【採用DX#02】採用のDX化を進める企業が最初に取り組むべき「組織のデジタル化」とは

採用領域のニューノーマル!2021年の採用成功の鍵を握る採用DX特集

2020年は新型コロナウイルスによるビジネス環境の変化が追い風となり、DX(デジタルトランスフォーメーション)に着手する企業が増えました。そしてその流れは採用領域にも及んでいます。今後多くの企業が変化する採用市場へ適応するために、採用のDXに取り組む必要があるでしょう。本特集では採用DX支援事業を行うHeaR株式会社監修のもと、採用DXの定義や正しい考え方、実践方法についてご紹介します。

前回は、採用のオンライン化という急激な環境の変化に対応するために必要な「採用のデジタルトランスフォーメーション(採用DX)」の考え方と、採用DXを実現するための3つのステップについてご紹介しました。

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第二回となる本記事では、ステップの1つ目となる「組織のデジタル化」の進め方を解説していきます。採用DXの基盤ともいえる採用戦略の設計を行ううえで参考にしてみてください。

良い組織に共通する組織風土の「第一原理」とは

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HeaR株式会社が採用DX実現のための取り組みの第一歩目として提案する「組織のデジタル化」。組織のデジタル化を進めるためには、以下の2つに取り組む必要があります。

「組織のデジタル化」に必要な2つの取り組み

①良い組織に共通する組織風土の「第⼀原理」(※)を組織に根付かせ、EX(従業員体験)を向上させること

②その会社独自の個性となる「ユニークさ」を発見し、採用における打ち出しの方向を整理すること

※第一原理とは:あらゆる企業が共通して守るべき最も基本的なルールのこと

良い組織に共通する組織風土の「第一原理」として、以下のものが挙げられます。

Whyからはじめる

企業の存在意義(ミッション・ビジョン・バリュー)や事業・プロジェクトの目的を言語化し、組織全体に浸透させることで、ステークホルダーが立ち返れるWhyをつくっている

データドリブン

量的データ・定性的データを取得・活用し続け、「分析→仮説→行動」サイクルの精度を向上させる文化が根付いている

仕組み化

組織の実行力を向上させ、従業員の努力を成果に結びつきやすくさせるために、多くの業務を仕組み化する努力をしている

改善サイクルをつくる

定量的データに加え、1on1や勉強会、クライアントの声などの様々なフィードバックを通して、日々の業務を改善するヒントを得られる仕組みを作っている

企業口コミサイトやSNSなどで簡単に働く従業員の声を調べられるようになった今、「採用成功」と「EX(従業員体験)の向上」は切っても切れない関係になりつつあります。これらの「第一原理」をきちんと組織文化として根付かせ、従業員にとって働き甲斐のある職場をつくることが、候補者に選ばれる企業になるためには必要です。

ユニークさをあぶりだす「採用の3C分析」

「第一原理」を組織文化として根付かせても、「その会社にしかない独自の魅力」が候補者に伝わらないと、なかなか採用に結びつきません。そのため必要となってくるのが、その会社独自の個性となる「ユニークさ」の発見と整理です。

ここでは、「採用の3C分析」を通して、自社の魅力を発見し、採用戦略を構築する方法を紹介します。

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採用における3Cとは

  •  候補者(Candidate)
  •  自社(Company)
  •  競合(Competitor)

のこと。この順番に沿ってペルソナ設定や自社の強みを設定していきます。

採用候補者(=Candidate)のペルソナ設定をする

ペルソナとは、具体的な生活がイメージできるように詳細まで描かれた人格のこと。名前や年齢・性別・家族構成や行動習慣など、まるで実在する人物かのように考えて設定します。

 採用活動の初期段階で採用候補者のペルソナ作成を行うことで、採用したい人物像の認識合わせを経営陣・採用担当者間でおこなうとともに、採用メッセージの打ち出しの方向性をより明確にできます。

採用におけるペルソナを設定する際は、下記の10項目を考えます。

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ペルソナの分析をしながら、どのような訴求内容が刺さるか仮説を立てることで、より求職者の視点に立った訴求ができます。

