパン26年3月期第2四半期 決算短信
エン・ジャパン26年3月期第2四半期 決算説明資料