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スポットワークは派遣を代替するのか?タイミーの流通総額と派遣市場規模からポテンシャルを考察してみた!

新しい雇用の形「スポットワーク」は、既存の求人市場に少なくない影響を与えています。スポットワーク市場を切り拓いてきた最大手・タイミーでは、従来派遣や請負で担われてきた業務を代替する取り組みを進めており、「人材派遣は徐々にスポットワークに置き換えられていくのではないか」という声も上がっています。

そこで今回は、スポットワーク市場を切り拓いた現最大手・タイミーの流通総額と派遣市場の現状をHRogチャートを用いて分析し、スポットワーク市場のポテンシャルについて調査しました。

HRogチャートについて

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タイミー流通総額・スポットワーク市場規模・派遣市場規模を比較!

タイミー決算資料、矢野経済研究所調査をもとにフロッグ作成
※1:2025年までの実績はタイミー決算資料に基づく。2026年以降の予測は2024→2025年の流通総額成長率(127%)を毎年適用して試算。
※2:2024年までの実績は矢野経済研究所調査に基づく。2025年以降の予測は2023→2024年の成長率(132%)を毎年適用して試算。
※3:2024年までの実績は矢野経済研究所調査に基づく。2025年以降の予測は2023→2024年の成長率(103%)を毎年適用して試算。

まずは、派遣市場とスポットワーク市場の規模差を確認しておきましょう。24年度の労働者派遣売上高は約9兆3200億円だったのに対し、同年のスポットワーク市場規模は約1100億円、タイミー流通総額は約900億円でした。

派遣市場規模を100とした場合、スポットワーク市場全体は約1.2%、タイミー単体では約1.0%に過ぎず、2024年度時点では、スポットワーク市場は派遣市場と比べて、まだ非常に小規模な市場であることが分かります。

一方で、タイミーの流通総額は急拡大を続けています。2025年の成長率はスポットワーク市場が132%、タイミー流通総額が127%と高水準を維持しています。

派遣市場規模、スポットワーク市場規模、タイミーの流通総額について、直近の成長率が今後も続くと仮定すると、2034年にはスポットワーク市場全体は1.8兆円規模、タイミーの流通総額は約1兆円規模に達する見通しです。これは同年の派遣市場(予測値)に対して、それぞれ約14.7%、約8%に相当する水準であり、派遣業界にとって無視できない規模へと拡大する可能性があります。

スポットワークはどこまで派遣をリプレイスできるのか? ポテンシャルを考察!

実際に、スポットワークはどこまで派遣をリプレイスできるのでしょうか。ここでは職種と時給の観点から、スポットワークのリプレイス可能性を探っていきます。

スポットワークと派遣、職種ごとの分布の違いは?

スポットワーク研究所「スポットワーク市場クォータリーレポート」、総務省「労働力調査基本集計」をもとにフロッグ作成
※3:スポットワーク研究所「スポットワーク市場クォータリーレポート」2025年3Qに基づく。職種分類は総務省「労働力調査基本集計」の分類と対応させている。
※4:総務省「労働力調査基本集計」従業上の地位・雇用形態・雇用契約期間、職業別就業者数2024年平均に基づく。

職種別に見ると、タイミーの募集は「サービス職」(35.38%)、「運搬・清掃・包装」(32.91%)、「販売職」(24.73%)が中心である一方、派遣市場では「事務職」(34.8%)や「製造関連」(24.5%)が大きな割合を占めており、職種構成に明確な違いがあることが分かりました。

資格や専門スキルの要件が比較的低く、業務を切り出しやすい販売職・サービス職・運搬清掃系は、スポットワークへ置き換わる可能性が高い職種です。仮にこれら3職種の案件すべてがスポットワークに代替された場合、そのリプレイス規模は試算ベースで2.2兆円(※)に達します。現実的には、スポットワークが派遣需要をすべて代替するのは難しいと思われますが、一定規模で派遣を置き換えていく可能性は十分にあると言えるでしょう。

一方で、事務職や製造関連といった職種は各企業・工場にあるルールの把握や業務理解に時間がかかりやすい職種です。また、専門スキルが求められることも多く、長期就業や固定配置を前提とした派遣モデルの方がマッチしているため、スポットワークに置き換わる可能性は比較的低いと考えられます。

