SDGs達成目標の1つでもある「ジェンダー平等の達成」について、国内外で関心が高まっている。しかし日本は諸外国に比べてジェンダー意識の革新が遅れており、国別に男女格差を数値化した「ジェンダーギャップ指数2021」では世界156カ国中120位であった。
これを受けてIndeed Japan株式会社は、日本、フィンランド、アメリカの3カ国において、20~40代の男女を対象に「仕事とジェンダー」に関する比較調査を行った。
調査結果は以下の通り。
「働くこと」をどのように捉えているか尋ねたところ、国・性別を問わず「安定した生活をするための必要な手段」と回答した人が最多であった。中でも日本は男性が64.0%、女性が75.3%と他国と比べて20ポイント以上高く、また回答割合の男女差も3カ国中で最大だった。
2位以降の回答を比較したところ、フィンランドとアメリカでは男女ともに「日常を豊かにする自己成長の機会」と回答した人が2位だったのに対し、日本の男性で「自己成長の機会」と回答した人はわずか6.0%で5位という結果だった。日本人は仕事を生活費を稼ぐためのものと捉えており、仕事に関する価値観が比較的画一的だと読み取れる。
各国の女性に自身の性別が不利だと感じたのはどのような時か尋ねたところ、日本の1位は「給料が上がらない」で33.3%、フィンランドの1位は「補助や雑務ばかり押し付けられる」で37.0%、アメリカでは1位「昇進・昇格ができない」で33.9%であった。
日本人女性の回答では、「セクハラを受けた」が30.2%、「パワハラを受けた」が20.6%と、3カ国で唯一上位5位に「セクハラ」「パワハラ」の両方が入った。フィンランドとアメリカに比べ、日本人女性は性別を理由としたハラスメントの被害に遭いやすい環境に置かれていると言える。
また、日本人男性が自身の性別が不利だと感じた場面の1位は「体調不良の際に理解が得られない」で34.4%だった。次いで「長時間労働を強いられる」「個人の許容量を超える業務が振り分けられる」と続く。他の2カ国では「昇進・昇格ができない」や「重要な仕事が任されない」などが上位となっており、日本人男性は他国以上に「男はしっかり働くべき」というジェンダーロールの抑圧を受けていることが考えられる。
現在所属している企業・組織での昇進・昇格意欲の有無について尋ねたところ、「昇進したい」「どちらかと言えば昇進したい」と回答した人は、日本は男性が59.3%、女性が53.3%であった。日本は男女ともに3カ国の中で最も昇進意欲が低い結果となった。
「昇進したくない」と回答した日本人に理由を尋ねたところ、男女ともに「仕事よりもプライベートを充実させたいから」と「仕事で大きな責任を負いたくないから」が1位と2位に挙げられた。フィンランドとアメリカでは「現状に満足しているから」が1位となっていることから、日本人は仕事そのものや昇進に対して後ろ向きな姿勢の人が多いことが分かった。
詳細結果はコチラ
今回の調査では、ジェンダーギャップについて男女差よりも国ごとの差が顕著に見られた。日本人の仕事への意欲の低さを生んでいる原因や社会構造について、今一度考える必要がありそうだ。
調査期間:2021年9月13日~2021年9月21日
調査対象:日本、フィンランド、アメリカで現在就業中の20~40代の男女900人
割付方法:各国均等割付(300名ずつ)の上、性別・15歳以下の子供の有無で均等割付(150名ずつ)して実施
調査方法:インターネット調査
調査主体:Indeed Japan株式会社
【参考URL】「仕事とジェンダー」に関する3ヵ国比較調査を実施