上記10項目を記載したスライドを含め、具体的なアウトプットイメージやペルソナ設定に活用できるテンプレートも用意していますので、下記リンクよりダウンロードしてみてください。

ペルソナ設定シートDL

ペルソナ設定シート(HeaR株式会社ホームページより)

自社の魅力(=Company)は「採用の4P分析」で整理する

「採用の4P分析」とは、人が組織に共感する要素を4つのPに分類することで、企業の魅力を整理するフレームワークです。

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ただし、あらゆる企業がこの4つのPすべてにおいて満足できるものを提供できるとは限りません。「給与はよくないけれど、福利厚生が整っている」「福利厚生は整っていないが、魅力的な人たちと一緒に働ける」など、提供できるものは企業によって様々です。

大切なのは、この4P分析を通して自社の強みと弱みを明確にしたうえで、「自分たちの採用したい候補者が期待している項目」と「自社が提供できる項目」をきちんとマッチングさせることです。

候補者によって4Pの中でも重視する項目は変わってくるため、どの項目で求職者を惹きつけられるのかを見定めたうえで、その魅力を伝えていくことで、候補者へ的確な訴求を行うとともに、採用のミスマッチを防ぐことができます。

競合リサーチ(=Competitor)でポジショニングを決める

ペルソナ設定で候補者を深く理解し、4P分析で自社の魅力を明確にした後は、採用競合の情報を集めながらポジショニングマップを設計します。ポジショニングマップを作成することで、ターゲットとなる採用候補者からどう認識されたいか、狙いたいポジションを明らかにし、採用上の競合とどう差別化していくかを考える手助けになります。

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また、ポジショニングマップを作成する際には、マップの基準となる2軸をどのように選定するかがポイントとなります。「選んだ2軸が採用候補者の選社軸から外れていないか」「選んだ2軸において自社が独自のポジションを取れるか」の2つの点から、適切な軸を定めましょう。

分析をもとに採用コンセプトを固める

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狙いたいポジションが定まったら、そのポジションにおいて自社の魅力が端的に伝わるような採用コンセプト(「自社の魅力が凝縮したキャッチコピー」)を策定します。

採用コンセプトを作成する手順は以下になります。

採用コンセプトの作成手順

①会社の事業内容や企業理念、大切にしたい価値観を書き出す
②採用の4P分析で明確にした自社の魅力を書き出す
③設計した採用ペルソナから思い浮かぶ言葉を書き出す
④ペルソナに響く表現や言葉を使いながら、①②③で書き出した言葉を短い文章でまとめる

採用コンセプトを固めることで、採用の各フェーズの施策を決定する際に⽴ち返るキーワードができるので、一貫した採用CX(候補者体験)を設計するのに役立ちます。

採用コンセプトが固まったら、いよいよ具体的な採用施策の策定に移ります。ここで大切なことは全ての施策を点ではなく線で結ぶことです。そのためにはキャンディデートジャーニーマップの作成が非常に有効です。キャンディデートジャーニーマップとは、候補者が自社を認知し入社するまでの理想の体験(感情や思考の動き)を時系列にまとめたものです。

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キャンディデートジャーニーマップを作成するメリットとして、現行の採用施策の課題を可視化できることが挙げられます。

例えば現在、ペルソナに合っていない人からの応募が多かったとしましょう。その場合は「認知段階でのタッチポイントを改善する必要がありそうだ」と、具体的な施策が立てやすくなります。

認知から入社までには、求職者との108個のタッチポイントがあります。タッチポイント一つひとつに価値を提供することで、採用力向上並びに自社のファン獲得に繋げることができます。以下にて、各ポイントを詳細に記載したテンプレートを無料で公開しております。ぜひ参考にしてみてください。

CX向上タッチポイント108項目 DL

最高の候補者体験を作る 108のタッチポイント(HeaR株式会社ホームページより)

まとめ

今回は採用DXを実現するための3ステップの1つ目となる「組織のデジタル化」の進め方について解説しました。次回はステップの3つ目である「採用CX(候補者体験)のデジタル化」の中でも、肝となる面接フェーズのノウハウをご紹介します。

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