ここで気になるのが、タイミーが推進している「受入負荷軽減プロジェクト」です。物流・食品製造など大人数を管理する必要のある現場において、タイミーが派遣するリーダー社員がスポットワーカーを取りまとめ、業務をまるっと任せられる体制をつくるプロジェクトとなっています。

出典:株式会社タイミー|2025年10月期 第2四半期 決算説明資料」|https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS05113/ac0eea98/478b/46a5/a7ed/7bf7bf24da82/20250612105651460s.pdf|2026年2月17日時点

また同社では、コールセンター業務の「スポット型BPOサービス」を提供開始しています。このようなワーカーの育成・管理・仕事の切り出しをまるっと任せられるBPO型の提供が進めば、事務職や製造業の領域にもスポットワークが浸透していく可能性があると言えます。

出典:株式会社タイミー|タイミーがはじめるスポット型BPOサービス|https://bpolp1.timee.co.jp/|2026年2月17日時点

※23年度の労働者派遣売上高約9兆500億円に各職種の割合を掛け合わせて算出。

職種×時給でスポットワークと派遣を比較!

スポットワーク研究所「スポットワーク市場クォータリーレポート」、HRogチャートをもとにフロッグ作成
  • タイミーの職種別平均時給はスポットワーク研究所「スポットワーク市場クォータリーレポート」2025年3Qに基づく。
  • 派遣給求人の職種別平均時給は「HRogチャート」のデータから算出、「はたらこねっと」「エン派遣」2025年5〜7月取得データから雇用形態「派遣」の求人を集計。職種分類はスポットワーク研究所「スポットワーク市場クォータリーレポート」の分類と対応させている。

全職種平均で見ると、派遣求人の時給は1,423円、タイミーは1,167円と、派遣の方が257円高くなっています。自由度や気軽さよりも、時給を重視する求職者にとっては、現時点では派遣求人の方がより魅力的な選択肢であることがうかがえます。

一方、「生活衛生サービス」(差額177円)や「運搬」(差額216円)では、派遣とタイミーの時給差が比較的小さいことが分かりました。美容・エステなどの「生活衛生サービス」では提供する専門スキルが職場によって大きく変わりにくく、また「運搬系職種」は業務内容が定型化しやすい特徴があります。このように時給差の小さい職種は、派遣のメリットである「長期配置・育成に基づいた付加価値」が相対的に小さいという共通点があり、スポットワークが浸透しやすい領域と言えるでしょう。

これに対して、「商品販売」(差額362円)、「一般事務」(差額332円)、「社会福祉の専門的職業」(差額336円)はいずれも時給差が300円以上と大きく開きました。これらの職種では、派遣の時給は全職種平均を上回る一方で、タイミーでは平均前後〜平均以下にとどまっています。差額の大きい職種ほど求人企業は両者を明確に使い分けており、派遣スタッフとスポットワークのスタッフで棲み分けが進んでいる可能性があります。

例えば「商品販売」では、高い接客スキルやブランド理解など中長期の育成が必要な店舗では派遣スタッフを活用する一方、補助的な接客で対応可能な現場はスポットワークが選ばれているとも考えられるでしょう。

このように、同じ職種でも「継続的に働いてもらうこと」それ自体が大きな付加価値となる職場や業務内容の求人は、スポットワークによる代替は一部に留まりそうです。ただし、これらの職場・業務内容でも、今後マニュアル化が進んだり、業務が細分化されたりすれば、スポットワークの活用が進む可能性は十分あるのではないでしょうか。

まとめ

調査の結果、「すべての派遣の仕事がスポットワークへ一気に置き換わる」という可能性は低いことがわかりました。一方、継続的に働いてもらう必要性が低い業務については、今後はスポットワークへと置き換わっていくシナリオも十分に考えられます。

現在、タイミーの流通総額は派遣市場全体と比べるとまだ小さいものの、高い成長が続けば、派遣業界にとって無視できない存在になるでしょう。今後派遣会社には、スポットワークが拡大する領域を見極めて、自社がどの職種で「長期配置・育成に基づいた付加価値の高い人材」を提供するのかを戦略的に考えていく必要がありそうです。

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