2020年は新型コロナウイルスによるビジネス環境の変化が追い風となり、DX(デジタルトランスフォーメーション)に着手する企業が増えました。そしてその流れは採用領域にも及んでいます。今後多くの企業が変化する採用市場へ適応するために、採用のDXに取り組む必要があるでしょう。本特集では採用DX支援事業を行うHeaR株式会社監修のもと、採用DXの定義や正しい考え方、実践方法についてご紹介します。
前回は、3つ目のステップ「候補者体験のデジタル化」の中でも特に重要な「面接」において、会社の魅力を求職者に伝えるためのノウハウを紹介しました。
第四回目となる本記事では、候補者体験のデジタル化をさらに促進するために強化するべきタッチポイントをご紹介します。「採用のオンライン化がうまくいかない」という企業人事の方はぜひ参考にしてみてください。
採用広報記事が重要なタッチポイントに
前回の記事で、オンライン採用への移行によりオフィスや施設紹介、面接担当者以外の社員の雰囲気などといった「オフラインならではのコミュニケーション」の設計が難しくなったとお話ししました。
求職者のタッチポイントがオフラインからオンラインに移行したことで、web上で閲覧できるコンテンツの重要性が高まってきています。
しかし、面接やスカウトなどの採用業務と並行しながら記事を量産するのは難しいもの。そこでここでは、リソースが限られている中でも最大限の効果を発揮するための採用広報記事制作のポイントをお伝えします。
第二回の記事で、人が組織に共感し魅力に感じる要素は4つのPに分類できるとお伝えしました。
ここでは採用における4つのPと、候補者の3つのフェーズ「無関心」「認知-応募」「選考-入社」を掛け合わせてコンテンツマップを作成していきます。
企業理念(Philosophy)
ミッション・ビジョン・創業経緯・社名の由来など
人・文化(People)
経営陣紹介・メンバー紹介・企業文化・バリュー・組織図など
事業・業務内容(Profession)
事業内容・ビジネスモデル・競合優位性・今後の戦略・業務内容など
働き方・待遇(Privilege)
働く環境・福利厚生・オンボーディング内容・給与テーブル・評価制度など
求職者の転職の軸は様々です。求職者が魅力に感じるポイントを抑えた記事を網羅的に作成するために、コンテンツマップを使ってコンテンツの整理をしましょう。
また、求職者がどのフェーズに位置しているかで知りたい情報は異なります。そもそも会社のことを知らないとき、応募する前、選考段階~最終選考前後の大きく3つのフェーズに分けて、求職者が求めている情報を整理して網羅的にコンテンツを作っていきましょう。
無関心(会社のことを知らない・自社に興味がない)
仕事や生活に役立つ情報など
認知-応募(転職を意識し始めている・応募するか考えている)
企業の魅力的な情報、働くうえでの魅力、面接官の情報など
選考-内定(選考に進めるか迷っている・入社するか迷っている)
他社との違い、企業の課題、具体的な業務内容、今後の展望など
さらに具体的な採用広報コンテンツの作成方法は知りたい方は、下記リンクより資料をダウンロードしてみてください。
採用広報コンテンツ作成の手順(HeaR株式会社ホームページより)
採用目的でのTwitter活用も視野に
また採用広報記事の作成と並行して、TwitterなどのSNSを使って自社の情報発信を行っていくのも効果的です。
コロナ禍でオフラインでのコミュニケーションが難しくなってきたこともあり、SNSで自分の実績を積極的に発信して個人のブランディングをおこなったり、会社でのつながりではなく個人対個人の人脈を作ったりする人たちが増えています。
そして積極的に情報発信や人脈形成を行っている層は、市場価値が高く優秀な人たちも多いです。そのような候補者とつながるためのツールとして、Twitterが注目されています。
またTwitterはその特性上、企業と候補者が近い距離でコミュニケーションをとれます。プライベートなツイートやリプライを通じた会話など、等身大の採用広報をおこなえることがTwitterを活用した採用のメリットと言えるでしょう。
Twitterを活用した採用広報・採用ブランディングの設計方法や実際の運用ノウハウをまとめた資料もあるので、興味がある方は下記リンクよりダウンロードしてみてください。
Twitter採用への道(HeaR株式会社ホームページより)
EX(Employee Experience=従業員体験)の見直しを
新型コロナウイルスによって採用だけではなく、働き方もオンライン化しました。リモートワーク下では組織への帰属意識が薄れがちになる、コミュニケーション量が減ったために同僚や組織への不信感が生じやすくなるなど、EX(従業員体験)が悪化しやすいという問題があります。
EX(従業員体験)は採用力に大きく影響します。だからこそ、リモートワークに移行しても従業員エンゲージメントを高められるような業務設計、メンバーへのケアなどの施策を行っていくことが重要になります。
ここではエンプロイージャーニーマップを活用したEX(従業員体験)の設計方法をご紹介します。
従業員が入社してから退職するまでに企業の中で経験するであろう一連の出来事を、時系列順に可視化したもの。各フェーズにおいて、従業員の希望をキャッチし、それに対する向上施策とともに、どのような心理状態になればよいのかを書き出すことで、一貫性のあるEX(従業員体験)を提供できる。
EX(従業員体験)には「入社」「オンボーディング」「配属」「業務」「育成」「評価」「退職」と、大きく7つのフェーズがあります。例えば「業務」フェーズに着目すると従業員の希望や課題、リモート下でのEX向上施策を、以下のように洗い出すことができるでしょう。
このように、リモートワークが導入されたことでどのような課題が発生しうるかを書き出し、その対策となるEX向上施策を企画・実施していきましょう。
エンプロイージャーニーマップを設計したい方や、各フェーズで想定されるリモートならではの懸念点を知りたい方はこちらの資料を参考にしてみてください。
エンプロイー・ジャーニーマップ設計(HeaR株式会社ホームページより)
まとめ
本特集では全4回にわたり採用DXの進め方を紹介してきました。候補者と対面でのコミュニケーションが取りづらくなっている今、各社がオンラインを基本としたの採用に適応するために試行錯誤を続けています。しかし場当たり的な対応にとどまり、候補者に魅力を感じてもらえるようなコンテンツ・環境の整備ができていないという企業も多いのが現状です。
そのような企業にとって本特集が、オンライン採用の全体像を知り、採用DXを進めるヒントになればと思います。