政府は6月13日に「女性版骨太の方針2023」を決定し、プライム市場上場企業を対象に2025年をめどに女性役員1名以上、2030年までに女性役員の比率を30%以上とするよう目標を設定した。政府の方針を受け、上場企業を中心に女性役員の割合を増やす動きが加速すると見られている。一方で日本ではこれまで女性役員を育ててこなかった企業が多く、社内での登用が間に合わないため、社外女性役員を採用するニーズが高まっている。
株式会社プロフェッショナルバンクは、上場企業の女性社外役員の属性や志向性をデータベース化した「女性社外役DB」をもとに、女性社外役員の選任動向・傾向の分析を行った。
調査結果は以下の通り。
一都三県の上場企業において女性社外役員を採用している企業の割合は2023年4月末時点で57.2%であった。2022年5月末時点では48%であり、この1年で9.2ポイント上昇しており、女性社外役員の採用が活発化していることが分かる。
2023年4月末時点での女性社外役員の年代は、50代が36.4%で最多であった。次いで60代が30.8%、40代が21.5%と続く。 企業経営経験が多い50~60代の人材の需要が高いことが分かった。
2023年4月末時点での女性社外役員の経験業界は、事業会社経験者が28.2%で最多であった。次いで弁護士・法律事務所経験者が22.1%、コンサルファーム経験者が15.9%と続く。一方で、企業経験者だけでなく大学・研究所経験者も8.5%にのぼる。自社の事業領域に詳しい専門家の力を借り、事業拡大の推進を図る企業の姿勢が見られる。
2023年4月末時点で、複数の企業で社外役員を兼任している役員は28.7%であった。2022年5月末時点での最多の兼任社数は4社だったが、2023年4月末時点では5社となった。一方で、兼任社数が多い社外役員を選任している企業が株主から指摘を受けるケースも増えている。それを受け専任役員を採用する動きが高まったため、就任先が1社である割合は、2022年から1年で5割から7割に増加した。
詳細結果はコチラ
今回の調査では、女性社外役員を採用する上場企業が増えていることが分かった。政府の方針だけでなく、世界的に高まるESG投資の流れへ対応する目的でも引き続き女性役員を積極的に採用する動きは活発化していくと推測される。